事業内容
日本精線株式会社は1951年創業のステンレス鋼線・金属繊維(ナスロン®)の専業メーカーで、大同特殊鋼グループに属する。国内(枚方・東大阪工場)を主力拠点に、タイ・中国・韓国に海外子会社を展開する。
主力製品はステンレス鋼線(ばね用材・極細線・ダイヤモンド工具等)と金属繊維を応用した高機能フィルター群(ナスロン®フィルター・超精密ガスフィルターNASclean®)。半導体・AI・データセンター、医療、再生可能エネルギー、自動車CASEなどサステナビリティ成長分野を主要顧客層として位置づけ、「Micro & Fine Technology」を技術スローガンに掲げる。
2026年3月期の連結売上高は46,601百万円。
ビジネスモデル
原材料(ステンレス鋼線材)を親会社・大同特殊鋼から主に調達し、独自の伸線加工・金属繊維製造技術を用いて高機能製品に転換・販売する。高機能・独自製品(極細線・超精密ガスフィルター等)が売上高の66.1%を占め、汎用品との差別化により収益性を確保する。
国内製造を中核に、タイ・中国拠点との最適生産体制を構築し、大同興業(売上比23.4%)等の販売チャネルを通じて国内外に供給する。
企業の強み
金属繊維ナスロン®を基材とした超精密ガスフィルターNASclean®は、半導体製造装置に組み込まれる不可欠部材。AI・データセンター向け半導体需要の高まりを背景に2026年3月期の超精密ガスフィルター売上高は5,012百万円(前期比22.3%増)と大幅成長を達成。
超低圧損・高濾過精度の新製品開発も進行中。
スクリーン印刷向け極細線において、9μmの量産対応に続き7μmの技術確立を完了し量産化に注力。単線としてステンレス鋼線の極限の細さを実現しており、太陽光発電パネルや電子部品製造プロセスで使用される。研究開発費は627百万円(2026年3月期)を投じ、高強度化・細径化の継続的深化を図っている。
2026年3月期末の自己資本比率は75.4%(前期比1.6ポイント増)、インタレスト・カバレッジ・レシオは1,015.4倍と財務健全性は極めて高い。現金及び現金同等物は15,909百万円を保有し、月商3ヵ月分の流動性を確保する方針のもと、設備投資・株主還元・不測の事態への対応力を兼備する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は46,601百万円(前期比0.3%減)とほぼ横ばいながら、営業利益は3,077百万円(同32.8%減)、親会社株主帰属純利益は2,147百万円(同33.9%減)と大幅減益。売上原価が38,531百万円から39,815百万円へ増加し、売上総利益率が17.6%から14.6%へ低下したことが主因。
太陽光パネル向けスクリーン印刷用極細線の需要低迷(中国在庫調整継続+素材代替の動き)が収益を直撃した。一方、金属繊維部門は13.0%増収と堅調で、NASclean®がAI・データセンター向け半導体需要という外部要因を追い風に22.3%増収を達成。
中国子会社解散に伴う特別損失275百万円も純利益を押し下げた。過去5期の営業利益推移は2022期4,596百万円→2023期4,179百万円→2024期3,537百万円→2025期4,576百万円→2026期3,077百万円と変動が大きく、太陽光向け極細線の需要動向への依存度の高さが課題として浮き彫りになっている。
成長戦略
NSG26中計でサステナビリティ成長分野向け高機能製品の拡販と生産基盤強化を推進
AI・データセンター向け半導体製造装置に組み込まれる超精密ガスフィルターの需要拡大に対応し、開発深化と増産投資を継続。2026年3月期に22.3%増収を達成し、2027年3月期もさらなる販売増を見込む。有形固定資産取得支出は3,000百万円(前期1,421百万円)に拡大。
MLCC・電子部品・日用品向け高機能ステンレス鋼線の拡販に注力。更なる細径化・高強度化が求められる極細線の技術開発を深化させ、太陽光向け需要減少を補完する製品ポートフォリオの多様化を図る。2026年3月期の販売数量は月当たり2,914トン(前期比2.5%増)と数量面では堅調。
大同不銹鋼(大連)有限公司を2025年11月に解散し、中国での自動車向けステンレス鋼線事業から撤退。THAI SEISEN CO.,LTD.は増収を達成しており、タイ拠点を中心とした海外製造体制の再構築を進める。特別損失275百万円を計上済みで、再編コストは2026年3月期に一括処理。
NSG26の基本方針の一つとして水素回収技術の深化を掲げ、将来の事業柱候補として研究開発を継続。現時点では売上貢献は限定的だが、中長期的なサステナビリティ成長分野への布石として位置づけられている。
NSG26の基本方針としてESG経営を掲げ、資本コストや株価を意識した経営を推進。2026年3月期の配当性向は60.0%(前期52.8%)に上昇し、1株当たり配当は42円。
2027年3月期予想配当は46円(配当性向50.5%予想)と株主還元を継続。自己資本比率75.4%と財務健全性を維持しながら増配基調を維持。
最終更新: 2026年7月19日

