事業内容
THK株式会社は1971年創業。LMガイド(直線運動案内)をはじめとする直動システムを中核とした機械要素部品の製造販売を世界規模で展開する。
主要顧客は工作機械・半導体製造装置・産業用ロボットメーカー等の資本財メーカーであり、日本・米州・欧州・中国・アジア新興国の5極体制で「需要地における販製一体体制」を構築している。2025年12月期より輸送機器事業(ステアリング・サスペンション・ブレーキ部品等)をIFRS第5号に基づき非継続事業に分類し、2026年2月に株式会社AP87への譲渡を決定。
産業機器事業への選択と集中を明確化した。子会社39社・関連会社3社で構成される。
ビジネスモデル
コア製品であるLMガイド・ボールスプライン・ボールねじ等の機械要素部品を、各地域の製造拠点で生産し販売拠点を通じて直接販売する垂直統合モデルを採る。近年は「OMNIedge」等のIoT予兆検知・AI工具監視ソリューションや次世代リニア搬送システム「VTS」など、機械要素部品の枠を超えた「FAソリューションビジネス」へ展開を強化。
マシンビルダーに加えマシンユーザーとの接点拡大により、複層的な顧客基盤と継続的サービス収益の獲得を目指している。
企業の強み
1972年にLMガイドを開発・販売開始して以来、50年超にわたり直動システムの世界トップメーカーとして地位を確立。「すべり」を「ころがり」化することで摩擦を1/50に低減する独自技術は、工作機械・半導体製造装置・免震装置・医療機器等の幅広い分野で採用されており、代替困難な基幹部品としての高い参入障壁を形成している。
日本・米州・欧州・中国・その他(台湾・ASEAN・インド等)の5極において、現地製造拠点と販売拠点を一体運営する「需要地における販製一体体制」を構築。2025年12月期の継続事業売上収益240,444百万円のうち、中国が78,184百万円(前期比21.6%増)、その他が26,512百万円(前期比20.2%増)と新興国での成長が顕在化している。
格付投資情報センター・日本格付研究所の双方からA+(シングルAプラス)の格付を取得・維持。2025年12月期末の現金及び現金同等物残高は120,534百万円、コミットメントライン500億円(期末借入残高20,000百万円)を確保。
営業活動によるキャッシュ・フローは42,748百万円と安定的なキャッシュ創出力を維持している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の売上高は2022期393,687百万円をピークに減少し、2025期は輸送機器事業の整理損失計上により最終赤字(当期利益△69,891百万円)に転落。ただし2026年12月期第1四半期(継続事業)は売上収益69,043百万円(前年同期比+27.4%)、営業利益7,620百万円(同+364.4%)と急回復。
売上原価率が前年同期比4.2ポイント低下し66.9%、営業利益率は11.0%(前年同期比+8.0ポイント)に改善。外部要因としてエレクトロニクス関連(半導体製造装置等)の需要回復が主因。
一方、米国関税の影響や欧州の営業損失継続、ネクストキャリア支援費用740百万円等の構造改革コストが利益を一部圧迫した。通期予想は売上収益276,000百万円(前期比+14.8%)、営業利益31,000百万円(同+114.7%)。
成長戦略
輸送機器事業譲渡後の産業機器事業集中とROE10%超の早期実現
株式会社AP87への輸送機器事業譲渡を2026年6月1日に実行予定。譲渡完了後は産業機器事業に特化した事業構造となり、資本コスト負担の解消とROIC改善が期待される。売却目的保有資産は53,854百万円(2026年3月末)に増加し、手続きは最終段階にある。
新経営方針のもと産業機器事業の構造改革を推進。ネクストキャリア支援制度(2026年2月12日公表)の実施等により固定費削減を図る。2026年12月期第1四半期に売上原価率が前年同期比4.2ポイント低下し66.9%、営業利益率11.0%を達成するなど改善効果が顕在化している。
ROEの分母である自己資本のコントロールを重視し、DOE8%を基本とする配当方針(2026年12月期予想:年間184.00円)を維持。輸送機器事業譲渡後の自己資本圧縮と利益成長の組み合わせでROE10%超を目指す。2026年12月期第1四半期末の親会社所有者帰属持分比率は52.6%。
中国では産業機器需要が好調に推移し2026年12月期第1四半期に前年同期比44.1%増収を達成。インド・ASEANでは積極的な営業活動により新規顧客開拓と販売網拡充を推進し、同32.8%増収を実現。需要地における販製一体体制の構築により現地対応力を強化している。
最終更新: 2026年7月17日

