事業内容
株式会社ヌーラボは「To make creating simple and enjoyable」をミッションに掲げ、プロジェクト管理ツール「Backlog」、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、セキュリティ・ガバナンス強化ツール「Nulab Pass」の3サービスをSaaS型で提供する。主要顧客はIT・非IT問わず幅広い業種の企業・チームであり、エンジニアから一般オフィスワーカーまで使いやすいUIを特徴とする。
2004年福岡創業、2022年東京証券取引所グロース市場上場。2026年3月期売上高は4,394百万円。
海外子会社を清算し、国内主力事業への経営資源集中を進めている。
ビジネスモデル
Backlog・Cacooは使用期間・容量に応じた定額サブスクリプション(一部プランはユーザー数無制限)、Nulab PassはユーザーID数に応じた従量課金を採用する。契約外メンバーとの共同利用が可能な設計により、利用体験者が自社導入を促すリファラル型の製品主導成長(PLG)を実現。
ARR(2026年3月時点)は4,574百万円、解約率は月次0.27%と低水準で、LTV/CACは10.9倍を記録している。
企業の強み
2026年3月時点の月次解約率は0.27%と極めて低く、LTV/CACは10.9倍を記録。有料契約数は18,906件、前受収益は1,874百万円(前期比8.1%増)と積み上がっており、サブスクリプション型収益基盤の安定性を数値で裏付けている。
Backlogの主要プランはユーザー数無制限の定額制を採用し、契約外の社外メンバーも同一スペースで利用可能。利用体験者が自社導入を促すリファラル循環が生じ、広告費に依存しない製品主導の顧客獲得を実現している。2026年3月期のBacklog売上高は4,042百万円と全体の92%を占める。
2026年3月期末の現金及び現金同等物残高は2,976百万円。有利子負債はなく、IPO時の公募増資資金を内部留保として維持。設備投資(2026年3月期306百万円)や将来のM&A・新規事業投資を自己資金で賄える財務的余力を有している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期2,328百万円から2026年3月期4,393百万円へ5期で約1.9倍に拡大し、増収基調は継続している。ただし売上成長率は2025年3月期12.3%から2026年3月期6.8%へ鈍化。
営業利益は2025年3月期に640百万円(前期比92.8%増)と急拡大した後、2026年3月期は354百万円(前期比44.6%減)と急落。販管費が2,888百万円(前期比24.3%増)と売上増加率を大幅に上回る増加に加え、海外子会社清算に伴う特別損失111,699千円が純利益を圧迫し、親会社株主帰属当期純利益は178百万円(前期比67.7%減)となった。
営業CFは282百万円(前期749百万円)と大幅減少し、投資CFは350百万円の支出(前期128百万円)と拡大。現金残高は2,975百万円と依然として潤沢。
2027年3月期は会社予想で営業利益650百万円と過去最高益更新を見込む。
成長戦略
AI機能強化・新規事業創出・M&Aによる既存事業深化と非連続成長の両立
2026年3月に正式リリースした運用支援AI機能「Backlog AIアシスタント」をベータ版での高評価を背景に既存顧客へ積極展開。有料オプション化による客単価向上でBacklogの収益基盤を強化し、2027年3月期の増益を牽引する主要施策と位置付けられている。
2026年3月期に販管費を前期比24.3%増の2,888百万円に拡大し、セールス・マーケティング体制を強化。DX推進・情報セキュリティ需要を取り込み、Backlogおよびヌーラボパスの新規契約獲得を加速させる。2027年3月期は投資効率の最適化により利益率の回復を見込む。
社外からのエントリーに基づく選考を通じてイノベーティブな新プロダクト開発を促進する社内外連携プログラム。Backlog依存からの脱却と将来の新たな収益源確立を目的とし、現在選考プロセスを進行中。具体的な事業化時期・規模は未開示。
Nulab USA, Inc.およびNulab Netherlands B.V.の清算を決定し、事業構造改善引当金102,447千円を計上。海外展開コストを削減し、国内主力事業への経営資源集中と財務体質の健全化を図る。清算関連費用の実際発生額が見積額と乖離するリスクが残存する。
将来的にBacklogに依存しない新たな成長モデルを確立するため、新プロダクト開発と並行してM&Aにも注力する方針を表明。現金2,975百万円・無借金の財務基盤を活用した投資余力を有するが、具体的な案件・対象領域は現時点で未開示。
最終更新: 2026年7月19日

