事業内容
株式会社有沢製作所は1909年創業、新潟県上越市を本拠とする東証プライム上場の素材・機能性材料メーカーである。当社グループは当社と子会社12社で構成され、①フレキシブルプリント配線板用材料等の電子材料、②水処理用FRP製圧力容器・航空機用ハニカムパネル等の産業用構造材料、③ガラスクロス・プリプレグ等の電気絶縁材料、④3D表示フィルター等のディスプレイ材料の4セグメントを展開する。
主要顧客はスマートフォン・半導体メーカー、水処理インフラ事業者、航空機メーカー等に及び、台湾・欧州・米国に製造・販売拠点を持つグローバル体制を構築している。2026年3月期の連結売上高は56,474百万円。
ビジネスモデル
当社は「織る、塗る、形づくる」という独自の製造技術を核に、電子材料・産業用構造材料・電気絶縁材料・ディスプレイ材料の4セグメントで製品を製造・販売する。売上高の約63.5%を電子材料が占め、スマートフォン・半導体向けFPC用材料が主力収益源。
産業用構造材料(売上高比24.3%)は水処理・航空機向けで高利益率(21.1%)を誇る。グループ内で研究開発・製造・物流を一貫して担い、大規模設備投資(2026年3月期7,030百万円)による生産能力増強と操業度向上でコスト効率を改善しながら収益を拡大する構造である。
企業の強み
創業以来蓄積した樹脂配合・塗工・成形の固有技術を基盤に、フッ素フリーFCCL・バイオマス度25%以上のカバーレイフィルム・高耐熱CFRPスリーブ(Tg250℃以上)等の差異化製品を開発。研究開発費は2,778百万円(2026年3月期)、研究開発人員185名を擁し、技術競争力を継続的に強化している。
売上高の63.5%を占める電子材料(セグメント利益率9.9%)と、高利益率の産業用構造材料(同21.1%)が収益の両輪を担う。2026年3月期に産業用構造材料は前期比29.3%増収・64.7%増益を達成し、電子材料の変動リスクを補完する構造が機能した。
台湾子会社(新揚科技股份有限公司)でFPC用材料を製造、欧州(Protec Arisawa Europe, S.A.)・米国(Protec Arisawa America, Inc.)で水処理用FRP製圧力容器を製造販売。2026年2月には米国カリフォルニア州にArisawa Manufacturing America, Inc.を新設し、電子材料・産業用構造材料の米国市場開拓を本格化した。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期42,114百万円を底に2期連続で加速度的に拡大し、2026年3月期は56,474百万円(前期比13.4%増)に達した。営業利益は5,805百万円(同18.6%増)、売上高営業利益率は10.3%(前期9.8%)と収益性も改善した。
外部要因としてスマートフォン・AIサーバー向け半導体需要の拡大が電子材料(前期比14.0%増収)を牽引し、航空機市場の回復と水処理インフラ投資の増加が産業用構造材料(同29.3%増収、セグメント利益同64.7%増)を押し上げた。一方、ディスプレイ材料は3D関連材料・偏光利用部材の需要低迷で売上高19.1%減・セグメント利益51.8%減と大幅悪化。
2027年3月期は売上高61,300百万円(同8.5%増)を見込むが、純利益は4,000百万円(同19.9%減)と特別利益剥落・減価償却費増加により減益予想となっている。
成長戦略
独自技術の深化と米国市場進出・新領域開拓でROIC8%以上・ROE10%以上を目指す
2026年3月期に電子材料セグメントへ4,546百万円の設備投資を実施し、フレキシブルプリント配線板用材料・ガラスクロスの生産能力を増強。スマートフォン・PC・AIサーバー向け半導体需要の拡大を取り込み、同セグメント売上高35,882百万円(前期比14.0%増)・利益24.7%増を達成した。
2026年2月取締役会決議、2026年4月資本金払込完了(4,500千USD、100%子会社)。米国カリフォルニア州に工場取得予定で、電子材料・産業用構造材料の現地製造・販売を開始し、地政学リスク分散と米国市場開拓を同時に実現する戦略的布石。
水処理用FRP製圧力容器と航空機用ハニカムパネルの需要拡大を背景に、2026年3月期は産業用構造材料セグメント売上高13,731百万円(前期比29.3%増)、セグメント利益2,902百万円(同64.7%増)、利益率21.1%を達成。設備投資1,260百万円による生産能力拡充で高収益基盤を強化している。
「織る・塗る・形づくる」技術を活用し、燃料電池・水素エネルギー・次世代電池・次世代モビリティ等の新分野への製品展開を中期戦略として推進。電気絶縁材料セグメントでも収益改善施策が奏功し、2026年3月期セグメント利益率が前期6.9%から10.4%へ向上した。
2026年3月期にセグメント売上高3,974百万円(前期比19.1%減)、セグメント利益833百万円(同51.8%減)と急激に悪化。3D関連材料・偏光利用部材の需要低迷が続いており、産業インフラ・医療機器・次世代コンピューティング分野への新製品拡販による収益立て直しが課題となっている。
最終更新: 2026年7月19日

