事業内容
中部鋼鈑株式会社は1950年創業、名古屋市中川区に本社・工場を置く国内唯一の電気炉専業厚板メーカーである。主原料の鉄スクラップを電気炉で溶解し、スラブ連続鋳造・厚板圧延の一貫工程で厚板鋼材を製造・販売する鉄鋼関連事業を中核に、グリスフィルターレンタル・広告看板のレンタル事業、運送・危険物倉庫の物流事業、プラント設計・保全のエンジニアリング事業の計4セグメントで構成される。
主要顧客は産業機械・建設機械・建築・造船向けの鉄鋼流通商社(阪和興業、日鉄物産、メタルワン等)であり、受注生産体制によりタイムリーな供給を実現している。東証プライム市場上場。
ビジネスモデル
鉄スクラップを主原料として電気炉で溶鋼を製造し、連続鋳造・圧延工程を経て厚板製品を生産する。受注生産体制を採用することで在庫リスクを抑制しつつ、短納期・小ロット・多品種対応という電炉の特性を活かして高炉を補完する形で市場に供給する。
売上高の約95%を鉄鋼関連事業が占め、メタルスプレッド(販売価格と原料スクラップ価格の差)が収益の主要ドライバーとなる。子会社群はグループ内需要を支えつつ外部収益も獲得する。
企業の強み
当社は国内で唯一、電気炉による厚板専業製造を行うメーカーである。高炉メーカーが一般的に担う厚板品種を電炉で製造できる高度な操業技術を長年にわたり蓄積しており、被削性改良鋼板やレーザ切断用鋼板など独自製品は市場で高い評価を受けている。
この希少性が競合不在のポジションを形成し、安定受注の基盤となっている。
受注生産体制に徹することで、受注した製品をタイムリーに生産・出荷する体制を維持している。阪和興業(販売高6,418百万円、構成比12.6%)、日鉄物産(5,409百万円、10.6%)、メタルワン(5,408百万円、10.6%)など大手流通商社との継続的な取引関係が構築されており、安定受注が維持されている。
純資産は75,736百万円(2026年3月期末)に達し、設備投資・運転資金ともに自己資金充当を基本方針とする無借金経営を維持している。CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)によりグループ内余剰資金を一元管理し、資金効率を高めている。
DOE3.5%を目途とした安定配当方針も財務規律の高さを示している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年3月期76,320百万円をピークに2025年3月期51,047百万円まで急減した後、2026年3月期は51,103百万円とほぼ横ばい(前期比0.1%増)で底打ちの兆しを示した。一方、営業利益は2023年3月期12,261百万円から2026年3月期923百万円へと3期連続で急落し、営業利益率は1.8%まで低下した。
外部要因として鉄鋼市況の悪化による厚板販売価格の下落が主因であり、販売価格の下落幅が鉄スクラップ価格の下落幅を上回りメタルスプレッドが縮小した。新電気炉の稼働正常化により販売数量は前期を上回ったものの、価格下落の影響を吸収するには至らなかった。
営業キャッシュフローは前期の21,525百万円の収入から△5,839百万円の支出に転じ、売上債権増加5,768百万円・棚卸資産増加5,083百万円が主因となった。包括利益は2,432百万円(前期1,514百万円)と改善しており、有価証券評価差額金・退職給付調整額の改善が寄与した。
成長戦略
新電気炉本格稼働を軸に販売量回復・脱炭素・資本効率改善の3方針で企業価値向上を目指す
前期の溶鋼漏れ事故から復旧した新電気炉が2026年3月期に安定稼働を実現し、販売数量は前期を上回る水準に回復した。引き続き新電気炉の性能を最大限発揮した効率的な操業とコストダウンを推進し、メタルスプレッド改善による収益回復を目指す。
2027年3月期は売上高69,600百万円(前期比36.2%増)を予想。
電炉プロセスの低CO₂特性を活かしたグリーンスチール・エコリーフ取得により、脱炭素需要への対応と製品付加価値の向上を図る。CO₂排出量削減をはじめとした環境負荷低減への取り組みを継続し、顧客の調達先多様化ニーズに応える差別化戦略を推進する。
2026年2月に連結自己資本を2027年度末目途に700百万円程度(2026年3月末749百万円)まで引き下げる方針を決定。2026年5月に自己株式取得(上限900,000株・1,700百万円)を決議し、増配(2027年3月期予想113円)と組み合わせた株主還元強化により資本効率の向上と企業価値の持続的向上を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

