高周波熱錬株式会社 logo

高周波熱錬株式会社

5976東証プライム金属製品

高周波熱錬株式会社 logo
高周波熱錬株式会社5976

事業内容

高周波熱錬株式会社(ネツレン)は1946年創業の東証プライム上場企業で、誘導加熱(IH)技術を中核に国内外で事業を展開する。主力の製品事業部関連事業ではPC鋼棒・高強度ばね鋼線(ITW)・建設機械用旋回輪等を製造販売し、IH事業部関連事業では自動車・工作機械・建設機械等の重要保安部品の熱処理受託加工と誘導加熱装置の製造販売を行う。

国内に複数の製造拠点を持つほか、米国・チェコ・中国・インドネシア・メキシコ・韓国等に子会社・関連会社を有し、グローバルに事業を展開。2026年3月期の連結売上高は58,277百万円。

近年はM&Aによる事業領域拡大も推進している。

ビジネスモデル

製品事業部では土木・建築・自動車・建設機械向け製品を自社製造し販売する。IH事業部では自動車部品等の熱処理受託加工(加工賃収入)と誘導加熱装置の製造販売を両輪とする。

コスト上昇分の販売価格転嫁と原価低減活動を継続的に実施し収益を確保。不動産賃貸事業が安定的な収益を下支えし、M&Aによる新規事業の取り込みで事業ポートフォリオを拡充している。

企業の強み

1946年から高周波誘導加熱技術を事業化し、自動車・建設機械・工作機械・土木建築等の幅広い産業分野に適用してきた。CAEシミュレーション技術、金属3Dプリンターを活用した加熱コイル製造、SiC電源・FPGA制御電源など先端技術を自社開発し、研究開発費は2026年3月期に756百万円を投じている。

国内に刈谷・赤穂・神戸・岡山・いわき等の複数製造拠点を持ち、海外は米国・チェコ・中国(複数拠点)・インドネシア・メキシコ・韓国に子会社・関連会社を展開。熱処理受託加工の海外拠点は自動車産業の現地生産に対応し、高強度ばね鋼線は米国・チェコで顧客・用途の新規開拓を継続している。

2026年3月期末の自己資本比率は66.0%と高水準を維持。総資産88,146百万円に対し純資産65,378百万円を確保し、M&Aや設備投資(2026年3月期実績4,009百万円)を自己資金中心で実行できる財務体力を有する。

配当金支払い2,005百万円・自己株式取得2,000百万円を実施しながらも財務健全性を維持している。

エンヴァリスの着眼点

2026年3月期の営業利益は1,892百万円(前期比17.0%増)と改善したが、親会社株主帰属当期純利益は1,329百万円(同26.8%減)に落ち込んだ。前期に投資有価証券売却益1,217百万円を計上した反動に加え、当期も減損損失257百万円を計上。

経常利益段階では改善しているが、特別損益の振れが純利益の安定性を損なっており、実力ベースの収益力評価が難しい構造が続いている。

ドーケン・MDI株式会社の子会社化により連結範囲が拡大し、のれん1,626百万円が計上された。借入金は前期比約4,825百万円増加し、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は1.7倍(前期)から6.6倍(当期)へ急上昇、インタレスト・カバレッジ・レシオも58.7倍から15.3倍へ低下。

M&Aによる事業領域拡大の成果が収益に反映されるまでの期間、財務指標の悪化が続く可能性がある。

2027年3月期の会社予想は売上高64,000百万円(前期比9.8%増)、営業利益2,100百万円(同11.0%増)と増収増益を見込む一方、経常利益は2,500百万円(同6.2%減)と減少予想。借入金増加に伴う支払利息の増加が営業外収支を圧迫するとみられる。

また、配当性向178.6%(2026年3月期)は純利益を大幅に上回る水準であり、次期予想純利益1,500百万円での配当維持(71円)は配当性向154.3%と依然高水準。持続可能性の観点から収益改善が不可欠。

成長戦略

第16次中計最終年度に向けM&A・価格転嫁・グローバル拡大の3軸で企業価値向上を目指す

ドーケン(プレキャスト・コンクリート製品)およびMDI株式会社(熱マネジメント・省エネシステム)を連結子会社化。ANDO Imagineering Groupを持分法非適用関連会社として取り込み、高強度PC鋼材・プレキャスト製品との相乗効果を創出。

MDIの損益連結は2027年3月期以降に本格寄与予定。

人件費・電気料金・鋼材等の高止まりするコストに対し、積極的な営業活動による販売価格改定を推進。2026年3月期において土木・建築関連製品および建設機械関連製品で価格改定効果が顕在化し、製品事業部の営業利益が前期比157.8%増の464百万円に改善。

米国・チェコ等での高強度ばね鋼線の顧客・用途新規開拓を継続。2026年3月期は海外での高強度ばね鋼線販売が堅調に推移し製品事業部の増収に貢献。建設機械関連製品も国内・中国ともに受注増加。一方、中国での誘導加熱装置は景気低迷・顧客スケジュール変更により苦戦。

2026年3月期の有形固定資産取得支出は3,990百万円(前期2,653百万円から大幅増)。IH事業部の有形・無形固定資産増加額は2,656百万円と前期1,545百万円から急増し、生産技術力強化を推進。建設仮勘定も1,783百万円から2,545百万円へ増加し、次期以降の設備稼働が見込まれる。

2027年3月期が第16次中計最終年度となるため、連結業績予想数値にあわせて中計目標数値を見直し(2026年5月13日公表)。DOE4.0%以上の配当方針を維持しつつ、自己株式取得(2026年3月期2,000百万円)も実施。資本コストを意識した経営で企業価値向上を目指す。

最終更新: 2026年7月19日