事業内容
株式会社石井表記は1973年創業、広島県福山市に本社を置く東証スタンダード上場企業。連結子会社6社(孫会社1社含む)を擁し、プリント基板・液晶向け製造装置(研磨機・メッキライン・インクジェットコーター等)を手掛ける「電子機器部品製造装置」セグメントと、メンブレンスイッチパネル・電子部品実装・車載部品向け印刷等を展開する「ディスプレイ及び電子部品」セグメントの2本柱で事業を構成する。
主要顧客はプリント基板メーカー、液晶パネルメーカー、工作機械・産業用機械メーカー、自動車関連メーカー等。中国(上海・蘇州)、フィリピンに生産拠点を持ち、グローバルに事業を展開している。
ビジネスモデル
収益の約31%を占める電子機器部品製造装置セグメントでは、プリント基板・液晶向け製造装置の販売に加え、生産消耗品の継続販売によるストック型収益を積み上げる。残る約69%を占めるディスプレイ及び電子部品セグメントでは、中国・フィリピン子会社を活用した電子部品実装受託や操作パネル・印刷製品の製造販売で安定的な売上を確保する。
装置・消耗品・受託製造の組み合わせにより、景気変動に対する収益の分散を図る構造となっている。
企業の強み
電子機器部品製造装置セグメントは2026期売上高4,876百万円、営業利益806百万円、営業利益率16.5%を達成。AI関連向けパッケージ基板の設備投資増加を背景に、前期比売上高6.5%増・営業利益24.6%増と高い成長率を実現した。
上海賽路客電子有限公司においてEV関連を含む主要顧客からの電子部品実装受注が増加基調となり、ディスプレイ及び電子部品セグメント全体の増収増益(売上高前期比5.2%増、営業利益前期比28.3%増)に貢献した。受注高は前期比10.3%増と好調を維持している。
2026期末の自己資本比率は66.9%、有利子負債残高は1,276百万円と財務健全性は高い。コミットメントライン未実行残高1,800百万円を含む流動性バッファーを確保しており、シンジケートローン残高も357百万円(タームローン)まで圧縮されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の推移は2023期(売上高18,222百万円・営業利益2,016百万円)をピークに2025期(売上高14,821百万円・営業利益907百万円)まで急落し、2026期(売上高15,651百万円・営業利益1,140百万円)から回復に転じた。2027年1月期第1四半期累計は売上高4,049百万円(前年同期比+12.3%)・営業利益367百万円(同+98.8%)と回復が加速。
外部要因としてAI関連半導体需要の拡大がプリント基板製造装置の需要を押し上げており、通期予想(売上高16,666百万円・営業利益1,155百万円)は前期比増収増益を見込む。一方、中国経済停滞・自動車向け生産調整・液晶需要の低迷が下押し要因として継続している。
成長戦略
AI・EV関連需要の取り込みと塗布技術の新市場横展開による収益基盤の多様化
AI関連半導体需要の拡大に伴うパッケージ基板の設備投資増加を捉え、関連製造装置・生産消耗品・高機能材料向けメッキ設備の販売を拡大する。2027年1月期Q1でプリント基板関連事業売上高は1,009百万円と前年同期702百万円から43.7%増加しており、戦略の実行が進んでいる。
液晶向けで培ったインクジェット塗布技術を環境負荷低減分野等の新市場に横展開し、液晶関連事業の構造的縮小を補完する新規収益源を開拓する。液晶関連事業の2027年1月期Q1売上高は189百万円と前年同期135百万円から増加しているが、製造装置の新規需要は限定的であり、新市場開拓の本格化はこれからの段階。
JPN,INC.における新規顧客開拓・新規量産品獲得、上海賽路客電子有限公司におけるEV関連を含む電子部品実装受注の回復を図る。2027年1月期Q1ではJPN,INC.が顧客生産調整・材料価格上昇により営業損失、上海賽路客はほぼ前年同期並みにとどまっており、改善は道半ばの状況。
2027年1月期の年間配当予想は36円(前期28円から28.6%増)に引き上げ。業績回復に伴う利益成長を株主に還元する方針を示しており、PBR1倍割れ解消に向けた資本効率改善の取り組みの一環と位置付けられる。
最終更新: 2026年7月17日

