事業内容
芝浦機械株式会社は1938年創業の産業機械メーカーで、成形機(射出成形機・ダイカストマシン・押出成形機)、工作機械(門形マシニングセンタ・超精密加工機等)、制御機械(産業用ロボット・電子制御装置)の3セグメントを展開する。当社および子会社28社で構成され、アジア・欧米・中東など世界各地に製造・販売拠点を有する。
主要顧客は自動車・電池・半導体・光通信・エネルギー産業等の製造業であり、2026年3月期の売上高海外比率は69.7%に達する。2020年に東芝機械から現社名に変更し、東芝グループから独立した自立経営体制を確立している。
ビジネスモデル
受注生産を基本とする大型産業機械の製造・販売が主収益源であり、売上高の約74%を成形機事業が占める。製品販売後は子会社の芝浦機械エンジニアリング㈱等を通じてメンテナンス・補修部品・据付サービスを提供し、継続的な顧客接点を維持する。
インド・タイ・中国等の現地製造拠点を活用したコスト競争力と、M&Aによる市場拡大(LWB GmbH買収による欧州再進出、Moore Nanotechnology Systems買収による北米超精密加工機強化)を組み合わせた成長モデルを志向している。
企業の強み
インド・タイ・中国・ドイツ等に製造現地法人を有し、アジア・欧米・中東など世界各地に販売・サービス拠点を展開する。2026年3月期の海外売上比率は69.7%に達し、特定地域への依存を分散した多地域生産・販売体制を構築している。
インド工場では新工場増設と電動式射出成形機の生産を開始し、現地需要取り込みと輸出拠点化を同時に進めている。
工作機械事業では超精密マシニングセンタ・超精密非球面加工機・AIデータセンター向け超精密加工機を開発・販売し、光通信・半導体・医療ドメインで実績を積む。成形機事業では世界最大級の型締力12,000tの超大型ダイカストマシンを受注するなど、ギガキャスト対応の技術開発を実現している。
研究開発費は2,684百万円(2026年3月期)を投じ、技術優位の維持に継続投資している。
2026年3月期末の自己資本比率は68.3%(前期58.7%から改善)、有利子負債残高は10,792百万円にとどまり、D/Eレシオは9.1%と極めて低水準。現金及び現金同等物は42,720百万円を保有し、国内金融機関に10,000百万円のコミットメントラインも設定済み。
財務基盤の厚さがM&Aや設備投資の機動的実行を支えている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期107,777百万円→2024期160,653百万円と急成長したが、2026期は132,815百万円(前期比21.0%減)に急落した。主因は中国向けリチウムイオン電池セパレータフィルム製造装置(押出成形機)の大型案件剥落であり、成形機事業売上高が前期比27.9%減の98,854百万円となった。
営業利益は4,367百万円(前期比69.0%減)、営業利益率は3.3%(前期8.4%)に低下。外部要因として米国通商政策・EVシフト遅延・自動車市場の設備投資様子見が業績を下押しした。
一方、工作機械事業はAI・光通信需要(外部要因として追い風)を取り込み売上高18.6%増・営業利益3.5倍と好調。2027年3月期通期予想は売上高137,000百万円(前期比3.2%増)、営業利益4,200百万円(前期比3.8%減)と低空飛行が続く見通し。
成長戦略
M&Aと新市場開拓で中国・自動車依存から脱却し事業ポートフォリオを変革
インド工場に新工場を増設し油圧式・電動式射出成形機の増産体制を整備、テクニカルセンターも開設。インド国内需要の取り込みと中東・アフリカ・欧米・東南アジアへの輸出拡大を図る。原価低減による収益性改善も並行して推進。
ドイツの竪型射出成形機メーカーLWB Steinl GmbH(現SHIBAURA MACHINE LWB GmbH)の持分80%を2025年11月に取得。容器・医療ドメインを中心にクロスセルとインド工場からの部材調達による原価低減シナジーを追求。
ただし取得後に事業計画との乖離が生じ、のれん2,067百万円を全額減損処理済み。
米国精密工作機械メーカーMoore Nanotechnology Systems, LLCの全持分を約23,982百万円で取得予定(2026年後半)。同社の販売・サービス体制を活用し欧米市場での超精密加工機拡販を図るとともに、光学・航空宇宙・防衛・医療分野での新市場開拓を目指す。
自動車業界のギガキャスト需要に対応し、世界最大級の型締力12,000tの超大型ダイカストマシンを受注済み。低圧鋳造技術の開発と6,000〜12,000t級に加え4,500t級のラインアップ化を進め、EV向け車体部品製造需要を取り込む。
AM Batteries Inc.への出資によりドライ電極市場に参入し、全固体電池への展開も見据えた技術開発を推進。再生可能エネルギー・データセンター向けエネルギー貯蔵システムの電池需要取り込みも並行して図る。中国向け押出成形機の受注は増加に転じている。
最終更新: 2026年7月19日

