事業内容
エーザイ株式会社は1936年創業の日本発グローバル製薬企業で、連結子会社49社・持分法適用会社1社を擁する。事業の中心は医療用医薬品の研究開発・製造・販売であり、神経領域(アルツハイマー病・不眠症・てんかん)とがん領域(肝細胞がん・腎細胞がん・子宮内膜がん等)に経営資源を集中する。
日本・アメリカス・中国・EMEA・イーストアジア・グローバルサウスの5セグメントでグローバル展開し、2025年度売上収益は825,378百万円と過去最高を更新。主要顧客は病院・専門医を中心とした医療機関であり、一般用医薬品(チョコラBBシリーズ等)も国内で展開する。
ビジネスモデル
エーザイは「レケンビ」(Biogen社との共同開発・共同販促)、「レンビマ」(米メルク社との共同開発・共同販促)など戦略的提携を活用して開発リスクを分散しつつ、グローバル5セグメントの販売網で収益を最大化する。アメリカス事業(売上収益300,440百万円、利益率58.0%)が最大の収益源であり、中国・イーストアジア等の新興市場が高成長を担う。
ライセンス収入・マイルストン収入も補完的収益として機能する。
企業の強み
レカネマブ(レケンビ)は2025年度末時点で53の国と地域で承認を取得し、2025年度売上収益は880億円(前期比98.7%増)と急拡大。米国では皮下注オートインジェクター製剤「LEQEMBI IQLIK」を2025年10月に新発売し、利便性向上による処方拡大が進行中。
早期AD領域での先行承認という競争優位を有する。
「レンビマ」は2025年度売上収益3,425億円(前期比4.3%増)を達成し、米国では2030年6月30日まで独占期間が継続。甲状腺がん・肝細胞がん・腎細胞がん・子宮内膜がん等の複数適応を保有し、米メルク社との2036年3月まで有効な戦略的提携契約が安定的な収益基盤を支える。
アメリカス事業のセグメント利益率58.0%、中国事業45.4%と主要セグメントが高収益構造を維持。2025年度末の有利子負債控除後ネットキャッシュは801億円と実質無借金を維持し、親会社所有者帰属持分比率は62.0%。
研究開発費158,662百万円(売上収益比19.2%)を投下しながら財務健全性を確保している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上収益は825,378百万円(前期比4.6%増)と過去最高を更新。「レケンビ」(前期比98.7%増)・「デエビゴ」(同19.6%増)・「フィコンパ」(同11.6%増)が牽引した。
一方、営業利益は44,138百万円(同18.8%減)と減益。前期に計上した製品権利譲渡一時金・戦略的提携終結益の剥落、「レケンビ」への積極投資、欧州構造改革費用(解雇給付8,728百万円)が主因。
一過性を除いたコア営業利益は501億円(前期比110.7%増)と本質的収益性は大幅改善。2027年3月期は売上収益883,500百万円(前期比7.0%増)、営業利益70,000百万円(同58.6%増)を予想し、「レケンビ」・「デエビゴ」主導の増収と欧州構造改革効果による費用低減で利益回復を見込む。
過去5期の営業利益は40,040〜54,378百万円のレンジで推移しており、2027年3月期予想の70,000百万円は過去最高水準となる。
成長戦略
「レケンビ」のグローバル製剤革新・適応拡大と「レンビマ」価値最大化を両輪に長期成長を目指す
皮下注オートインジェクター製剤による初期療法は米国でsBLAがFDA優先審査指定(PUDFAアクションデート2026年8月24日)、日本でPMDA申請済み、中国でBLA受理・優先審査指定。承認取得により在宅投与が可能となり処方拡大が加速する見込み。
2027年3月期「レケンビ」売上収益予想は1,435億円(前期比63.1%増)。
米メルク社のベルズチファンとの併用療法でPFS統計学的有意改善を達成し、米国FDAがsNDAを受理(PUDFAアクションデート2026年10月4日)。日本でも2026年3月に申請済み。承認取得により「レンビマ」の独占期間(米国2030年6月まで)内での価値最大化が図られる。
ACTCとのパートナーシップのもと、無症状期ADを対象とするAHEAD 3-45試験が日本・米国・欧州等で進行中。2028年度中のトップライン取得に向け順調に進行しており、承認取得により「レケンビ」の適応対象患者層が大幅に拡大する可能性がある。
欧州での構造改革を推進し、当期に解雇給付8,728百万円を計上。2027年3月期予想では欧州構造改革による費用低減効果を織り込み、販売費及び一般管理費は前期比1.4%増の4,415億円に抑制する計画。グローバル全体のオペレーション最適化により全社収益構造の変革を図る。
2025年6月にエコナビスタ株式会社を完全子会社化(取得対価15,527百万円、のれん9,545百万円)し、SaaS型高齢者見守りシステム「ライフリズムナビ」を認知症プラットフォームのコアソリューションとして統合。中国では銀髪通を通じたオンライン診療を展開し、医療較差の是正に取り組む。
最終更新: 2026年7月19日

