事業内容
大石産業は1925年創業、2025年に創業100周年を迎えた包装関連資材の総合メーカーである。主力事業は緩衝機能材事業(パルプモウルド・段ボール製品等)と包装機能材事業(フィルム・重包装袋製品等)の2セグメントで構成され、売上高はそれぞれ11,638百万円・11,401百万円とほぼ均等な規模を持つ。
工業・食品・農業分野の顧客を主要ターゲットとし、国内複数工場に加えマレーシアに製造・販売子会社を展開。東京証券取引所スタンダード市場に上場し、総資産28,054百万円、純資産19,611百万円の財務基盤を有する。
ビジネスモデル
自社工場での製造から販売まで一貫して手掛ける製造直販モデルを基本とする。緩衝機能材事業では受注即納型の生産体制を敷き、パルプモウルド・段ボール製品を工業・食品・農業分野に供給。
包装機能材事業ではフィルム・重包装袋を国内外の製粉・飼料・合成樹脂・電子材料等の顧客に販売する。主要顧客の㈱エフピコ向け売上高は2,993百万円(売上高比12.7%)と一定の集中度がある。
企業の強み
パルプモウルド事業は1972年の販売代理店参入から1982年の製造会社吸収合併を経て自社製造体制を確立。古紙リサイクルを活用した環境配慮型製品「パラミル」等の独自技術を保有し、2026年3月期の緩衝機能材事業セグメント利益は1,181百万円(前期比34.8%増)と高い収益性を示した。
国内では鞍手・八戸・茨城・小倉・直方等の複数工場を運営し、海外ではマレーシアにCORE PAX(M)SDN.BHD.およびENCORE LAMI SDN.BHD.の製造子会社を保有。国内外の多拠点体制により供給安定性と地域対応力を確保している。
2026年3月期の設備投資総額は3,263百万円に達し、茨城工場を中心に能力増強投資を継続している。
2026年3月期末の純資産合計は19,611百万円、総資産28,054百万円に対する自己資本比率は約70%と高水準を維持。長期借入は限定的で、設備資金は内部資金と借入の組み合わせで調達する方針を堅持。営業キャッシュフローは2,292百万円を確保しており、財務的な安定性は高い。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期19,753百万円から2026年3月期23,487百万円へ5期連続増収を達成したが、営業利益は2022年3月期1,288百万円をピークに4期連続で減少し2026年3月期は717百万円。営業利益率は6.5%から3.1%へ半減した。
2026年3月期は国内重包装袋・パルプモウルド・段ボールの販売数量増と価格改定が増収に寄与した一方、海外重包装袋・フィルム部門の減収、設備投資拡大に伴う減価償却費増加(前期比208百万円増)、人件費増加が利益を圧迫。外部要因として原油価格変動・中国経済鈍化・米国通商政策の影響も逆風となった。
2027年3月期は売上高24,323百万円(3.6%増)予想も、営業利益392百万円(45.4%減)とさらなる利益悪化を見込む。
成長戦略
第8次中計『New Challenge 2027』のもと循環型製品への転換と高付加価値化で収益基盤再構築
茨城工場における設備増強を推進し、環境配慮型パルプモウルド製品の供給能力を拡大。建設仮勘定が2,067百万円(前期304百万円)へ急増しており、設備稼働後は緩衝機能材事業の増収・増益に直結することが期待される。
多層Tダイによる新製造ラインの稼働を契機に、電子材料・自動車・ヘルスケア分野向け特殊フィルムの開発を加速し成長市場へ本格参入。現状のフィルム部門は減収・減益が続いており、新ラインによる製品ミックス改善が収益回復の鍵となる。
独自技術による高付加価値パルプモウルド製品「パラミル」の市場展開を推進。石油由来製品から紙製パッケージへの転換需要加速という外部環境を追い風に、新製品開発と新規需要分野の開拓に注力する。
マレーシア国における日本産農産物等の輸入販売事業(FUSIONS TRADING MALAYSIA SDN. BHD.)は初期立ち上げ段階で損失計上中(2026年3月期セグメント損失33百万円)。減損損失16百万円も計上しており、早期の収益化が課題。
包装機能材事業を中心にDX・FAを推進し、人材不足の解消・技術継承の促進・高品質の均一化を実現する。人件費増加が利益圧迫要因となっている中、製造効率化による固定費低減効果が中期的な収益改善に寄与することが期待される。
最終更新: 2026年7月19日

