事業内容
アストロスケールホールディングスは、宇宙空間における軌道上サービス(On-Orbit Servicing)を専業とする日本発のグローバル企業。コア技術である非協力物体へのRPO(ランデブ・近傍運用)技術を自社開発し、故障機・物体の観測・点検(ISSA)、寿命延長・燃料補給(LEX)、既存デブリ除去(ADR)、衛星運用終了時のデブリ化防止(EOL)の4サービスを展開する。
日本・英国・米国・フランス・イスラエルに拠点を構え、JAXA・ESA・米国宇宙軍・英国防衛省・防衛省など主要国の政府機関・防衛機関を主要顧客とする。2024年6月に東京証券取引所グロース市場に上場。
従業員の約7割がエンジニアで構成される技術集約型企業。
ビジネスモデル
収益の大半は、政府機関・防衛機関との研究開発・実証プロジェクト契約に基づくマイルストーン収入。技術開発の進捗に応じた審査通過を条件に対価が支払われる構造で、売上収益に政府補助金収入を加算したプロジェクト収益を実態指標として管理する。
中長期的には、民間コンステレーション事業者向けEOLサービスや静止衛星向けLEXサービスへの展開により、サービスフィー型の民間収益を積み上げる戦略を描く。
企業の強み
ELSA-dによるデブリ捕獲実証(2021年)、ADRAS-Jによる実デブリへの約15m近接実証(2024〜2025年)を民間企業として世界初で達成。2025年6月時点で、非協力物体へのRPO技術の宇宙実証に成功した競合事業者の存在を認識していないと有報に明記されており、技術的先行優位が確立されている。
2025年4月期の受注総額は30,704百万円(前年同期比452.0%増)、受注残総額は29,695百万円(同545.6%増)。JAXA・米国宇宙軍・英国防衛省・防衛省・ESAなど複数国の政府・防衛機関から同時並行で受注を積み上げており、想定受注残を含む合算額は44,413百万円に達する。
Eutelsat OneWeb社・Astro Digital社・Airbus Constellations Satellites SAS社(100個以上受注)など複数の衛星事業者とドッキングプレートの搭載契約を締結。本書提出日現在、軌道上に571機のドッキングプレート搭載衛星が存在し、EOLサービスの商業化に向けたエコシステムが先行して構築されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年4月期の売上収益は5,940百万円(前期2,457百万円、前々期2,853百万円)と急拡大し、売上原価5,921百万円を上回り売上総利益19百万円と初の黒字転換を達成。営業損失は9,975百万円(前期18,755百万円)と大幅縮小。
外部要因として為替差益(金融収益3,842百万円の主因)が税引前損失の縮小に寄与。当期損失7,115百万円のうち法人所得税費用419百万円は為替差益に係る繰延税金負債の追加計上(訂正後)によるもの。
2027年4月期はプロジェクト収益12,500百万円〜17,000百万円、営業損失9,000百万円〜9,900百万円を予想。
成長戦略
継続受注案件モデルへの移行と防衛・民間需要取り込みによる早期黒字化
既開発プラットフォームを大幅改変なく再利用する「継続受注案件」を通じ、案件ごとの新規開発コストを抑制。売上総利益率30%台半ば・営業利益率20%台半ばを長期目標に掲げ、全額拠出案件比率向上とプロジェクトミックス改善を推進。2026年4月期に売上総利益が初黒字転換し初期成果を確認。
米空軍研究所・防衛省・米MDA SHIELD IDIQ候補選定等、防衛機関との契約を複数獲得。主要国の宇宙防衛戦略見直しを背景に、防衛案件は継続受注案件創出の主要経路と位置づけ。2026年以降の案件受注加速を期待。
ELSA-M(CDR完了・Isar Aerospaceとの打上げ契約締結)、APS-R(2027年4月期中打上げ予定)、Orpheus(CDR完了・2027〜2028年4月期打上げ予定)、ISSA-J1(PSLV打上げ契約締結)等を並行進捗。各ミッションの打上げ・実証成功が次フェーズ受注と継続受注モデル確立の鍵。
2026年6月にヒューリック向け転換社債16,300百万円・海外CB10,000百万円・ヒューリック向け第三者割当3,500百万円・スカパーJSAT向け第三者割当800百万円を実施。調達資金は生産設備拡大・衛星製造投資・運転資金に充当予定。
有形固定資産は前期6,025百万円から11,063百万円へ急増し製造能力増強が進行中。
Xona Space Systems等から第2世代ドッキングプレートの商業契約を複数獲得し、打上げ予定累計1,000個超を達成。フランスExotrail社との戦略的パートナーシップ締結・衛星軌道離脱ミッション開発契約締結(2030年までに初回商用ミッション目標)により欧州民間市場への展開も加速。
最終更新: 2026年7月17日

