事業内容
扶桑化学工業は1957年創業の大阪発祥の化学品メーカーで、「ライフサイエンス事業」と「電子材料事業」の2セグメントを展開する。ライフサイエンス事業ではリンゴ酸・クエン酸・グルコン酸等の果実酸・有機酸を食品・工業・医薬品向けに製造販売し、食品添加物製剤(FFA)等の高付加価値品も展開する。
電子材料事業では半導体CMP(化学的機械的平坦化)スラリー向け超高純度コロイダルシリカ「クオートロン®」を主力とし、AI半導体需要の拡大を背景に急成長している。国内外に製造・販売拠点を持ち、海外売上高比率は55.1%に達する。
主要顧客にはFUJIFILM Electronic Materials Taiwan Co., Ltd.(売上高の13.9%)等の半導体材料大手が含まれる。
ビジネスモデル
自社の製造・研究開発拠点(大阪工場・鹿島事業所・京都事業所・神戸研究所・東京研究所等)で高純度化学品を製造し、国内外の顧客に直接販売する垂直統合型モデルを採る。電子材料事業は2026年3月期に営業利益率38.4%を達成しており、超高純度コロイダルシリカという参入障壁の高いニッチ製品が高収益を支える。
ライフサイエンス事業は果実酸総合メーカーとしての製造・販売ノウハウとグローバルネットワークを活用し、海外子会社(中国・タイ・米国)を通じた現地生産・販売で収益を積み上げる。
企業の強み
半導体CMP研磨スラリー向け「クオートロン®」は粒度分布制御・粗大粒子低減等の精密技術を有し、技術ノード1.8nm以降の次世代半導体製造プロセスで顧客採用を獲得している。鹿島Ⅰ期設備は認定完了・フル稼働、京都新ラインも想定より早期に認定が進捗し2026年3月期末よりフル操業体制に移行しており、顧客との長期信頼関係を構築している。
リンゴ酸・クエン酸・グルコン酸等の果実酸類を国内外で一貫製造し、中国(青島3社)・タイ・米国(PMP Fermentation Products, Inc.)の海外子会社を通じたグローバル販売網を構築している。2026年3月期のリンゴ酸は前期比20%物量増加、米国グルコン酸類は前期比10%増加を達成しており、長年の製造・販売ノウハウが競争力の源泉となっている。
2026年3月期末の自己資本比率は77.0%、純資産合計は117,216百万円に達し、ROEは12.9%を確保している。営業キャッシュフローは24,793百万円と潤沢で、京都事業所への総額40,000百万円の大型設備投資を自己資金と長期借入の組み合わせで実行できる財務基盤を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の業績推移は、2022期(売上高55,760百万円・営業利益15,035百万円)→2023期(68,459百万円・18,931百万円)→2024期(58,970百万円・11,084百万円、半導体市況悪化と定期修繕長期化で一時調整)→2025期(69,502百万円・16,231百万円、大幅回復)→2026期(76,926百万円・18,850百万円、過去最高更新)。2026年3月期は電子材料事業がAI半導体需要(外部要因)と鹿島新設備稼働(自社要因)の相乗効果で25%増収を達成。
売上高営業利益率は24.5%(前期23.4%)に改善。経常利益は為替差益の増加も寄与し19,573百万円(同18.2%増)、当期純利益は投資有価証券売却益も加わり14,311百万円(同23.1%増)と全利益指標で過去最高を更新した。
成長戦略
AI半導体向け生産能力の段階的拡充と新中期計画「飛躍2030」による売上高120,000百万円目標
投資総額20,723百万円(当初計画20,000百万円から増額)の新製造設備が2025年8月完成、2025年12月より本稼働を開始。顧客からの認証取得に向けた対応を進めており、フル稼働による販売数量増加が2027年3月期以降の業績に寄与する見込み。
総額40,000百万円を自己資金で投じる大型投資。2026年3月着手、2029年2月完了予定。完成後は生産能力が大幅に拡充され、中長期的な需要増加への対応と新中期計画「飛躍2030」の売上高目標達成の主要ドライバーとなる。既支払額は403百万円(2026年3月期末時点)。
ライフサイエンス事業の海外収益基盤強化を目的に、米国子会社PMP Fermentation Products, Inc.においてグルコン酸ナトリウムの増設投資を決定。北米市場での販売拡大と収益寄与拡大を目指す。
2031年3月期を最終年度とする5カ年計画を策定・始動。2027年3月期予想(売上高85,800百万円・営業利益24,300百万円)を第一ステップとし、京都事業所投資の完成と電子材料事業の継続成長を軸に目標達成を目指す。
東京研究所の増床を実施し研究開発体制を強化。電子材料事業部では半導体の微細化・多層化・高性能化に対応する製品開発と中空シリカ等の新製品開発に注力。ライフサイエンス事業部ではコート有機酸・食品添加物製剤等の高付加価値品の採用拡大を推進。
最終更新: 2026年7月19日

