自動車EV化による需要変容
鋳造事業・工業炉事業は売上高の56.7%を占め、その鋳造市場の約9割が自動車業界向けである。EV化の進展によりエンジンをはじめとする鋳造部品の構造が大きく変わると予測され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。国内ではHEV・PHEV・M-HEVが当面の中心となる見通しのため、特にアルミ部品需要への対応を重視し、製品・サービスの適合を進めている。
鉄鋼業界の設備縮減リスク
鉄鋼事業は売上高の9.4%を占めるが、鉄鋼業界では需要減を背景とした製鉄所再編・設備縮減の動きが継続しており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。国内市場では技術力とシェア維持・利益率向上に努め、海外市場では易乾燥性樋材などの新技術開発とロイヤリティー収入の確保を図ることで影響の最小化を目指している。
エンジニアリング事業の収益認識リスク
エンジニアリング事業は売上高の40.8%を占め、工業炉新設工事や焼却設備補修工事など1件当たりの取引額が多額になるケースが多い。契約ごとに異なる仕様確認や試運転による慎重な検収が実施されるため、売上の期間帰属等に関して業績への影響が生じる可能性がある。適正な収益認識に向け、期間帰属の判断を特に慎重に行う方針としている。
棚卸資産の評価損リスク
多品種の在庫を保有しており、販売価格の低下時には帳簿価額を時価まで切り下げ、滞留期間に応じた評価損を計上する会計処理を採用している。販売価格の動向や在庫の滞留状況によっては業績に影響を及ぼす可能性がある。内部統制手続を整備し、評価減の金額を基準に基づいて適正に算定する運用に努めている。
生産設備の老朽化リスク
主要設備の中には導入後の経過年数が長いものも少なくなく、予想を超える異常停止等が発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性がある。大阪工場のトンネル窯では経年劣化による内張煉瓦のせり出し・脱落が頻発したため2025年3月より大規模補修工事を実施し、品質・納期の安定化を図った。中期経営計画2027に基づく計画的な設備更新と、2023年4月に立ち上げた「工場再構築プロジェクト」による抜本的対策を並行して進めている。
原材料調達・価格高騰リスク
耐火物製造に必要な原材料を中国をはじめとする世界各国から調達しており、地政学リスクの発生により調達に問題が生じた場合や、原材料価格の高騰・高止まりおよび大幅な円安が続いた場合には業績が下振れする可能性がある。調達先の分散化を図るとともに、顧客への丁寧な説明に基づく価格改定の着実な実施と機動的な為替ヘッジを推進している。
燃料価格高騰リスク
定形耐火物の製造工程(焼成等)において多量のガスや電気を使用しており、ロシアによるウクライナ侵攻以降の原油価格上昇と円安進行により183期(2023年3月期)は燃料価格がかつてない上昇幅で推移し、184期(2024年3月期)以降も高止まりが続いている。中東情勢の変化による原油価格のさらなる高騰・石油製品供給への懸念も加わり、業績が下振れする可能性がある。顧客理解に基づく価格改定を鋭意進めることで影響の軽減を図っている。
大規模自然災害リスク
当社グループの生産拠点(大阪・愛知・埼玉)は南海トラフ地震をはじめとする大規模地震の予想エリアに所在しており、台風・集中豪雨等の自然災害が発生した場合には設備老朽化リスクとも相まって業績に影響を及ぼす可能性がある。2020年3月にBCPを抜本的に改定し、2025年3月にも一部見直しを実施しており、定期的な教育・訓練を通じて早期の事業復旧体制を整備している。
サイバーセキュリティリスク
世界的にサイバー攻撃による被害が増加しており、当社においても2023年11月に事業所の一部デバイスがランサムウェア攻撃を受けた実績がある。セキュリティ強化の効果により影響は限定的にとどまったが、今後も同様の攻撃が発生した場合には業務への支障が生じる可能性がある。セキュリティツールの運用強化と外部専門家によるアドバイスの活用を継続し、対策の拡充に努めている。
地政学リスクと国際情勢
中東をめぐる国際情勢の緊迫化により、原油価格高騰や石油製品の供給不安など業績への直接的な影響が懸念されるほか、金利・為替相場等の市場動向を通じた間接的な影響も想定される。原材料調達先の中国をはじめとする特定国への依存リスクとも連動しており、グループ全体の業績に複合的な影響を及ぼす可能性がある。調達先の多様化と機動的な為替ヘッジにより影響の軽減を図っている。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

