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扶桑化学工業株式会社

4368東証プライム化学

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扶桑化学工業株式会社4368

事業内容

扶桑化学工業は1957年創業の大阪発祥の化学品メーカーで、「ライフサイエンス事業」と「電子材料事業」の2セグメントを展開する。ライフサイエンス事業ではリンゴ酸・クエン酸・グルコン酸等の果実酸・有機酸を食品・工業・医薬品向けに製造販売し、食品添加物製剤(FFA)等の高付加価値品も展開する。

電子材料事業では半導体CMP(化学的機械的平坦化)スラリー向け超高純度コロイダルシリカ「クオートロン®」を主力とし、AI半導体需要の拡大を背景に急成長している。国内外に製造・販売拠点を持ち、海外売上高比率は55.1%に達する。

主要顧客にはFUJIFILM Electronic Materials Taiwan Co., Ltd.(売上高の13.9%)等の半導体材料大手が含まれる。

ビジネスモデル

自社の製造・研究開発拠点(大阪工場・鹿島事業所・京都事業所・神戸研究所・東京研究所等)で高純度化学品を製造し、国内外の顧客に直接販売する垂直統合型モデルを採る。電子材料事業は2026年3月期に営業利益率38.4%を達成しており、超高純度コロイダルシリカという参入障壁の高いニッチ製品が高収益を支える。

ライフサイエンス事業は果実酸総合メーカーとしての製造・販売ノウハウとグローバルネットワークを活用し、海外子会社(中国・タイ・米国)を通じた現地生産・販売で収益を積み上げる。

企業の強み

半導体CMP研磨スラリー向け「クオートロン®」は粒度分布制御・粗大粒子低減等の精密技術を有し、技術ノード1.8nm以降の次世代半導体製造プロセスで顧客採用を獲得している。鹿島Ⅰ期設備は認定完了・フル稼働、京都新ラインも想定より早期に認定が進捗し2026年3月期末よりフル操業体制に移行しており、顧客との長期信頼関係を構築している。

リンゴ酸・クエン酸・グルコン酸等の果実酸類を国内外で一貫製造し、中国(青島3社)・タイ・米国(PMP Fermentation Products, Inc.)の海外子会社を通じたグローバル販売網を構築している。2026年3月期のリンゴ酸は前期比20%物量増加、米国グルコン酸類は前期比10%増加を達成しており、長年の製造・販売ノウハウが競争力の源泉となっている。

2026年3月期末の自己資本比率は77.0%、純資産合計は117,216百万円に達し、ROEは12.9%を確保している。営業キャッシュフローは24,793百万円と潤沢で、京都事業所への総額40,000百万円の大型設備投資を自己資金と長期借入の組み合わせで実行できる財務基盤を有する。

エンヴァリスの着眼点

電子材料事業の売上高は2026年3月期に41,515百万円(前期比25.0%増)、営業利益は15,927百万円(同20.9%増)と高成長を継続。全社営業利益に占める電子材料事業の比率は約84%に達し、利益構造の高度化が鮮明である。

外部要因として、AI用途を中心とした半導体市場の旺盛な需要が追い風となっているが、鹿島事業所の新設備稼働による安定供給体制の確立という自社努力も販売数量増加に寄与している点は評価できる。

新中期経営計画「飛躍2030」は2031年3月期に売上高120,000百万円・経常利益36,000百万円を目標とするが、2026年3月期実績は売上高76,926百万円・経常利益19,573百万円にとどまる。5年間で売上高を約56%、経常利益を約84%拡大する必要があり、京都事業所の大型投資(40,000百万円)の着実な実行と顧客認証取得の進捗が計画達成の鍵を握る。

2027年3月期予想(売上高85,800百万円・営業利益24,300百万円)が計画通り達成されるかが注目点となる。

ライフサイエンス事業は2026年3月期に売上高35,411百万円(前期比2.4%減)・営業利益5,308百万円(同0.4%増)と減収増益。鹿島事業所の定期修繕コスト増加要因の解消と原材料価格低下が利益を下支えした。

一方、中国市場の低迷に伴う厳しい競争環境と欧州での販売不振は継続しており、外部要因として中国内需の回復動向が事業の先行きを左右する。米国市場でのリンゴ酸シェアアップやPMP社の増設投資が中長期の収益改善に寄与するか注視が必要。

成長戦略

AI半導体向け生産能力の段階的拡充と新中期計画「飛躍2030」による売上高120,000百万円目標

投資総額20,723百万円(当初計画20,000百万円から増額)の新製造設備が2025年8月完成、2025年12月より本稼働を開始。顧客からの認証取得に向けた対応を進めており、フル稼働による販売数量増加が2027年3月期以降の業績に寄与する見込み。

総額40,000百万円を自己資金で投じる大型投資。2026年3月着手、2029年2月完了予定。完成後は生産能力が大幅に拡充され、中長期的な需要増加への対応と新中期計画「飛躍2030」の売上高目標達成の主要ドライバーとなる。既支払額は403百万円(2026年3月期末時点)。

ライフサイエンス事業の海外収益基盤強化を目的に、米国子会社PMP Fermentation Products, Inc.においてグルコン酸ナトリウムの増設投資を決定。北米市場での販売拡大と収益寄与拡大を目指す。

2031年3月期を最終年度とする5カ年計画を策定・始動。2027年3月期予想(売上高85,800百万円・営業利益24,300百万円)を第一ステップとし、京都事業所投資の完成と電子材料事業の継続成長を軸に目標達成を目指す。

東京研究所の増床を実施し研究開発体制を強化。電子材料事業部では半導体の微細化・多層化・高性能化に対応する製品開発と中空シリカ等の新製品開発に注力。ライフサイエンス事業部ではコート有機酸・食品添加物製剤等の高付加価値品の採用拡大を推進。

最終更新: 2026年7月19日