事業内容
デクセリアルズは、光学材料部品と電子材料部品の2セグメントを軸に、反射防止フィルム(ARF)・異方性導電膜(ACF)・光半導体などの高機能性材料・デバイスを開発・製造・販売する機能性材料メーカーである。1962年にソニーケミカルとして創業し、2015年に東証一部上場。
主要顧客はスマートフォン・ノートPC・車載ディスプレイメーカーおよびデータセンター向け光トランシーバーメーカーで、グローバルに事業展開する。2024年にはフォトニクス事業を担うデクセリアルズ フォトニクス ソリューションズを設立し、生成AI普及を背景とした光半導体需要の取り込みを加速している。
ビジネスモデル
顧客仕様に合わせたカスタマイズ製品を提供し、材料供給にとどまらずプロセス特許の無償提供や製造設備導入サポートまで行うソリューション型販売を展開する。外部からの分析・模倣が困難な高機能材料と製造プロセスを組み合わせることで参入障壁を構築し、米国・欧州・中国・台湾・韓国・シンガポールの海外販売子会社を通じた直販体制により高い事業利益率(2026年3月期:34.6%)を維持している。
企業の強み
1977年に業界に先駆けてACFを開発・量産化し、スマートフォンのフレキシブルOLEDパネル向け粒子整列型ACFは世界のデファクトスタンダードとして広く採用されている。約50年の技術蓄積と安定供給体制が競合の模倣を困難にしており、2026年3月期の電子材料部品セグメント売上高は66,724百万円、事業利益率は37.5%に達する。
薄膜形成・コーティング、微細加工、光半導体、無機材料、有機材料、分析評価の6つのコア技術を保有し、これらを組み合わせることで新製品を継続創出している。2026年3月期の研究開発費は6,740百万円で、フォトニクス・半導体集積領域を注力分野に設定。
OFC2025等の国際展示会への出展を通じ顧客ニーズを製品開発に反映する体制を構築している。
2026年3月期の売上高113,832百万円に対し事業利益39,352百万円(事業利益率34.6%)、EBITDA46,892百万円(EBITDAマージン41.2%)、ROE27.3%、ROIC22.8%を達成。借入金残高は14,749百万円で総資産比8.9%と低く、コミットメントライン21,000百万円を確保するなど財務健全性が高い。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期95,712百万円から2026年3月期113,832百万円へ5期連続増収(CAGR約4.4%)。2026年3月期は電子材料部品(+10.4%)が光学材料部品(▲5.3%、蛍光体フィルム販売終息影響)の減収を補い、全体で前期比3.1%増を確保した。
当期利益は28,009百万円と過去最高水準を更新(前期比1.0%増)。一方、営業利益は38,097百万円(前期比4.1%減)と5期ぶりの減益。
その他の費用増加(901百万円→1,733百万円)が主因。外部要因として生成AI普及によるデータセンター需要拡大が電子材料部品の成長を支えた一方、中国自動車市場の競争激化・メモリ価格高騰懸念・為替不安定が下押し要因として存在した。
2027年3月期は売上高123,000百万円(+8.1%)・事業利益40,000百万円(+1.6%)を予想。
成長戦略
中期経営計画2028「進化の実現」で自動車・フォトニクス成長領域の売上構成比拡大
データセンター向け光トランシーバー用光半導体の新製造設備を稼働させ、2027年3月期に販売数量の大幅拡大を計画。歩留まり改善への継続的取り組みと合わせ、電子材料部品セグメントの次の主要収益柱として育成中。有形固定資産は前期比27,155百万円増の76,858百万円に拡大。
EV化の進展に伴う車載ディスプレイの大型化・高機能化を背景に、ARFの採用モデル数増加とディスプレイ面積拡大を継続的に推進。中国市場の競争激化による顧客販売数量減少を吸収しながら微増を確保しており、中長期的な成長ドライバーとして機能している。
形状加工ACFをはじめとしたカメラモジュール向け高付加価値製品の採用モデル拡大と使用量増加を推進。蛍光体フィルム販売終息後の製品ポートフォリオ再構築として、高付加価値品比率の向上を図る。2026年3月期は形状加工ACFが好調に推移し増収に貢献。
中期経営計画期間(5年間累計)で総還元性向60%を目途とし、連結配当性向40%・DOE7%以上の長期安定配当を目指す。2026年3月期の総還元性向は54.0%。2027年3月期は年間配当64.00円(前期比+6.00円)への増配を予定。自己株式は原則消却方針。
最終更新: 2026年7月19日

