事業内容
株式会社フジックスは1921年創業、2021年に創業100周年を迎えた縫い糸専業の老舗メーカーである。国内では親会社および連結子会社3社(FTC・シオン・ニットマテリアル)が工業用・家庭用縫い糸を製造・販売し、アジアでは中国・ベトナム・タイ・香港の7社が現地生産・販売を担う。
主要顧客は衣料縫製業者・車両内装メーカー・刺しゅう業者・手芸ホビー愛好者など多岐にわたり、日本・中国・東南アジア・欧米市場に向けてグローバルな事業活動を展開している。東京証券取引所スタンダード市場上場。
ビジネスモデル
日本セグメントでは滋賀事業所を中核拠点として縫い糸を製造し、国内子会社・海外子会社・外部顧客へ販売する。アジアセグメントでは上海富士克制線有限公司が製造した製品を中国・香港・東南アジア各国の顧客へ供給する。
見込生産方式を採用しており、受注生産ではなく需要予測に基づく在庫販売型の収益構造を持つ。外部借入に依存しない自己資金中心の財務運営を方針としている。
企業の強み
1921年創業で1951年には日本初の合繊ミシン糸を開発した実績を持つ。現在も研究開発室が環境対応製品を含む先行研究を継続しており、2026年3月期の研究開発費は74百万円を計上。
エコテックス規格100認証(2000年)・ISO14001認証(2001年)も取得済みで、品質・環境面での技術基盤を有する。
2026年3月期末時点で総資産12,501百万円に対し負債合計1,962百万円、純資産10,538百万円と自己資本比率は約84%に達する。外部借入に依存しない財務体質を経営方針として明示しており、現金及び現金同等物2,415百万円を保有。継続的な損失計上下でも財務基盤は堅固である。
国内滋賀事業所に加え、中国(上海・常州・大連ほか3拠点)・香港・ベトナム・タイに計7社の海外子会社を展開。製造から物流・販売まで一貫したグループ内サプライチェーンを構築しており、中国製造品の日本国内販売や日本製半製品の中国供給など相互補完的な体制を持つ。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は5,474百万円(前期比3.0%減)、営業損失222百万円(前期195百万円の損失)、親会社株主帰属当期純損失123百万円(前期107百万円の損失)。過去5期では2024年3月期のみ営業損失116百万円と相対的に改善したが、2025・2026年3月期と再び悪化。
外部要因として、国内の節約志向の高まり・記録的猛暑・インバウンド需要の減速・中東情勢による原油価格高騰・中国経済の減速・米国関税政策が重なり、衣料品・手芸材料の需要が低迷。一方、包括利益は472百万円(前期279百万円)と改善しており、投資有価証券の評価益拡大(474百万円)と為替換算調整勘定の増加(83百万円)が寄与している。
成長戦略
損失縮小を最優先に事業コスト見直し・アジア改善・欧米市場開拓の三本柱
工場操業度の低下・原材料価格高止まりに対応するため、製造コストの抜本的見直しと販売費及び一般管理費の削減を継続推進。2026年3月期の販管費は1,460百万円と前期(1,551百万円)から91百万円削減されたが、売上総利益の減少幅が大きく損失は拡大した。
2027年3月期は営業損失187百万円への縮小を予想。
タイ国子会社の経営改善策推進と原材料調達価格の低減により、アジアセグメントの損失は2026年3月期に30百万円(前期42百万円の損失)へ縮小。ベトナムでの日本向け衣料品生産堅調を背景に受注増加が続いており、中国での販路再構築と合わせて収益改善を目指す。
日米関税交渉の大筋合意を受けて車両内装用縫い糸の大幅落ち込みは回避され、米国ホビー市場向け受注も若干回復傾向。欧米の手芸関連市場向けに独自製品を提案し、海外シェア拡大を図る。ただし節約志向の浸透による消費減退リスクが外部環境として継続している。
最終更新: 2026年7月19日

