事業内容
日本金銭機械株式会社(JCM)は1955年創業の金銭関連機器メーカーで、連結子会社14社を含むグループで事業を展開する。主力製品は紙幣識別機ユニット・紙幣還流ユニット・プリンターユニット・硬貨還流ユニット等の貨幣処理機器であり、カジノ(グローバルゲーミング)、海外金融・流通・交通市場(海外コマーシャル)、国内金融・流通・交通市場(国内コマーシャル)、パチンコホール(遊技場向機器)の4セグメントで事業を展開する。
北米カジノ市場向けが売上の約68%を占める最大セグメントであり、Aristocrat Technologies Inc.等のOEM顧客を含む幅広い顧客基盤を持つ。東京証券取引所プライム市場上場。
ビジネスモデル
自社工場(滋賀県長浜市等)およびフィリピン製造子会社での製品製造を基盤に、北米・欧州・国内の販売子会社網を通じて製品を販売する。グローバルゲーミングセグメントが全社営業利益の大部分を創出する収益柱であり、OEM供給(Aristocrat Technologies Inc.向けが2026年3月期売上高の13.7%)も重要な収益源となっている。
コマーシャル事業は現在投資フェーズにあり、将来の第二の収益柱として育成中である。
企業の強み
グローバルゲーミングセグメントは2026年3月期に売上高21,471百万円、セグメント利益5,016百万円(利益率約23.4%)を達成し、前年比14.8%の利益増を実現した。北米市場での紙幣識別機・プリンターユニットの販売拡大と収益性の高い製品ミックス改善が利益率向上に寄与しており、欧州向け販売減少を吸収した。
創業以来70年にわたり蓄積した紙幣の識鑑別・搬送・集積・還流技術およびメカトロニクス技術を保有する。2026年3月期の研究開発費は1,695百万円であり、カジノ向け紙幣識別機新機種の開発完了、コマーシャル市場向け3機種の開発完了など、継続的な製品開発を実施している。
米国(JCM AMERICAN CORP.、1988年設立)、欧州(JCM EUROPE GMBH.、1999年設立)、北中南米(JCM COMMERCE MECHATRONICS, INC.、2022年設立)、フィリピン製造拠点(2020年設立)等、主要市場に販売・製造子会社を整備しており、グローバルな事業展開基盤を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は31,557百万円(前期比16.6%減)、営業利益は2,497百万円(同49.1%減)と2期連続増収増益から一転して大幅な減収減益となった。主因は①国内コマーシャル・遊技場向機器における新紙幣発行特需(2025年3月期)の反動減(遊技場向け売上高52.0%減)、②スマート遊技機普及の想定下振れ、③欧州景気減速に伴う海外コマーシャルの在庫調整継続。
グローバルゲーミングは北米需要堅調でセグメント利益が前期比14.8%増と唯一の増益セグメントとなった。純利益は固定資産売却益(3,277百万円)の計上により4,692百万円と増益。
2027年3月期は売上高39,000百万円・営業利益3,000百万円を予想しており、前期比での回復を見込む。平均為替レートは米ドル149.79円・ユーロ169.58円で推移した。
成長戦略
ゲーミング深耕・海外コマーシャル拡大・国内新市場開拓を三本柱とする次期中期経営計画
北米カジノホテル向けの紙幣識別機ユニット・プリンターユニット等主力製品の販売拡大と、収益性の高い製品・サービスミックスの改善を継続。2026年3月期はセグメント利益5,016百万円(前期比14.8%増)と成果が出ており、引き続き中核事業として位置づける。
富士通フロンテック株式会社の中・小型リサイクラー/ディスペンサー事業を譲受し、開発力強化・製品ラインナップ拡充・顧客ネットワーク強化を図る。海外・国内コマーシャル両セグメントの競争力向上と新規市場開拓を推進し、現在の赤字体質からの脱却を目指す。
欧州依存から脱却すべく北中南米地域での市場開拓を推進。2026年3月期は案件が着実に増加しているものの欧州減少を補うには至らず、セグメント損失は274百万円(前期566百万円の損失から改善)。引き続き新規顧客獲得と販売拡大を加速する。
流通・交通・金融市場向けの既存需要対応に加え、クリニック向けをはじめとする新たな市場領域の開拓を強化し、需要基盤の拡大と収益性の改善を図る。2026年3月期はセグメント損失86百万円と前期の利益1,147百万円から大幅悪化しており、早期の黒字回復が課題。
近年の遊技場業界の構造変化(ホール数減少・スマート遊技機普及遅れ)を踏まえ、他の余暇市場へのシフトを含む新たな事業領域への展開等あらゆる可能性を検討。2026年3月期はセグメント損失667百万円と前期の利益1,437百万円から大幅悪化しており、事業の方向性の明確化が急務。
最終更新: 2026年7月19日

