事業内容
株式会社ニッスイは1911年創業の総合水産食品企業で、漁撈・養殖・加工商事を担う水産事業、冷凍食品・チルド食品を展開する食品事業、EPA・DHA等の機能性原料・医薬品原料を手掛けるファイン事業、冷蔵倉庫・配送・通関を担う物流事業の4セグメントを運営する。子会社71社・関連会社27社で構成されるグループは北米(GORTON'S, INC.)、欧州(フランス・英国・スペイン等)、南米(チリ養殖)にまで事業を広げ、2026年3月期の海外所在地売上高比率は41.2%に達する。
主要顧客は量販店・コンビニエンスストア・外食チェーン等の食品流通業者であり、株式会社SCIへの販売は123,180百万円(売上高比13.2%)を占める。
ビジネスモデル
漁撈・養殖で原料を確保し、国内外の加工工場で製品化、グループ物流網を通じて小売・外食・業務用チャネルへ販売する垂直統合型モデルを採る。水産原料の自社調達力を基盤に、冷凍食品・チルド食品・機能性素材へと付加価値を高めることで収益を得る。
ROICスプレッドを軸とした事業ポートフォリオマネジメントにより、成長分野への経営資源集中と不採算事業の改善を並行して推進している。
企業の強み
漁撈(日本・南米)、養殖(日本・チリ)、加工・商事(北米・欧州・日本)を自社グループで一貫して保有する。2026年1月にはチリのPESQUERA YADRAN S.A.を買収し養殖規模を拡大。110余年の歴史で構築したグローバルリンクスは競合が短期間で模倣困難な固有資産である。
国内チルド事業ではコンビニエンスストア向け弁当・惣菜が連続増収増益を達成。北米ではGORTON'Sブランドで家庭用冷凍食品シェアを拡大し、欧州ではフランス・英国・スペインで販売好調。食品事業売上高は500,985百万円と全社最大セグメントを形成している。
1982年からEPA販売を開始し、高純度EPA研究・速筋タンパク研究等を継続。東京イノベーションセンターと大分海洋研究センターを研究拠点とし、2026年3月期の研究開発費は5,002百万円。医薬品原料・サプリメント向け機能性原料の堅調な販売実績を持つ高付加価値領域を保有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期693,682百万円から2026期931,265百万円へ5期連続増収を達成。営業利益は2023期に24,488百万円へ一時低下したが、2024期以降は回復基調に転じ、2026期は40,430百万円と過去最高を更新した。
2026期の増益要因は、前期に苦戦した漁撈・養殖事業および北米水産加工事業の改善(水産事業営業利益前期比211.1%増)とチルド事業の堅調推移が主因。外部要因としては、国内漁獲物の販売価格上昇、チリ産ギンザケの市況改善、コンビニエンスストア向け需要拡大が追い風となった一方、米国関税による原料価格上昇や物流コスト増が一部セグメントの利益を圧迫した。
成長戦略
2030年売上高1兆円・営業利益500億円を目指し海外展開と養殖高度化を加速
北米・欧州を中心に事業規模を拡大し、水産フライに加え第二の柱を育成。2027年度までに海外所在地売上高比率43%程度を目標とし、2026年3月期実績は41.2%に到達。南米養殖会社PESQUERA YADRAN S.A.の買収(2026年1月)により資源アクセスと海外販路を強化した。
養殖ブリの3D魚体計測システムを開発し、高精度な魚体重推定モデルの精度向上を実現。病気の早期発見・適切な給餌量設定によるコスト削減・環境負荷低減を目指す。チリ養殖ではPESQUERA YADRAN S.A.買収により規模拡大と生残率向上によるコスト低減を推進中。
ROICスプレッド・成長性・ミッション親和性を評価軸に経営資源を最適配分。北米水産加工・南米漁業の不採算事業ターンアラウンドを推進し、2026年3月期に水産事業営業利益が前期比211.1%増と改善。中計3年間で1,500億円程度の投資を計画。
EPA・DHA等の機能性原料・医薬品原料の生産能力強化に向け設備投資を積み増し(2026年3月期1,857百万円)。長期ビジョン「GOOD FOODS 2030」においてファインケミカル事業の成長と差別化加速を明示し、経営資源配分の優先度を高めている。
社内公募「Nissui Open Innovation 2025」で応募件数が前年度を大きく上回る約80件を達成。ペットフード事業「PAWSOME DELI」や未利用資源活用「namino leather」など新たな価値創出に取り組む。外部パートナーとの共創プログラムも実施中。
最終更新: 2026年7月19日

