事業内容
ラクスル株式会社は「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」をビジョンに掲げ、デジタル化が遅れた伝統産業にインターネットを活用した新たな仕組みを提供する。主力の調達プラットフォームでは、印刷・梱包材・印鑑等のBtoB向けECを展開し、全国の提携印刷会社の余剰キャパシティをシェアリングすることで中小企業・個人事業主に低価格・小ロットの印刷サービスを提供する。
マーケティングプラットフォームでは、テレビCM・動画広告のプラットフォーム「ノバセル」やホームページ制作SaaS「ペライチ」を通じ、企業のマーケティング課題を包括的に支援する。2025年7月期の売上高は61,950百万円、累計ユーザー数は3,317,307人に達している。
ビジネスモデル
自社で印刷設備を保有せず、全国の提携印刷会社の非稼働時間を活用するシェアリングモデルにより、装置産業でありながら資本効率の高い事業運営を実現する。顧客からの受注をECで集約し、ギャンギング(多面付け印刷)によるコスト削減を実現。
売上高からサプライヤーへの仕入代金を差し引いた売上総利益を最重要指標と位置づけ、プライシング最適化・資材共同調達・サプライヤー生産性向上により継続的な利益率改善を図る。2025年7月期の売上総利益は21,684百万円(前年同期比26.1%増)。
企業の強み
「ラクスル」の累計ユーザー数は2025年7月期末時点で3,317,307人に達し、2021年7月期末の1,532,172人から約2.2倍に拡大。複数回注文を行うリピーター顧客が多く、年間購入者数・注文回数・注文単価の安定的な推移が収益基盤の安定性を支えている。
全国の提携印刷会社の余剰キャパシティを活用するシェアリングモデルにより、印刷という装置産業において自社設備投資なしにスケール可能な生産体制を構築。売上の急成長にも対応できる柔軟な供給体制を維持しており、2025年7月期の設備投資総額は2,161百万円にとどまる。
2023年以降、ラクスルファクトリー・ハンコヤドットコム・エーリンクサービス・ネットスクウェア・メーリングジャパン等を連続取得。M&Aによる領域拡張が調達プラットフォームの売上高22.4%増・セグメント利益43.8%増(2025年7月期)に貢献しており、PMI専門チームによる統合体制も整備されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2021期から2025期にかけて売上高は30,261百万円→61,950百万円と5期で約2倍に拡大。営業利益も221百万円→3,819百万円と大幅改善。
2026年7月期中間期(2025年8月〜2026年1月)は売上高35,748百万円(前年同期比20.2%増)、売上総利益12,461百万円(同20.9%増)、営業利益2,153百万円(同13.3%増)、親会社株主帰属中間純利益2,163百万円(同21.2%増)。外部要因として、デジタル化・EC化の進展が潜在需要を下支えしている一方、物価上昇や金融資本市場の変動が先行き不透明感をもたらしている。
販管費が前年同期比22.6%増(8,409百万円→10,307百万円)と売上増を上回るペースで増加しており、営業利益率は6.4%→6.0%へ若干低下した点は留意が必要。
成長戦略
調達ECを基盤にソフトウェア・ファイナンス領域へ拡張し、中小企業のEnd-to-Endプラットフォームを目指す
印刷・ソリューション(12,811百万円)、ビジネスサプライ周辺(13,890百万円)、梱包材(6,190百万円)の全3領域でオーガニック成長を継続。大企業向けサービスも売上成長に貢献。サービス間のID・決済統合による複数カテゴリ購入促進を試行中。
「中期財務ポリシー」に基づき、ラクスルクラフツ・ラクスルコワークス・FUSION・チームライク(ビニプロ、取得原価1,421百万円)を順次子会社化。各社のPMIを推進しグループシナジーを最大化。既存顧客基盤へのクロスセルによるARPU向上を目指す。
費用構造見直しにより当中間期にセグメント黒字転換(利益3百万円)を達成。FUSION取得でデジタル広告領域を拡大。今後は生成AIを活用した売上機会創出を目指す方針を打ち出しており、中堅・大企業向けSaaS/Professional Serviceの深耕が継続課題。
2024年9月発表の中期戦略に基づき、トランザクション事業で築いた顧客基盤とキャッシュフロー創出能力を活用し、ソフトウェア・業務支援・ファイナンス機能を発展させ対象市場を拡大。ファイナンス領域の市場規模は2.5兆円(当社試算)と新規成長機会として位置付け。
最終更新: 2026年7月17日

