事業内容
奥村組は1907年創業の総合建設会社で、東証プライム上場。土木事業(売上高の約37%)と建築事業(同約59%)を中核に、不動産・再生可能エネルギーを担う投資開発事業、建設資機材製造・販売等のその他事業を展開する。
主要顧客は官公庁・独立行政法人から物流施設・医療施設・工場等の民間事業者まで多岐にわたる。台湾でのシールド工事など海外展開も進めており、子会社9社・関連会社6社で構成されるグループ全体の売上高は307,202百万円(2026年3月期)に達する。
ビジネスモデル
主収益は土木・建築工事の請負契約に基づく完成工事高の計上。受注から施工・完成までのリードタイムが長く、次期繰越工事高(2026年3月末時点615,630百万円)が将来売上の先行指標となる。
採算性を重視した選別受注と追加工事獲得・原価低減により利益率を管理。投資開発事業では不動産賃貸・販売と再生可能エネルギー売電により建設事業に依存しない安定収益の構築を目指す。
企業の強み
2026年3月末時点の次期繰越工事高は615,630百万円(土木304,636百万円、建築310,994百万円)に達し、年間完成工事高295,390百万円の約2年分に相当する。村野浄水場更新工事(2033年2月完成予定)や台湾電力向けケーブルトンネル工事(2030年3月完成予定)など長期大型工事を複数抱え、中期的な売上基盤が可視化されている。
日本-台湾間でのシールドマシン遠隔操作を実用化するなど、施工自動化・遠隔化技術で先行する。台湾での宝山シールド工事・港風~中科ケーブルトンネル工事など海外大型工事を複数受注し、2026年3月期の土木事業海外売上高は前期比73.7%増の11,318百万円を計上。
研究開発費1,871百万円を継続投入し技術競争力を維持している。
建築事業では特命受注比率が前期27.4%から50.9%へ上昇し、採算性を重視した受注構造へシフト。追加工事獲得と原価低減活動の推進により、2026年3月期の土木事業営業利益率は8.8%(前期比大幅改善)、連結売上総利益率は前期比22.0%増の38,669百万円を達成。
中期経営計画初年度に売上高・各段階利益ともに過去最高を更新した。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期242,458百万円から2026年3月期307,202百万円へ5期連続で拡大(年平均成長率約6.1%)。営業利益は2025年3月期に9,731百万円へ落ち込んだが、2026年3月期は15,928百万円(前期比63.7%増)へ急回復し、完成工事総利益率の改善(土木事業の採算向上が主因)が寄与した。
親会社株主帰属当期純利益は18,360百万円(前期比574.3%増)と急増したが、前期の減損損失13,234百万円の反動および為替予約評価益(7,392百万円)という一過性要因が含まれる。外部要因として公共・民間ともに建設投資が堅調に推移する市場環境が追い風となっている。
2027年3月期は売上高304,000百万円・営業利益20,500百万円(前期比28.7%増)を予想するが、経常利益・純利益は一過性要因の剥落で減益見通し。
成長戦略
建設事業の収益力強化・事業領域拡大・人的資源活用を三本柱とする中期経営計画
施工余力を考慮した受注選別と追加工事獲得・原価低減活動の推進により、完成工事総利益率の改善を図る。2026年3月期の土木事業営業利益率は8.8%へ大幅回復し、建設事業全体の売上総利益率も改善した。2027年3月期は営業利益20,500百万円(前期比28.7%増)を目標とする。
石狩バイオエナジーの商業運転再開(2026年4月)により再生可能エネルギー事業の安定収益化を目指す。前期の大規模減損後の減価償却費減少も収益改善に寄与し、投資開発事業の営業損失は730百万円へ縮小。翌期以降の黒字転換を見込む。ノンリコース借入金の財務制限条項抵触への対応が継続課題。
中期経営計画期間中(2025〜2027年度)の株主還元方針として連結配当性向70%以上(一過性要因除き)・DOE2.0%下限を設定。2026年3月期は1株当たり297円(配当性向70.2%)、2027年3月期予想は300円(配当性向70.4%)と方針に沿った配当を継続。
自己株式取得も機動的に実施する方針。
最終更新: 2026年7月19日

