事業内容
かどや製油株式会社は1858年に香川県小豆島で創業した、ごま油および食品ごま(いりごま・ねりごま)の製造・販売を主力とする食品メーカーである。連結子会社カタギ食品株式会社とともに、家庭用・業務用・輸出向けの幅広いチャネルで製品を展開する。
主要顧客は一般消費者(家庭用)、外食チェーン・給食事業者(業務用)、加工食品メーカー(加工ユーザー)であり、国内市場に加え北米を中心とした海外市場への展開も進めている。2026年3月期の連結売上高は40,030百万円で、ごま油事業が売上高の約78%を占める。
パーパス「ごまの価値を極限まで高めることで世界に貢献する」を掲げ、ファンベース経営を推進している。
ビジネスモデル
原料ごまを調達・精製・加工してごま油・食品ごまを製造し、家庭用・業務用・輸出の各チャネルで販売する垂直統合型モデルを採る。売上原価の大部分を原料ごまが占めるため、原料価格の変動が収益性に直結する構造である。
一方、ブランド力を背景とした価格訴求依存からの脱却と付加価値商品の育成により、売上高総利益率は2026年3月期に28.3%まで改善した。製造副産物(脱脂ごま)のアップサイクルによるたんぱく事業など新収益源の開発も進めている。
企業の強み
1858年創業の長い歴史を持ち、「かどや」ブランドは家庭用ごま油市場で高い認知度を有する。純正ごま油と調合ごま油の違いを訴求したTVCM・Web動画広告やキッチンカーを活用した体験型プロモーションを展開し、価格訴求に依存しない指名買い需要を形成。
輸出向けでも当社ブランドへの指名買い需要が確認されている。
家庭用小売、外食チェーン・給食向け業務用、加工食品メーカー向け加工ユーザー、輸出の各チャネルを持ち、特定顧客・用途への依存を分散している。2026年3月期は家庭用・業務用・輸出の全チャネルで販売数量が前期比増加し、ごま油事業全体の販売数量は前期比3.0%増を達成した。
2026年3月期末の純資産は37,440百万円、現金及び現金同等物残高は11,983百万円に達し、有利子負債はほぼゼロの実質無借金経営を維持している。営業キャッシュフローは5,688百万円と潤沢で、設備投資(590百万円)・配当(920百万円)を自己資金で賄いつつ現金残高を4,101百万円積み増した。
取引銀行3行との当座貸越・コミットメントライン契約(合計12,000百万円)も確保している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期32,185百万円から2026年3月期40,030百万円へ5期連続増収。営業利益は2023年3月期に2,638百万円へ落ち込んだ後、2026年3月期は3,818百万円と過去5期で最高水準を更新した。
2026年3月期の改善要因は、主原料(ごま)価格の低下による売上原価の減少(前期比591百万円減)と販売数量の前期比2.9%増の組み合わせ。外部要因として主原料価格の低下が収益改善に大きく寄与した点は留意が必要。
2027年3月期は会社予想で営業利益2,900百万円(前期比△24.0%)と減益転換を見込んでおり、原料コスト動向が引き続き業績の鍵を握る。
成長戦略
北米展開・アップサイクル事業・ファンベース経営で2028年度中計目標達成を目指す
2026年3月期に米国現地法人Kadoya America Inc.を設立し、販売・マーケティング体制を整備。北米を中長期成長ドライバーと位置づけ、将来的な供給体制のあり方も検討中。米国関税政策の影響を注視しながら現地需要の取り込みを図る。
ごま油搾油後の副産物である脱脂ごまを活用したアップサイクル事業を推進。たんぱく事業はアレルゲン対応・用途開発に時間を要したため初期投資を抑えた段階的立ち上げへ方針を見直し、用途開発および高付加価値化を通じた中期的基盤構築に取り組む。
飲食店における卓上化施策を推進し、ごま油を「かけて使う」食文化の浸透を図ることで食卓領域での新たな需要を創出。個包装ごま油の発売や新商品の早期発売に向けた開発も進めており、価格訴求に依存しない需要基盤の構築を目指す。
2026年4月に1株→3株の株式分割を実施し投資単位を引き下げ。DOEを指標とする配当方針を導入し、2026年3月期配当は137円(前期100円)、配当性向46.3%・純資産配当率3.5%へ引き上げ。ファンベース経営の一環として個人投資家層の拡大を図る。
新設したSCM本部のもと、原材料調達から製造・物流までのサプライチェーン管理体制を強化し、原料価格変動・地政学リスク・関税政策等の外部環境変化への柔軟な対応力を高める。
最終更新: 2026年7月19日

