事業内容
デジタルアーツ株式会社は1995年設立の国産セキュリティソフトメーカーで、Webセキュリティ製品「i-FILTER」、メールセキュリティ製品「m-FILTER」を主力に、ファイル暗号化「FinalCode」、統合認証「a-FILTER」、ゼロトラスト対応「Z-FILTER」等を展開する。主要顧客は企業・官公庁・教育機関・家庭と幅広く、2026年3月末時点で約1,500万人規模のユーザー基盤を有する。
東京証券取引所プライム市場上場。セキュリティ事業単一セグメントで構成され、連結子会社3社を含むグループで事業を運営している。
ビジネスモデル
販売代理店(ダイワボウ情報システム33.4%、SB C&S17.9%が主要2社)を通じた間接販売を主軸に、オンプレミス型ライセンス製品は出荷時一括計上、クラウドサービス系製品はサービス提供期間に応じた月次按分計上で収益を認識する。GIGAスクール構想等の大型公共案件でクラウド受注残高を積み上げ、次期以降の安定的なサービス収益へ転換する構造が進行中。
2026年3月期の営業利益率は44.2%と高水準を維持している。
企業の強み
安全な通信・挙動のみを許可する独自の「ホワイト運用」モデルは、国内で検索可能なURLや安全な送信元を網羅した独自DBを基盤とし、既知・未知の脅威双方に対応する。2026年3月末時点で約1,500万人規模のユーザー基盤を有し、企業・官公庁・教育機関を中心に評価が広がっている。
この大規模ユーザー基盤はデータ蓄積と製品改善の好循環を生む競争優位となっている。
2026年3月期の営業利益率は44.2%(営業利益4,791百万円)と、ソフトウエアビジネスとして極めて高い収益性を維持している。有利子負債ゼロで現金及び現金同等物は23,083百万円に達し、成長投資と株主還元を自己資金で賄える強固な財務基盤を有する。
ROEは19.2%と資本効率も高水準を維持している。
ISO/IEC 27001(2020年)、ISO/IEC 27017(2020年)、ISMAP(2021年)を取得し、2025年3月にはm-FILTER MailAdviser・a-FILTER・f-FILTERの3製品、2026年1月にはi-FILTER@Cloud GIGAスクール版等2製品を追加登録。政府・公共機関向け調達要件を満たす認証体制が競合参入を困難にしている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期は売上高10,835百万円(前期比8.5%増)、営業利益4,791百万円(同5.1%増)、当期純利益3,427百万円(同7.7%増)と全指標で増収増益を達成。5期推移では2024年3月期(売上高11,512百万円)からDAC譲渡影響で2025年3月期に一時的に落ち込んだ後、実質ベースでの回復・成長軌道に復帰した。
営業利益率は44.2%と前期45.7%から低下したが、これは中期経営計画に沿った人材投資増(売上原価2,948→3,334百万円、販管費2,474→2,708百万円)によるものであり、増収効果で吸収している。外部要因として、ランサムウェア攻撃・情報窃取型マルウェアの多発および生成AI悪用リスクの高まりがセキュリティ対策需要を押し上げており、業界全体の追い風として機能している。
営業CFは2,817百万円から8,381百万円へ大幅改善し、現金残高は23,083百万円に達した。
成長戦略
中期計画最終年度2027年3月期に向けZ-FILTER収益化・公共シェア拡大・AI活用効率化を推進
2025年11月4日に正式販売開始した国産ゼロトラストセキュリティ製品。「ホワイト運用」を核に認証からアクセス制御までを同一基盤で提供。販売開始以降、順調に案件積み上げが進み、次期における収益化を見込める状況。販売代理店との協業加速と機能強化を継続し、中長期的な収益基盤の柱として確立を目指す。
公共向け契約高は前期比106.7%増の10,639百万円と大幅拡大。第1期比で高い獲得率と案件単価向上を両立。
ISMAP登録取得、デジタル教科書利用状況可視化機能搭載等で競争力を強化。次世代校務DX・自治体案件への展開も堅調に拡大しており、クラウド系受注残高の積み上がりが次期以降の安定収益基盤を形成。
従来の代理店依存型から、当社自らがエンドユーザーとの接点を強化し顧客課題を直接把握した上で提案活動を推進する営業体制への転換を明示。案件創出から受注までの各ファネルを当社主導で可視化・管理し、成功事例を代理店へ横展開することでパートナーセールスの再現性向上と受注率改善を図る。
開発部門でのコーディング支援・仕様書作成、営業部門でのリードスコアリング・提案資料整備、サポート部門での問い合わせ対応効率化、管理部門での定型業務自動化など全社的にAIを活用。人員増強のみに依存しない高効率な事業運営基盤を構築し、成長投資と収益性向上の両立を目指す。
個人向け総合セキュリティ製品「i-フィルター10」について、従来の子ども向けに加え大人世代向け市場への展開を目的として既存・新規販売代理店やPCメーカーとの協業を推進。当期は収益化に至らなかったが、約1,500万人のユーザー基盤を活用した「ホワイト運用」モデルの家庭市場への適用拡大を中長期目標として継続。
最終更新: 2026年7月19日

