事業内容
大成温調株式会社は1941年創業の建築設備工事専業グループで、空気調和・給排水衛生・電気設備の設計・施工・メンテナンスを主力事業とする。国内では大成温調本体・温調エコシステムズ・ウッドテックが設備工事を担い、海外では米国ハワイ州のALAKA'I MECHANICAL CORPORATION、中国上海の大成温調建築工程(上海)有限公司が展開する。
主要顧客は大手ゼネコン(㈱フジタが売上高の約10%を占める)、医療施設、半導体・データセンター関連の製造業など。国内売上が連結の約77%を占め、米国が約20%を担う地域分散型の事業構造を持つ。
ビジネスモデル
新築工事と改修・保守修理等の二本柱で収益を構成する受注型ビジネスモデル。個別(単体)ベースで次期繰越工事高49,431百万円を積み上げており、受注残が翌期以降の売上を下支えする構造。
改修・保守修理等は当期完成工事高20,082百万円と安定的な収益源となっている。不動産賃貸・太陽光発電等のストック収益も補完的に保有する。
企業の強み
2026年3月期末の個別繰越工事高は49,431百万円(前期42,027百万円から17.6%増)に達し、新築工事41,405百万円・改修等8,026百万円で構成される。品川区新総合庁舎(2029年6月完成予定)や日本医科大学武蔵小杉計画(2028年2月完成予定)など大型案件を複数手持ちしており、中期的な売上の視界が確保されている。
ALAKA'I MECHANICAL CORPORATIONの2026年3月期受注高は17,589百万円と前期比211.5%増(約2倍超)に急回復した。セグメント利益率も前期4.3%から当期6.6%へ改善しており、将来の売上拡大と収益貢献が期待できる事業基盤が整いつつある。
2026年3月期末の有利子負債残高は48百万円にとどまる一方、現金及び現金同等物は18,448百万円(前期比46.2%増)に達する。営業CFは9,716百万円と大幅に改善しており、財務的な柔軟性が高く、成長投資・株主還元の双方に対応できる財務体質を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は61,719百万円(前期比1.3%減)と微減にとどまったが、完成工事原価の圧縮(前期比1,956百万円減)により売上総利益率が17.7%(前期14.6%)へ大幅改善。営業利益3,980百万円(同27.8%増)、経常利益4,597百万円(同32.0%増)、親会社株主帰属当期純利益3,549百万円(同42.7%増)と利益三段階すべてで大幅増益を達成した。
持分法投資損益が前期△66百万円から359百万円へ転換したことも経常利益を押し上げた。外部要因として大都市圏再開発・製造業設備投資・医療施設建設需要が底堅く推移し、既存建物のリニューアル需要も継続。
一方、資機材価格・労務費の高止まりは引き続きコスト圧力として残存する。2022期底打ち後の利益回復トレンドは2026期に加速し、過去5期で最高の利益水準を更新した。
成長戦略
新中計「LIVZON DREAM 2030 2nd half!」で高度エンジニアリング・ストック収益・生産性向上の3テーマを推進
半導体工場・データセンター・医療施設等の高付加価値分野への特化を強化。技術力・提案力を武器に競合との差別化を図り、採算性の高い案件の受注比率を高める。2026年3月期の受注高は前期比14.0%増の72,520百万円と旺盛な受注獲得が継続しており、施策の初期効果が確認されている。
改修・保守修理等のリニューアル工事・メンテナンス契約の拡大により、景気変動に左右されにくい安定的な収益基盤を構築する。個別ベースの改修・保守修理等受注高は20,092百万円(当期)と高水準を維持しており、次期繰越工事高8,026百万円が翌期の安定収益を下支えする。
ソフトウェア投資(個別ベースのソフトウエア残高が211百万円から767百万円へ急増)を通じたDX推進により、設計・施工・管理業務の効率化を図る。人手不足・労務費上昇への対応として生産性向上は不可欠であり、中期的なコスト構造改善に寄与することが期待される。
2026年3月期に営業利益率6.4%を達成し、旧中計の収益性改善目標を実現。完成工事原価の圧縮・採算管理の高度化・不採算工事の抑制が奏功した。短期借入金2,700百万円の全額返済により財務基盤も強化され、次期中計への移行基盤が整備された。
最終更新: 2026年7月19日

