事業内容
岡本硝子株式会社は1947年創業の特殊ガラス・薄膜製品メーカーで、千葉県柏市に本社を置き、国内外6社のグループで事業を展開する。主力の光学事業ではプロジェクター用反射鏡・フライアイレンズを製造し、セイコーエプソングループやEpson Precision(Philippines), Inc.(売上高の23.1%を占める最大顧客)向けに供給する。
照明事業では自動車ヘッドライト用カバーガラス、機能性薄膜・ガラス事業ではデータセンター向け光アイソレータ用ガラス偏光子「Glapola®」や高耐久性銀ミラー「Hi-Silver®」を手掛ける。その他セグメントでは医療用デンタルミラーや海洋探査機器向け耐圧ガラス球も展開し、多様な産業分野に特殊ガラス技術を提供している。
ビジネスモデル
硝材開発・精密成型・薄膜蒸着の3つのコアコンピタンスを軸に、プロジェクター・自動車・光通信・医療など多様な産業向けに特殊ガラス製品を受注生産する。主要顧客との長期的な取引関係を基盤に安定的な売上を確保しつつ、AIデータセンター向けガラス偏光子や放熱基板など成長分野への設備投資を通じて収益構造の転換を図る。
台湾・中国の連結子会社を活用したアジア供給体制も収益基盤を支えている。
企業の強み
「可視光用ガラス偏光子」「ガラス偏光子およびその製造方法」について日本・中国・米国で特許を保有し、光アイソレータ用途での独占的地位を確立している。光通信用ガラス偏光子「Glapola®」は生成AIデータセンター向け光トランシーバに採用されており、技術的参入障壁が高い。
複雑立体形状を実現するガラス射出成型技術「G-injection®」は特許取得済みの自社独自技術であり、両面レンズや異形レンズの成型を可能にする。また次世代高精度プレス法「FP法」の基礎技術開発を完了し、量産移行への技術検証を進めており、成型精度とガラス利用効率の大幅向上が見込まれる。
その他セグメントは2026年3月期に売上高894百万円・セグメント利益222百万円を計上し、営業利益率は約24.9%とグループ内最高水準を維持している。デンタルミラー等の医療向けガラス製品や江戸っ子1号等の海洋・特機製品が安定的な高収益を支えており、主力事業の変動リスクを補完している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期5,069百万円をピークに減少傾向が続き、2026年3月期は4,731百万円と微増収(+1.0%)にとどまった。利益面では、フライアイレンズ生産用ガラス溶融炉更新に伴う減価償却費が前期323百万円から601百万円へほぼ倍増したことに加え、データセンター投資拡大に伴うファラデー回転子の需給逼迫(外部要因)により偏光子の発注が急減し、機能性薄膜・ガラス事業のセグメント利益が前期93百万円から3百万円へ激減した。
この結果、営業損失78百万円・経常損失83百万円・純損失149百万円と5期ぶりの全面赤字となった。自己資本比率は新株予約権行使による増資効果で前期20.8%から30.1%へ改善した。
成長戦略
偏光子増産・放熱基板・新導光体デバイスへの設備投資でGROWTH28の利益率10%を目指す
データセンター投資拡大を背景とした光通信用ガラス偏光子の需要増加に対応するため、製造ラインを増設し2027年2月より販売数量の倍増を計画。2025年11月以降に受注・生産が回復しており、2027年3月期の機能性薄膜・ガラス事業の業績回復の主軸となる。
当社製放熱基板の顧客採用増加による販売数量の逓増が2026年9月ごろより見込まれる。データセンター関連製品として位置付けられており、新株予約権調達資金800百万円をデータセンター関連製品の新規設備投資に充当する計画。
新株予約権(第11回・第12回)による調達資金1,599百万円のうち600百万円を新導光体デバイスに係る新規設備投資に充当する計画。2026年7月から2029年6月にかけて段階的に支出予定であり、次世代製品ラインアップの拡充を図る。
自動車ヘッドライト・フォグライト用カバーガラスの売上高減少が続く中、不採算製品の撤収等により照明事業のセグメント損失(前期△32百万円)を黒字(5百万円)に転換させた。損益分岐点の低下により、今後の売上回復時の利益貢献度向上が期待される。
最終更新: 2026年7月19日

