事業内容
マイクロ波化学株式会社は2007年創業。化石資源由来の「熱と圧力」による従来製造プロセスを、電気由来の「マイクロ波」に置き換えることで「省エネルギー・高効率・コンパクト」な環境対応型プロセスのグローバルスタンダード化を目指す。
炭素素材、ケミカルリサイクル、金属製錬/鉱山プロセス、電子材料、医薬品など幅広い化学産業領域において、大手化学メーカーや素材メーカーを主要顧客とし、ラボ開発から実証開発・実機導入・製造支援までをワンストップで提供する。2022年6月に東京証券取引所グロース市場に上場。
2025年3月期末時点で契約総数71件のパイプラインを保有する。
ビジネスモデル
フェーズ1(ラボ開発)・フェーズ2(実証開発)では共同開発費や設計費として収益を計上する。フェーズ3(実機導入)・フェーズ4(製造支援)では装置販売に加え、顧客がマイクロ波プロセス導入で得たコスト削減・付加価値向上の一部をライセンス収入(一時金・ロイヤリティ)として受領する。
2025年3月期売上高1,608百万円のうちフェーズ2が1,330百万円(82.7%)を占め、中長期的には事業化パイプラインからの継続的ロイヤリティ収入が利益貢献の柱となることを想定している。
企業の強み
2007年創業以来、マイクロ波吸収能の独自測定手法・電磁場と熱流体の連成シミュレーション技術・20の要素技術群を蓄積し、業界の常識を覆す年産3,000トン規模の商業生産を実現。10年以上・多種多様な化学企業との共同開発で構築したデータベースとノウハウは参入障壁として機能する。
大阪事業所に第一〜第三実証棟(2024年3月竣工)を保有し、ラボ開発・ベンチ機・パイロット機・実機の全フェーズに対応可能なインフラを自社内に整備。研究開発部18名・エンジニアリング部16名が在籍し、総従業員の69.4%が技術人材で構成される。
契約総数は2023年3月期61件→2024年3月期64件→2025年3月期71件と増加傾向。ケミカルリサイクルでは計20社以上×30件以上のプロジェクトを通じて要素技術を蓄積。
鉱山プロセスでは標準ベンチ装置を2024年3月に完工し、大平洋金属とのニッケル鉱石煆焼・還元に成功するなど複数領域で実績を積み上げている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年6月期3Q累計(2025年4月〜12月)の売上高は556百万円(前年同期比17.9%減)、営業損失は685百万円(前年同期149百万円の損失)と大幅に悪化した。売上原価が前年同期145百万円から455百万円へ急増し売上総利益は101百万円にとどまる一方、販売費及び一般管理費も787百万円(前年同期682百万円)と増加した。
過去5期の財務推移では2023期・2024期・2025期に営業黒字を計上していたが、2026年6月期は15カ月決算の経過期間であり通期予想営業損失853百万円と大幅な赤字転落が見込まれる。総資産は1,547百万円(前期末比577百万円減)、純資産は395百万円(同668百万円減)まで低下しており、財務基盤の毀損が進んでいる。
成長戦略
提携事業のフェーズ3移行加速・発振器内製化・新規事業探索の三本柱で収益化を目指す
炭素繊維製造・鉱山プロセス・ケミカルリサイクル等の既存開発案件を実機導入フェーズへ進め、大型収益の実現を目指す。3Q末時点で契約済み案件44件(通期計画64件)、新規案件獲得10件(通期計画25件)と計画に対して進捗は限定的。
鉱山プロセス新規標準実証装置への開発投資および既存標準ベンチ装置のアップグレードにより、技術標準化を通じた粗利率改善とリードタイム短縮を図る。3Q累計の売上総利益率は18.1%と前年同期78.6%から大幅低下しており、標準化効果の発現が急務。
マイクロ波装置スケールアップに伴う発振器コスト増・納期長期化が提携事業の利益を圧迫していた課題に対し、2026年6月期より内製化開発に着手。コスト構造の改善により提携事業の採算性向上を目指す。
株式会社タケエイと共同で環境省補助金(令和7年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)に採択。マイクロ波を利用したEVA樹脂除去・低減技術の開発および実証試験を実施し、使用済み太陽光パネルの大量廃棄という社会課題解決に取り組む新領域。
半導体材料領域等へのマイクロ波展開、マイクロ波以外の新規ソリューションの既存顧客への提供、小規模M&Aを想定。戦略仮説の立案と仮説検証のサイクルを回しながら探索を継続。
最終更新: 2026年7月17日

