事業内容
株式会社新日本科学は1957年創業、1960年に国内初のCRO事業を開始した医薬品開発支援の老舗企業。主力のCRO事業では、実験用NHP(非ヒト霊長類)を用いた非臨床試験で国内最大手の地位を確立し、グローバル臨床CROのPPDとの合弁会社(新日本科学PPD)を通じて国際共同治験も受託する。
TR事業では独自の経鼻投与基盤技術(SMART)を活用した創薬開発を推進し、2025年4月にFDA承認第1号となる経鼻片頭痛薬「Atzumi™」を輩出。メディポリス事業では鹿児島・指宿の103万坪の自然資本を活用した地熱・温泉発電とホスピタリティ事業を展開する。
主要顧客は国内外の製薬企業・バイオテック企業。
ビジネスモデル
CRO事業では製薬企業等から試験を受注し、試験完了に応じてフィーを受領する受託型モデルが収益の根幹。受注残高は40,920百万円(過去最高)と高い視認性を持つ。
TR事業は先行投資フェーズで、SMART技術のライセンスアウトや事業化による将来収益を狙う。メディポリス事業はFIT制度に基づく安定的な売電収入とホテル運営収入で構成される。
CRO事業の売上高営業利益率は22.1%と高水準を維持。
企業の強み
CROとして世界で唯一、自社グループ内(日本・カンボジア・中国)にNHP繁殖・供給体制を構築。農林水産大臣指定の検疫施設(保税倉庫)も保有し、品質と数量を安定確保。
2026年3月期の非臨床事業受注高は過去最高の35,728百万円、受注残高は40,920百万円に達し、欧米受注高は前年度比35.2%増の13,225百万円と大きく伸長している。
複数の製薬企業と優先委託契約(プリファード契約)を締結し、安定的な受注基盤を確立。2026年3月期に国内大手製薬企業1社を追加し合計4社の国内製薬企業とプリファード契約を実現。
さらにグローバルメガファーマ1社からプリファードベンダー認定を取得。海外顧客専任チーム(GST)の新設や米国複数拠点での営業強化が受注拡大に寄与している。
1997年から開発を続けた独自の経鼻投与基盤技術(SMART)は、2025年4月にFDA承認第1号(Atzumi™)を輩出。経鼻粘膜ワクチン開発ではAMED/SCARDAの中間評価で最高評価「A」を取得し、非臨床POC達成が認定され2029年3月まで支援延長が決定。
5種類以上の薬剤応用実績を持つプラットフォーム技術として事業化の選択肢が広い。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は32,524百万円(前期比0.3%増)と4期連続過去最高を更新したが、CRO事業で複数の大型試験完了が次年度にずれ込んだことで増収幅は僅少にとどまった。営業利益は2,653百万円(前期比11.1%減)と2期連続減少。
Satsuma社の営業損失拡大(2,545百万円)と人材・施設への戦略的先行投資がコスト増の主因。経常利益は5,833百万円(前期比9.6%減)で、持分法利益の減少(3,513百万円→2,780百万円)が響いた。
一方、非臨床事業の受注残高は40,920百万円と過去最高水準に達しており、2027年3月期は売上高38,000百万円(前期比16.8%増)・営業利益3,000百万円(同13.0%増)を予想。期ずれ案件の回収と受注残高の消化が業績回復の鍵となる。
成長戦略
NHP非臨床CROの世界的地位強化・PPD臨床事業拡大・SMART経鼻技術の収益化の3本柱
EU規格大型飼育ケージ特化のNHP実験施設「EU実験棟」を総額約100億円で新設。新型MRI(3テスラ)・CT装置等を備えた世界最高水準施設を目指す。欧米顧客からの受注高は2026年3月期に前年度比35.2%増と急拡大しており、施設拡充で更なる受注取り込みを図る。
実験終了から最終報告書草案提出までの期間短縮を目的に、AIを用いた最終報告書自動作成システムを開発中。2026年3月期にPoCを実施し満足いく結果を得た。製薬企業にとって非臨床試験のリードタイム短縮は重要な価値であり、差別化要因となる。
FDA承認済みの経鼻片頭痛薬「Atzumi™」について、製造・販売機能を内製化しつつ中近東・インド・アジア・日本等のグローバル市場への早期市場導入を推進。従来の一括ライセンスアウト交渉に加え、自社での事業展開も並行して進め、事業価値の早期顕在化を図る。
PPD社(Thermo Fisher Scientific傘下)との合弁会社・新日本科学PPDは設立10年を迎え、2025年度受注が前年度を大きく上回った。営業利益率44.3%と高水準を維持しており、受注増が2027年3月期以降の持分法利益増加に寄与する見通し。
2028年度の財務KPIとして売上高500億円・経常利益200億円・売上高経常利益率40%・配当性向30〜40%を掲げる。2026年3月期の売上高は32,524百万円であり、目標達成には年率約15%超の成長加速が必要。ROE・ROICともに10%以上を目標とし、毎月取締役会で報告。
最終更新: 2026年7月19日

