事業内容
フマキラー株式会社は1924年創立の殺虫剤専業メーカーを起源とし、現在は殺虫剤・家庭用品・園芸用品・防疫剤の4部門を国内外で展開する。連結子会社24社を含むグループ全体の売上高は77,366百万円(2026年3月期)で、海外売上比率は65.6%に達する。
主要市場は日本・東南アジア(インドネシア・マレーシア・タイ・ベトナム・ミャンマー)・欧州(イタリア)・インド・メキシコで、世界約70カ国に販売ネットワークを構築する。主要顧客は一般消費者向けが中心だが、防疫剤部門では官公庁・公共機関向けも手掛ける。
「ベープ」「おすだけベープ」等の自社ブランドを保有し、感染症対策需要を取り込む製品群を継続的に投入している。
ビジネスモデル
インドネシアを主要生産拠点として製品を製造し、日本・東南アジア・欧州・新興国の現地法人を通じて販売する垂直統合型モデルを採用する。国内では殺虫剤・家庭用品・園芸用品・防疫剤の4部門で自社ブランド製品を展開し、海外では現地法人が製造・販売を担う。
研究開発は日本・インドネシア・マレーシア・イタリアの4拠点で実施し、各地域の規制・害虫特性に適合した製品を投入することで付加価値を確保する。
企業の強み
1924年創立以来、世界初の電気蚊取り「ベープ」(1963年)、世界最長の電池式虫よけ「どこでもベープ」(2000年)、火も電気も水も使わない「おすだけベープ」(2008年)等、複数の世界初製品を生み出してきた。2025年には「フマキラー殺虫液」と「ベープ」が第16回化学遺産に認定されており、ブランドの歴史的信頼性は競合が短期間で模倣困難な固有資産である。
東南アジア5カ国(インドネシア・マレーシア・タイ・ベトナム・ミャンマー)、欧州(イタリア2社)、インド・メキシコに現地法人を設置し、製造・販売を現地で完結させる体制を構築している。2022年のZAPI社子会社化により欧州に製造・研究開発拠点を確立し、2026年3月期の欧州売上高は13,672百万円(前期比17.8%増)と成長が続く。
広島工場内に研究開発棟・生産設備から構成されるブレーンズ・パーク広島を建設・拡充中であり、2026年3月期の設備投資額は日本セグメントだけで1,663百万円に達する。日本・東南アジア・欧州の研究開発拠点と連携し、外来生物対策・感染症対策・除菌剤等の新価値創造型製品を継続的に開発する体制を整備している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期52,729百万円から2026年3月期77,366百万円へ5期連続増収を達成。しかし営業利益は2025年3月期の2,646百万円から2026年3月期は2,190百万円へ17.2%減少し、営業利益率は2.8%と過去5期で最低水準となった。
外部要因として円安が海外売上の円貨換算を押し上げた一方(為替変動除きの実質増収率は1.8%)、東南アジアでの広告・販促投資増と国内人件費上昇が販管費を9.2%押し上げた。営業CFは843百万円と前期比53.6%減少し、有形固定資産取得2,066百万円を中心とした投資活動により期末現金は8,326百万円(前期9,361百万円)に減少した。
成長戦略
海外地理的拡大の経営基盤強化と国内研究開発・生産体制強化によるグローバル競争力向上
インドネシア・マレーシア・タイ・ベトナム・ミャンマー等の主要国で広告・販促投資を積極化し、現地通貨ベースの売上成長を維持しながら市場シェアの拡大を図る。2026年3月期は投資増により利益が39.1%減となったが、売上は6.0%増を確保した。
ZAPI社・FUMAKILLA EUROPE社を核とした欧州製造・研究開発拠点を活用し、現地通貨ベースの売上増加と円安効果を組み合わせて欧州売上を拡大する。2026年3月期は13,672百万円(前期比17.8%増)、セグメント利益529百万円(同8.7%増)と順調に拡大中。
インド・メキシコの現地法人を通じた感染症対策需要の取り込みを強化する。2026年3月期の「その他」セグメント売上高は3,052百万円(前期比37.7%増)、セグメント利益128百万円(同100.0%増)と急成長しており、グループ第4の収益柱として育成中。
広島工場内の研究開発棟・生産設備拡充を継続し、中長期的な製品競争力の強化を図る。2026年3月期の有形固定資産取得支出は2,066百万円(前期1,688百万円)と増加しており、設備投資が加速している。
エステー株式会社との資本業務提携を通じ、営業・開発・生産各分野での協業を推進する。国内家庭用品部門はアルコール除菌剤・アレルシャット新製品が好調で2026年3月期に10.9%増を達成しており、提携効果が一部顕在化している。
最終更新: 2026年7月19日

