事業内容
トリニティ工業は、「熱・水・空気」の総合エンジニアリング会社として、塗装プラント・塗装機器等の産業設備(設備部門)と自動車内外装部品の製造・販売(自動車部品部門)の二事業を展開する。トヨタ自動車を主要株主・顧客に持ち、豊田通商・豊通マシナリーを通じた販売網も活用する。
設備部門は受注生産型で国内外の自動車メーカーや建設機械メーカー等に塗装設備を納入し、自動車部品部門はセンタークラスターパネル・ステアリングホイール等の内外装部品を供給する。子会社10社・関連会社4社を含むグループで、マレーシア・タイ・インドネシア・インド・中国・台湾に海外拠点を有する。
ビジネスモデル
設備部門は顧客の塗装ライン構築ニーズに応じた受注生産型で、プロジェクト完工時に売上を計上する。塗装機器単体の販売も展開し、利益率改善に寄与している。
自動車部品部門は量産型の継続供給モデルで、金型・治具への先行投資を経て安定的な部品供給収益を得る。両部門合計の売上高営業利益率は8.2%(2026期)で、内部資金を主体とした財務運営を維持している。
企業の強み
トヨタ自動車より「新カートリッジシステム」(2008年)、「高塗着塗装工法」(2020年)、「溶接工程循環式除塵装置」(2022年)の技術開発賞を受賞。2023年には大河内記念生産特賞を受賞するなど、塗装・環境技術における高い専門性が第三者機関からも認められている。
2026期の設備部門は売上高29,372百万円に対しセグメント利益4,156百万円(利益率約14.1%)を達成。売上が前年比1.8%減の中でも営業利益は7.1%増と収益性が向上した。受注残高は9,944百万円と前年比10.1%増加しており、次期以降の売上を裏付ける受注基盤が積み上がっている。
当社グループは長期資金・運転資金ともに内部資金で充当する財務方針を採用。2026期末の純資産合計は35,236百万円、現金及び現金同等物は9,992百万円と潤沢な手元流動性を確保している。ROA6.2%、ROE8.0%と資本効率も改善傾向にある。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年3月期29,048百万円を底に回復し、2025年3月期40,217百万円でピークを付けた後、2026年3月期は38,960百万円(前期比3.1%減)と反落した。設備部門は塗装設備納入減少により29,372百万円(同1.8%減)、自動車部品部門は内外装部品の生産・販売減少により9,588百万円(同7.0%減)。
一方、営業利益率は8.2%と前期並みを維持し、持分法投資利益の急増(380百万円)が経常利益・純利益の増益に寄与した。2027年3月期は売上高40,000百万円(同2.7%増)を見込む一方、営業利益2,000百万円(同37.3%減)と大幅減益を予想しており、米国政策動向・物価上昇等の外部要因による自動車業界の不透明感を反映した保守的な見通しとなっている。
成長戦略
TRINITY VISION 2030実現へ環境・海外・新市場の三軸で持続成長を目指す
設備部門において塗装機器単体販売の収益拡大を推進するとともに、自動車以外の産業向け販売を拡大することで顧客基盤の多様化を図る。2026年3月期に設備部門の利益率が改善したことは、この戦略の初期成果と見られる。
中期経営計画(2026-2030)の重点施策として海外機能の強化を掲げる。持分法適用会社への投資額は1,441百万円(2026年3月期)に拡大しており、持分法投資利益も380百万円と前期比約5倍に急増。海外拠点・パートナーを通じた収益貢献の拡大が期待される。
顧客のカーボンニュートラルおよびサーキュラーエコノミー実現に貢献する設備・技術の開発・提供を推進する。環境規制強化という外部要因を追い風として、次世代塗装技術や省エネ設備の需要取り込みを狙う。
大型成形品の生産拡大と変種変量に強い柔軟な生産体制の構築を進めるとともに、異業種を含む新たな領域への展開を推進する。2026年3月期は内外装部品の生産・販売減少により同部門売上が7.0%減となっており、非自動車分野への拡大が収益安定化の課題となっている。
中期経営計画の財務資本戦略として株主還元強化を明示。2026年3月期の年間配当金は67円(配当性向40.2%)、2027年3月期予想は61円(配当性向50.5%)と、減益予想下でも高い配当性向を維持する方針を示している。
最終更新: 2026年7月19日

