事業内容
UBE株式会社は、120年超の歴史を持つ総合化学・機械グループ。機能品(ポリイミド・分離膜・セラミックス・セパレータ)、高機能ウレタン、医薬、樹脂・化成品(ナイロン・エラストマー・C1ケミカル)、機械(ダイカストマシン・産業機械)の5セグメントを中核に、日本・アジア・欧州・米州・中国の世界5極体制で事業を展開する。
連結子会社76社を擁し、自動車・電子・エネルギー・医薬品等の幅広い産業を顧客基盤とする。2022年に宇部興産からUBEへ商号変更し、スペシャリティ化学企業への事業ポートフォリオ転換を加速している。
ビジネスモデル
原料から最終製品まで一貫生産(例:BPDAからのポリイミドチェーン)による高付加価値製品の製造・販売を主軸とし、DMC・EMC等の製造技術ライセンスを中国企業等に供与するライセンス収入も獲得。機械セグメントではアフターサービスによる安定的な継続収益を確保。
市況依存度の高いコモディティ事業(アンモニア・カプロラクタム等)からの撤退を進め、スペシャリティ事業への資源集中により収益の安定化と資本効率向上を目指す構造転換を推進している。
企業の強み
原料BPDAからワニス・フィルム・パウダー・ガス分離膜まで一貫生産するポリイミドチェーンを保有。パナソニックインダストリーへの2層フレキシブル銅張積層板製造技術ライセンス(2004年)、SUMaterials社へのポリイミドライセンス(2011年)等、技術の外部供与実績も有する。
研究開発スタッフ589名(総従業員の約7%)を擁し、機能品セグメントの研究開発費は2,306百万円。
DMC(ジメチルカーボネート)・EMC(エチルメチルカーボネート)の製造技術ライセンス契約を中国企業20社超と締結(2010年以降順次締結)。北米ではUBE C1 CHEMICALS AMERICA, INC.がDMC・EMCプラントを建設中であり、当連結会計年度の樹脂・化成品セグメント設備投資40,432百万円の主要用途となっている。
技術ライセンスと自社製造の両輪でC1ケミカルチェーンをグローバル展開する独自モデルを構築。
日本・アジア(タイ・中国)・欧州(スペイン・イタリア・英国等)・米州・中国の5極体制を構築。UBE CORPORATION EUROPE S.A.U.(スペイン)、UBE Chemicals (Asia)(タイ)、THAI SYNTHETIC RUBBERS(タイ)等の製造拠点に加え、2025年4月にLANXESS社からウレタンシステムズ事業(米国・中国・イタリアに開発拠点)を取得し、グローバル製造・研究開発ネットワークを大幅に拡充した。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期は売上高462,343百万円(前期比5.0%減)と減収。ウレタンシステムズ事業取得による増収効果があったものの、樹脂・化成品セグメントのナイロンポリマー・カプロラクタム販売低迷、機械セグメントの製鋼事業譲渡影響が重なった。
営業利益は18,941百万円(同5.0%増)と小幅増益。経常利益は37,506百万円(同67.7%増)と大幅改善し、持分法投資損益が7,641百万円から15,448百万円へ倍増したことと為替差益4,307百万円の計上が主因。
親会社株主帰属純利益は23,872百万円と前期の損失4,816百万円から黒字転換し、前期の事業構造改革に伴う特別損失(約29,780百万円)が当期は発生しなかった効果が大きい。自己資本比率は46.2%(前期45.6%)と安定を維持。
成長戦略
スペシャリティ化学企業への転換とROIC経営による資本効率改善を推進
2025年4月にLANXESS社から11社のウレタンシステムズ事業を80,748百万円で取得し、熱硬化性ウレタンエラストマー用プレポリマー等の製造・販売体制をグローバルに獲得。半導体製造装置向け等ハイエンド用途での強みを活かし、自社PCD・PUD事業との相乗効果を追求。
2027年3月期は高機能ウレタンセグメントの売上高68,000百万円(前期比46.1%増)・営業利益1,000百万円(黒字転換)を予想。
損益変動が大きく収益性が低いアンモニア・カプロラクタム・ナイロンポリマーを段階的に撤退。タイのカプロラクタム・ナイロンポリマー製造設備は2026年3月に停止・縮小済み。
日本のカプロラクタム・ナイロンポリマー製造設備を2027年3月に停止、アンモニア製造設備を2028年3月に停止予定。減価償却費削減と損益変動性の抑制により収益構造の安定化を図る。
ポリイミドフィルム・分離膜・セラミックス・DMC・EMC等の製造設備への継続的投資を実施。北米ルイジアナ州にDMC・EMCの新プラントを建設中。
2027年3月期は機能品セグメントの売上高89,000百万円(前期比25.4%増)・営業利益15,000百万円(同52.1%増)を予想し、新設備による増販効果を見込む。2027年3月期よりUBE America Inc.を機能品セグメントへ組み入れ。
2030年度に売上高550,000百万円・営業利益60,000百万円・ROE9%、2035〜40年度に売上高1兆円・営業利益100,000百万円・ROE10%以上を目指す。ROIC経営による資本配分の最適化を推進。
中計初年度の2026年3月期は数値目標を未達。2027年3月期予想は売上高485,000百万円・営業利益23,500百万円と増収増益を見込むが、2030年度目標との乖離は依然大きい。
最終更新: 2026年7月19日

