事業内容
artience株式会社(旧東洋インキSCホールディングス)は1896年創業の老舗インキ・機能材料メーカーで、連結子会社56社・持分法適用関連会社5社を擁するグローバルグループ。色材・機能材、ポリマー・塗加工、パッケージ、印刷・情報の4セグメントを軸に、有機顔料・リチウムイオン電池材料・光学粘着剤・缶用塗料・グラビアインキ等を幅広く展開する。
主要顧客は電子部品・自動車・食品包装・印刷業界に及び、アジア・欧州・北米・中東を含むグローバルな製造・販売網を持つ。2024年に商号変更とともに新中期経営計画artience2027/2030 GROWTHを策定し、ディスプレイ・先端エレクトロニクスおよびモビリティ・バッテリーの2領域を戦略的重点事業として資源集中を進めている。
ビジネスモデル
グループ各社が顔料・インキ・粘着剤・塗料・電池材料等を製造し、電子・自動車・食品包装・印刷等の多様な産業向けに販売する製造販売モデル。国内外56の連結子会社を通じたグローバル供給体制を強みとし、研究開発費10,159百万円(2025期)を投じた技術差別化により高付加価値製品の採用拡大を図る。
収益の柱はポリマー・塗加工(営業利益率9.2%)とパッケージ(同5.9%)であり、成熟市場の効率化と成長領域への集中投資を組み合わせた二軸経営を推進している。
企業の強み
ポリマー・塗加工関連事業は売上高90,305百万円・営業利益8,292百万円・営業利益率9.2%と全セグメント最高水準。ディスプレイ用光学粘着剤の中国向け拡販が大きく伸長し、前期比15.9%増益を達成。缶用塗料もタイ・トルコで拡販が進み、半導体関連材料の開発品採用も拡大している。
連結子会社56社を擁し、東南アジア・中国・欧州・北米・インド・中東(トルコ)に製造拠点を展開。2025期にはトルコ新工場稼働、インドでの生産能力増強決定、中国での生産拠点再編を実施。主要顧客で販売実績の10%超を占める先が存在しない分散構造を持つ。
グループ全体の研究開発費は10,159百万円(2025期)。有機合成・粒子制御・分散加工・ポリマー設計等のコア技術を基盤に、ディスプレイ・先端エレクトロニクスおよびモビリティ・バッテリーの2領域に資源を集中。
CMOSイメージセンサー用レジストインキの採用進展、低誘電樹脂材料の新規採用など先端分野での実績が拡大している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の売上高は2021期287,989百万円→2025期349,979百万円と拡大基調。営業利益は2022期に6,865百万円へ落ち込んだ後、2024期20,414百万円・2025期20,765百万円と大幅改善。
2025期は当期純利益が10,340百万円と2024期18,540百万円から急落したが、これは減損等の一時要因によるもの。2026年12月期第1四半期は売上高88,325百万円(前年同期比+7.5%)・営業利益5,200百万円(+16.1%)・経常利益6,115百万円(+45.4%)と全指標で改善。
外部要因として中東情勢不安定化による顧客前倒し発注が売上高を押し上げた面があるが、価格改定浸透と環境対応型製品拡販による構造的な収益改善も進んでいる。通期予想(売上高360,000百万円・営業利益23,000百万円)に対する1Q進捗率は売上高24.5%・営業利益22.6%と概ね順調。
成長戦略
先端エレクトロニクス・モビリティ・バッテリーへの資源集中と2029期ROE10%以上を目指す
価格改定の継続浸透と環境対応型製品の拡販により既存事業の採算を改善。2026年12月期第1四半期において全4セグメントで増収増益を達成し、ポリマー・塗加工事業が営業利益率8.9%を記録するなど高収益化が進展している。
光半導体材料(CMOSイメージセンサー用)・カラーフィルター用材料・車載用リチウムイオン電池材料・導電性接着シート等の機能性フィルムを重点育成。欧州での車載電池材料出荷量増加や光半導体材料の顧客採用拡大が進むが、車載電池材料は費用を補うまでには至っておらず収益化が課題。
インド・トルコ・東南アジアでのリキッドインキ・粘着剤・缶用塗料の拡販を推進。2026年12月期第1四半期においてトルコでの新規顧客・周辺国拡販、インドでのリキッドインキ拡販が進展し、パッケージ関連事業の売上高が前年同期比+10.3%増と牽引役となっている。
統合基幹業務システム導入によるグループ全体の業務効率化と、自己株式取得・増配による株主還元強化を並行推進。2026年12月期の年間配当予想は120円(前期比+20円)に引き上げ、取締役会決議に基づく自己株式542,400株の取得を実施済み。
最終更新: 2026年7月17日

