事業内容
トレックス・セミコンダクターは1995年設立のアナログ電源IC専業メーカーで、DC/DCコンバータ・レギュレータ・ディテクタ・ディスクリートを主力製品とする。「Powerfully Small!」を製品コンセプトに掲げ、低消費電力・小型化技術を核として、産業機器・車載機器・医療機器・民生機器向けに製品を供給する。
連結子会社9社(販売6社・製造2社・製造販売1社)を通じ、日本・アジア・欧州・北米の4極でグローバルに事業を展開。製造子会社フェニテックセミコンダクターがウエハ前工程を担うほか、外部委託を組み合わせたハイブリッド型生産体制を採る。
主要顧客にはIXYS Corporation(売上高の13.7%)が含まれる。
ビジネスモデル
製品企画・開発・販売・品質管理を自社で行うファブレス経営を基本としつつ、子会社フェニテックセミコンダクターによる前工程内製でコスト競争力と品質を確保するハイブリッド型モデル。FAE(フィールド・アプリケーション・エンジニア)を各地域に配置し技術提案型営業で顧客深耕を図る。
産業機器・車載機器・医療機器の重点3分野向け高付加価値製品に注力し、価格競争の激しいコンシューマー市場との差別化を維持する。ROE二桁・連結配当性向20%以上・DOE3%程度を資本政策の目標として掲げる。
企業の強み
創業以来、高度なIC設計技術と超小型・薄型パッケージ「USP(Ultra Small Package)」を自社開発するなど、アナログ電源ICに特化した技術蓄積を持つ。アナログ技術は技術者依存性が高く模倣困難とされ、有報でも「付加価値の高い分野」と位置づけられている。
研究開発費は2026年3月期に343百万円を投じ、高耐圧・大電流対応技術の継続開発を推進している。
2016年に子会社化し2019年に100%子会社化したフェニテックセミコンダクターが国内でウエハ前工程を担い、外部委託と組み合わせることで自社生産とファブレスの双方のメリットを享受する体制を構築。両社は製品開発・原価低減・品質向上の協業を推進しており、2026年3月期にはパワー半導体ビジネスへの共同取り組みを進めた。
フェニテックはチャイナプラスワン戦略を背景にファウンドリ受託案件が増加している。
日本・アジア(中国・台湾・東南アジア)・欧州(中東・アフリカ含む)・北米(中南米含む)に販売子会社を配置し、グローバルな顧客基盤を構築。各地域にFAEを配置した技術提案型営業を展開し、2026年3月期は全4セグメントで増収を達成した。
受注高は前年同期比21.9%増(グループ合計27,806百万円)と受注残高も前年同期比44.7%増の8,848百万円に積み上がっている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期30,864百万円・2023期31,957百万円のピーク後、2024期25,752百万円・2025期23,958百万円と2期連続で大幅減少したが、2026期は25,073百万円(前期比4.7%増)と反転。製品別では産業機器向け需要回復を背景にディスクリート(14,315百万円、前期比6.5%増)・VR(4,714百万円、同8.5%増)・VD(1,811百万円、同14.7%増)が増加。
外部要因として在庫調整の概ね解消が追い風となった一方、中国市場の低迷・AI関連メモリ需給逼迫による一部市場での部材調達制約が重石。営業利益は前期の損失632百万円から1,085百万円へ転換し、販管費削減(前期比618百万円減)と前期計上の減損損失消滅が主因。
2027年3月期は売上高28,000百万円(前期比11.7%増)・営業利益1,300百万円(同19.8%増)を予想。
成長戦略
産業機器・車載・医療の重点3分野集中攻略とPANJIT提携による生産体制再編
マーケットインの発想に基づく差別化製品の迅速な市場投入を継続。2026年3月期は産業機器向けが日本・アジア・北米で増加、医療機器向けが欧州で増加し、重点分野集中戦略が売上増に貢献。FAEを活用した技術営業で顧客の要望に迅速対応し、設計採用(デザインイン)の獲得を推進。
TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTD.の持分95%をPANJIT社に譲渡する契約を締結し、各種手続きを進行中。業務提携によるアジア生産体制の再編とコスト競争力強化、安定供給体制の構築を目指す。譲渡完了後のシナジー効果の具現化が次の焦点。
フェニテックセミコンダクターとの共同プロジェクトによるパワー半導体ビジネスへの取り組みを継続。基幹システム更新(ソフトウエア仮勘定657百万円増加)による業務効率化と、品質向上・生産性向上活動の推進でグループ収益最大化を図る。両社での業務改善による経費抑制も継続実施。
製品企画段階からのコスト分析徹底と生産計画効率化を継続。2026年3月期は販管費を前期比618百万円削減し、営業黒字転換の主要因となった。2027年3月期は売上高増加と合わせて営業利益1,300百万円(営業利益率4.6%)を目標とし、収益構造の更なる改善を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

