事業内容
愛知製鋼は1940年に豊田自動織機製作所から分離独立した特殊鋼・鍛造品メーカーで、トヨタ自動車を頂点とするトヨタグループの中核素材サプライヤーとして位置づけられる。事業は鋼(ハガネ)・ステンレス・鍛(キタエル)・スマートの4カンパニー制で構成され、特殊鋼熱間圧延材、型打鍛造品、ステンレス鋼・チタン、電子機能材料・磁石応用製品を製造・販売する。
主要顧客は豊田通商(売上収益の23.7%)、アイシン(8.4%)、トヨタ自動車(7.6%)であり、自動車産業への依存度が高い。国内に加えフィリピン・タイ・インドネシア・中国・米国・韓国・ドイツに製造・販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開している。
ビジネスモデル
電気炉による鉄スクラップ溶解から連続鋳造・圧延・鍛造まで一貫した生産プロセスを自社内で完結させる垂直統合型モデルを採用する。原材料コストの大宗を占める鉄スクラップ・購入鋳片の市況変動が収益に直結する構造であり、工場原価低減活動(TPS徹底)と販売数量拡大の両輪で利益を確保する。
スマートカンパニーでは電子部品・磁石応用製品等の高付加価値製品を展開し、素材・部品の複合供給による顧客囲い込みを図る。
企業の強み
特殊鋼の製造から型打鍛造品の成形まで自社グループ内で一貫して手掛ける「鍛鋼一貫体制」を保有する。2022年に温間鍛造技術の量産を開始し、ニアネットシェイプと熱処理省略によるCO2削減・低コスト化を実現。
研究開発用サーボ式鍛造プレスラインを活用した革新的工法開発により、開発リードタイムの大幅短縮も達成している。
1993年よりNEDO水素事業に継続参画し、2013年に水素ステーション向け「AUS316L-H2」、2020年に省Mo型「AUS305-H2」を開発。トヨタMIRAI初代・2代目に採用実績を持つ。
電動化対応では34,000回転/分の次世代電動アクスル技術実証に世界初成功(2022年)し、東北大学との共創研究所も設立するなど先行技術の蓄積が厚い。
超小型・超高感度の独自開発アモルファスMIセンサを活用した磁気マーカシステムは、JR東日本気仙沼線BRTでの自動運転バス実用化(2022年12月)に加え、2024年度にはトヨタグループ量産ラインでの自動牽引車実運用が正式開始。公道・工場内物流の両領域で実績を積み上げており、競合が短期間で模倣困難な固有技術基盤を形成している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上収益は2022年3月期260,117百万円から2026年3月期304,341百万円へ5期連続増収。営業利益は2022年3月期2,139百万円から2026年3月期17,371百万円へ急回復し、営業利益率は0.8%→5.7%へ大幅改善した。
2026年3月期の増益要因は、外部要因として鉄スクラップ・購入鋳片・エネルギー等購入品価格の値下がり(合計62億円相当)が最大貢献。鍛カンパニーが販売数量増加・価格値上がりで牽引(+7.4%)した一方、ステンレスカンパニーは数量減・価格下落で▲11.7%と苦戦。
営業CFは65,028百万円(前期25,354百万円)と大幅増加したが、退職給付資産の減少(29,054百万円の資金増加)という一時的要因が含まれる点に留意が必要。2027年3月期通期予想は売上収益310,000百万円(+1.9%)・営業利益17,500百万円(+0.7%)と横ばい見通しで、関税政策の影響を受けた上期の大幅減益(第2四半期累計営業利益予想▲31.7%)を下期で挽回する計画となっている。
成長戦略
2030年度売上収益4,000億円・営業利益280億円・ROE8%を目指す中長期成長戦略
自動車用型打鍛造品の販売数量を2026年3月期241千トンから2027年3月期244千トン(+1.1%)へ継続拡大。連結子会社(アジア・北米拠点)の増益貢献が2026年3月期に25億円相当の増益要因となっており、グローバル生産体制の収益貢献が顕在化している。
圧倒的な品質・コスト・納期を実現する次世代製鋼プロセスの構築を推進。グローバルサウス(インド)市場への資源循環型モノづくり展開による新規需要獲得を中期経営計画に位置付けており、2027年3月期の販売数量予想716千トン(前期比+3.2%)と継続的な数量拡大を見込む。
GMPSのトヨタグループ構内物流への採用拡大、マグファイン®改良品の電池・家電市場展開、電子部品増産体制の確立を推進。2026年3月期売上収益22,107百万円(前期比+7.4%)と成長軌道にあり、電動車向け需要拡大を取り込む高付加価値セグメントとして育成中。
2026年3月期に自己株式26,258百万円取得・配当9,300百万円(配当性向85.0%)を実施。2027年3月期も配当性向85.0%・年間150円(特別配当78円含む)を予想。
ROE8%目標達成に向けた資本政策の積極化を継続しており、発行済株式数の大幅削減(約16%減)によるEPS向上効果も見込まれる。
最終更新: 2026年7月19日

