研究開発パイプラインリスク
候補物質の有効性・安全性が承認水準を充たさない場合、研究開発の途中断念や追加試験の実施を余儀なくされ、投資コストの未回収や製品上市の遅延が生じる。当社は社外パートナーとの提携強化や質の高いパイプライン構築により成功確率向上を図っているが、リスクを完全に排除することはできない。
特許満了による売上低下
多くの製品において特許・規制上の独占権喪失後に後発品が参入し、米国・欧州では短期間で先発品から後発品へ切り替わり収益が大幅に減少する。国内でも当局による後発品使用促進や長期収載品の価格引き下げが進んでおり、競合品の後発品やスイッチOTC薬の出現も加わり競争環境は一層厳しくなっている。
薬剤費抑制・価格引き下げ
米国ではインフレ抑制法(IRA)によるメディケア価格交渉権付与や2025年5月発出の最恵国待遇(MFN)価格導入に関する大統領令など、先発品への価格引き下げ圧力が一層高まっている。日本・欧州・中国を含む新興国でも公定薬価の毎年引き下げや国際参照価格制度が広がっており、グローバルな価格圧力が当社の業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性がある。当社はバリューベースド・プライシング等の解決策を追求しているが、影響を完全に回避できる保証はない。
戦略的取引・財務レバレッジ
企業買収・ライセンス契約等の戦略的取引に伴い多額ののれん・無形資産を計上しており、臨床試験結果の不振や業績寄与の想定下回りにより減損損失が発生し業績・財務状況・配当可能利益に悪影響を及ぼす可能性がある。過去の取引に起因する多額の有利子負債を抱えており、財務状況の悪化は信用格付けの引き下げや資金調達条件の悪化につながるリスクがある。コミットメントラインの制限条項に抵触した場合には即時返済が求められる可能性もある。
為替・金利変動リスク
海外売上収益が連結売上収益全体の90.4%(うち米国が48.0%)を占めており、為替変動が業績に大きく影響する。円安は売上収益の増加要因となる一方、外貨建て研究開発費等のコスト増加要因ともなり、また金利変動による資金調達コスト上昇やグローバルなインフレ進行が利益を圧迫する可能性がある。デリバティブ取引等によるヘッジを実施しているが、想定を超える市場変動には対応しきれない場合がある。
ITセキュリティ・AI導入リスク
大規模かつ複雑なIS/ITシステムへの依存度増大に伴いシステム停止やサイバー攻撃のリスクが拡大しており、AIおよびエージェント型テクノロジーの導入に伴いプロンプトインジェクションや機密情報の意図しない漏えい等の新たな脅威にも直面する。デジタル・AIガバナンスが断片的または不十分な場合にはコンプライアンス・業務運営・社会的信頼に関するリスクが高まる。当社はクラウド移行やグローバルサイバーセキュリティ戦略の策定等に取り組んでいるが、技術変化の速さから導入ソリューションが短期間で陳腐化する可能性がある。
コンプライアンス違反リスク
薬事規制・GMP・独占禁止法・個人情報保護法等の多様な法規制に加え、医療従事者・政府関係者等との広範な接点や第三者を通じた取引がコンプライアンスリスクを内在させている。規制当局による取り締まり強化や複数法域にわたる法制度の断片的変化、デジタルエンゲージメントモデルの急速な変化によりリスクは一層高まっており、違反が発生した場合には金銭的制裁・訴訟・業務混乱・社会的信頼への悪影響が生じる可能性がある。当社はグローバルエシックス&コンプライアンス部門を設置し第三者リスク管理の枠組みを導入しているが、リスクの完全排除は困難である。
リーダーシップ移行・組織変革
最高経営責任者を含む経営陣の交代と広範な組織・事業運営モデルの変革が進行中であり、移行・適応期間において戦略上の優先順位への影響、意思決定の遅延・複雑化、ガバナンスや内部統制の一時的な弱体化が生じる可能性がある。重要人材や組織知識の喪失、従業員エンゲージメントの悪化といったリスクも伴い、業務の混乱や社会的信頼への悪影響が当社の長期的な戦略目標に悪影響を及ぼす可能性がある。当社は暫定的なリーダーシップ体制や組織健全性指標のモニタリング等の対応策を講じているが、意図したとおりに機能しない可能性がある。
カントリー・地政学リスク
グローバルな事業展開に伴い、進出国・地域における政治不安、経済情勢悪化、医薬品に対する関税を含む貿易制限措置、地政学的緊張の高まり等のリスクにさらされており、規制当局の機能不全による承認手続の遅延や製品供給の継続性への影響が生じる可能性がある。地政学的リスクは製品供給・コンプライアンス・越境データ規制等の他のリスクを増幅させる複合的な性質を持つ。当社は部門横断的なモニタリング体制や事業継続計画の定期的テストを実施しているが、不測の事態が生じた場合には業績・財務状況・社会的信頼に影響が及ぶ可能性がある。
環境・気候変動リスク
炭素税導入に伴うサプライヤーからのコスト増加、高温ストレス・水資源不足・洪水による製造拠点および医薬品製造受託機関(CMO)への物理的リスクが顕在化した場合、事業・業績・財務状況に影響が生じる可能性がある。環境法規制の改正や社会の期待の変化により研究・製造その他の事業活動に対してより厳しい要請が課せられるリスクもある。当社は2024年度に気候関連リスクのシナリオ分析を更新しネットゼロロードマップを推進しているが、サステナビリティ目標の未達はステークホルダーの信頼低下や人材採用・投資家関係への悪影響につながる可能性がある。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

