事業内容
株式会社クレハは1944年設立の特殊化学品メーカーで、フッ化ビニリデン樹脂・PPS樹脂・PGA樹脂・球状活性炭等を手掛ける機能製品事業、農薬・医薬・工業薬品の化学製品事業、家庭用ラップ「NEWクレラップ」や釣糸「シーガー」等の樹脂製品事業を3本柱とする。国内外に連結子会社26社を擁し、日本・米国・中国・欧州・ベトナム等にグローバル生産・販売網を構築。
建設関連・環境・運送・医療等の支援サービスも内製化し、グループ一体で事業を運営している。売上収益は161,688百万円(2026年3月期)。
ビジネスモデル
機能製品事業では独自のフッ化ビニリデン樹脂・PPS・PGA等の高機能素材を製造し、EV電池・シェールガス・自動車・医療等の産業向けに販売する。樹脂製品事業では「NEWクレラップ」「シーガー」等のブランド消費財が安定的なキャッシュを生む。
化学製品事業では農薬・医薬品の長期販売契約(BASF等)が収益基盤を支える。建設・環境・運送等の内製サービスはグループ内需要を取り込み、コスト効率を高める補完機能を担う。
企業の強み
KFポリマー(フッ化ビニリデン樹脂)は三元系正極用バインダーで世界トップシェアを有し、国内・中国(常熟)に生産拠点を持つ。LFP系正極対応の新グレード開発にも注力しており、2026年3月期に機能製品事業の設備投資18,979百万円を実施するなど技術基盤への継続投資が確認される。
家庭用ラップ「NEWクレラップ」は1960年の販売開始以来60年超の歴史を持つ国内定番ブランド。フッ化ビニリデン釣糸「シーガー」は中国市場への積極展開を継続し、2026年3月期に増収増益を達成。
樹脂製品事業全体の営業利益率は18.8%と高水準を維持しており、消費財ブランドとしての収益安定性が実証されている。
米国子会社クレハ・ピージーエーLLCがPGA樹脂を製造し、シェールオイル・ガス掘削用フラックプラグ向けに販売。2026年3月期は中高温鉱区向け販売増加により増収増益を達成。低温・超低温鉱区向け新グレード開発を加速中であり、グレード拡充による市場シェア拡大を進めている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上収益は2023年3月期の191,277百万円をピークに3期連続で減少し、2026年3月期は161,688百万円(前期比0.2%減)。営業利益は2023年3月期22,350百万円から急速に悪化し、2026年3月期はフッ化ビニリデン樹脂事業および慢性腎不全用剤製造設備の減損損失36,500百万円計上により営業損失18,592百万円に転落。
親会社帰属当期損失は10,693百万円。外部要因としてEV市場の停滞継続が主因であり、熱収縮多層フィルム販売終了も売上を押し下げた。
一方、機能製品事業のセグメント営業利益は前期の損失1,991百万円から利益2,134百万円へ改善しており、減損を除いた実態的な事業収益力は一定程度回復している。2027年3月期は営業利益11,000百万円への回復を予想。
成長戦略
フッ化ビニリデン樹脂のESS・EV向け回復を軸にPGA・農薬・樹脂で多面的成長を追求
EV市場停滞により車載用リチウムイオン電池バインダー向け需要が低迷し、2026年3月期に33,996百万円の減損を計上。中長期的にはESS(定置用蓄電池)やEV向けの需要回復を見込み、拡販と収益力改善を推進する方針。在庫調整局面が継続しており、回復時期の見極めが課題。
シェールオイル・ガス掘削用途のPGA樹脂加工品は2026年3月期に売上増加を実現し、機能製品事業の増収に貢献。シェールガス市場が底堅く推移していることを背景に、拡販と収益力改善を継続して推進する。
PPS樹脂は自動車向け需要の緩やかな伸長に加え、データセンター向け光通信部品用途の需要も拡大しており、中長期的に堅調な需要が続くと見込む。2026年3月期は売上増加を実現し、機能製品事業の収益改善に寄与した。
農業・園芸用殺菌剤の新剤開発を推進し、2030年ごろの上市を目標とする。2027年3月期は新剤開発に係る試験費用の発生により短期的な収益性への影響を見込むが、将来の競争力強化に向けた先行投資と位置付ける。メトコナゾールの欧州再登録による欧州市場での販売再拡大も期待される。
NEWクレラップ・シーガーのコンシューマー・グッズ分野は2026年3月期も増収増益を確保し、高い収益性(営業利益率18.8%)を維持。熱収縮多層フィルム販売終了後の業務用食品包装材分野では拡販と収益力改善を推進する。ベトナム拠点での製造による国際競争力維持も継続。
2025年度より株主資本配当率(DOE)5%を目安とした配当政策を導入。2026年3月期の年間配当金は214円(配当総額8,178百万円)、2027年3月期は216円を予想。
自己株式保有上限を発行済株式総数の5%程度とし、超過分は原則消却する方針を2026年5月に決議。次期中期経営計画(2026年度~2028年度)においてもDOE5%目安を継続する計画。
最終更新: 2026年7月19日

