事業内容
日揮ホールディングスは1928年創業の総合エンジニアリング持株会社。石油・ガス・LNG・化学・ライフサイエンス等の各種プラントの設計・調達・建設(EPC)を手掛ける総合エンジニアリング事業(売上高の約91%)と、触媒・ナノ粒子・ファインセラミックス等を製造する機能材製造事業を二本柱とする。
主要顧客はサウジアラムコ等の産油・産ガス国の国営企業や国際石油メジャー、国内化学・製薬・食品メーカー等。グループは連結子会社58社・関連会社45社で構成され、中東・東南アジア・北米・オセアニア等に幅広い拠点を持つ。
ビジネスモデル
総合エンジニアリング事業はプロジェクト単位の固定価格(ランプサム)EPC契約を主体とし、受注から完工まで数年にわたる大型案件を遂行することで売上・利益を計上する。受注残高(2026年3月期末1,166,695百万円)が将来売上の可視性を高める。
機能材製造事業は触媒・セラミックス等の継続的な製品販売で安定的なキャッシュフローを創出し、EPCの収益変動を緩和する役割を担う。
企業の強み
LNGカナダ、モザンビークFLNG等の超大型案件を含む海外LNG・石油ガス分野で豊富な完工実績を保有。2026年3月期末の総合エンジニアリング事業受注残高は1,155,589百万円に達し、複数年分の売上を確保済み。産油・産ガス国の国営企業との長期的な取引関係が競合参入障壁を形成している。
日揮触媒化成・日本ファインセラミックスを中核に、石油精製触媒・シリカゾル・高熱伝導窒化ケイ素基板等の高機能材料を製造。宮城県富谷市新工場稼働による窒化ケイ素基板の生産能力増強や、旧昭和電工マテリアルズからの事業譲受により、半導体関連市場向けの製品ラインアップと生産基盤を自社内に構築している。
2026年3月期末の自己資本比率は51.2%(前期49.8%から改善)、現金及び現金同等物は400,470百万円。日本格付研究所から長期発行体格付A+を取得。コミットメントライン未使用枠300億円も保有し、大型EPCランプサム案件の遂行に必要な財務的信頼性と機動的な成長投資余力を両立している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は745,280百万円(前期858,082百万円、△13.1%)と減収。海外大型プロジェクトの複数完工が主因で、総合エンジニアリング事業売上高は679,588百万円(△14.5%)。
一方、採算は大幅改善し、営業利益35,399百万円(前期△11,474百万円)、経常利益58,188百万円(前期11,320百万円、+414.0%)、親会社株主帰属純利益41,842百万円(前期△398百万円)と黒字転換。売上総利益率は2.2%→8.6%へ改善。
為替差益5,699百万円の計上も経常利益を押し上げた。2027年3月期会社予想は売上高670,000百万円(△10.1%)・営業利益40,000百万円(+13.0%)・純利益46,000百万円(+9.9%)と、減収ながら増益継続を見込む。
成長戦略
EPC深化・高機能材拡大・将来成長エンジン確立の3本柱でエネルギートランジションを推進
モザンビークFLNG先行業務、インドネシア陸上LNG基本設計、LNGカナダ第2期基本設計アップデート等を受注。パプアニューギニア大型低炭素LNGでは優先契約交渉候補に選定。2027年3月期受注高予想1,740,000百万円の達成が最重要課題。
Exyte GmbHとの共同EPCブランド「Nixyte」を立ち上げ、東南アジアの半導体・データセンター分野の受注を目指す。デジタル産業の拡大という外部環境を追い風に、日揮グローバルのEPC遂行能力とExyteの専門性を組み合わせた新たな収益源の確立を図る。
宮城県富谷市新工場稼働(高熱伝導窒化ケイ素基板増産)、北九州事業所の段階的設備投資(半導体関連材料)を推進。ディスプレイ向け中空シリカ・化粧品材・光学用途等の新規用途展開も並行して進める。
SAFFAIRE SKY ENERGYの大規模生産実証設備が2024年12月に完工し、2025年度から大手エアラインへのSAF供給を開始。SLB Capturi社とのCO2回収設備EPC協業、CFS社(核融合)への出資・協議も進行中。いずれも黎明期であり収益貢献は中長期的課題。
2026年4月取締役会決議、2026年7月1日譲渡予定。譲渡価額304億円、連結投資有価証券売却益約200億円見込み。売却資金を成長投資に振り向け、資産効率の向上を図る。
最終更新: 2026年7月19日

