事業内容
クニミネ工業は1943年創業のベントナイト専業メーカーで、山形・宮城・栃木・福島・愛知など国内複数拠点でベントナイト原鉱石の採掘から製品製造・販売までを垂直統合で展開する。事業は①素形材・環境建設・ペット向けのベントナイト事業(売上高11,842百万円)、②精製ベントナイト等高機能粘土製品のクレイサイエンス事業(同1,788百万円)、③農薬加工を中核とするアグリ事業(同3,444百万円)の3セグメントで構成される。
主要顧客は鋳造・建設・農薬メーカー等の産業用途に加え、ペット用品市場にも展開。タイ子会社を通じASEAN市場にも販路を持つ。
ビジネスモデル
自社鉱山(クニマイン・川崎鉱業・関ベン鉱業)でベントナイト原鉱を採掘し、各工場で用途別に加工・製品化することで原料コストを抑制しつつ付加価値を創出する。アグリ事業では農薬メーカーからの受託加工が主体で、製剤・造粒技術を武器に高い利益率(2026年3月期セグメント利益率24.1%)を実現。
価格改定の継続的推進と高付加価値品へのシフトにより収益性を改善している。
企業の強み
クニマイン・川崎鉱業・関ベン鉱業の3採掘子会社を100%保有し、原鉱採掘から製品製造・販売まで一貫体制を構築。輸入原鉱も活用しつつ、国内鉱区への積極投資と新採鉱技術開発により原料の安定確保を図っている。素形材分野では国内高シェアを維持しており、競合他社が短期間で模倣困難な資源基盤を有する。
アグリ事業は2026年3月期に売上高3,444百万円(前年同期比22.8%増)、セグメント利益829百万円(同50.0%増)、利益率24.1%を達成。殺虫・殺菌剤の好調と除草剤の新規受注獲得が寄与。
受注残高は前年同期比178.9%増の231,070千円に拡大しており、製剤・造粒技術を核とした受託競争力が実績として示されている。
大阪大学との共同研究で三次元細胞培養向け試薬「Kuni-Grow+」を商品化し、山形大学との共同研究で粘土の電気化学特性を活用した蓄電デバイス部材への展開を推進。研究開発費235百万円を投じ、黒磯研究所を中心に複数の助成金事業も活用。長年の粘土技術の蓄積が新規用途開拓の基盤となっている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期15,257百万円→2023期15,326百万円→2024期15,675百万円→2025期15,708百万円と横ばい推移が続いたが、2026期は17,075百万円と前期比+8.7%の明確な加速を示した。営業利益は2023期に829百万円まで落ち込んだ後、価格改定効果の浸透とアグリ事業の拡大により回復し、2026期は1,602百万円と過去5期で最高水準に達した。
外部要因として為替が差損から差益に転換(▲11百万円→+79百万円)したことも経常利益(1,954百万円、+23.5%)を押し上げた。営業CFは4,325百万円(前期比+322.4%)と大幅改善し、棚卸資産の圧縮(▲1,881百万円)が寄与した。
期末現金は9,107百万円と潤沢で財務健全性(自己資本比率83.0%)は引き続き高水準を維持している。
成長戦略
脱炭素・国土強靭化・新規用途開発・ASEAN展開の4軸で高収益構造を構築
国内インフラ整備事業・地熱発電事業の取り込みを推進し、環境建設分野の売上高は2026年3月期に3,801百万円(前期比+11.7%)と好調。放射性廃棄物処理事業への積極的な営業活動も展開中。脱炭素・国土強靭化という外部環境の追い風を自社の環境建設向け製品・技術力で取り込む戦略。
造粒技術の高度化とIT活用による省人・省力化を推進し、2026年3月期はセグメント利益50.0%増・利益率24.1%を達成。除草剤の新規受注獲得も実現。種子コーティング事業等の新分野拡大を継続推進しており、収益源の多様化が進展している。
クニピアの化粧品・日用品用途は国内外で需要増加がみられるものの、工業用輸出向け需要減少と在庫評価減により2026年3月期は減収減益。クニシャイン・Kuni-Grow+・赤潮対策製品等の産学官連携による新規用途開拓を継続中。収益改善には工業用途の回復または化粧品用途の更なる拡大が必要。
KUNIMINE(THAILAND)CO.,LTD.(持分49%)を通じて素形材用ベントナイトのASEAN向け仕入販売を展開。TRANS WORLD PROSPECT CORPORATION(持分71.43%)を通じた米国ベントナイト採掘会社への出資も継続。
海外売上は全体の10%未満にとどまるが、素形材分野の国内高シェアを活かした海外拡販を推進中。
DX推進およびAI活用に向けた体制整備を進めるとともに、鉱区開発のための投資や採鉱技術の開発を継続。2026年3月期の有形固定資産取得支出は1,141百万円(前期比+121.6%)と大幅増加しており、設備投資が本格化している。安定的な資源確保と生産効率向上を通じた中長期的な競争力強化を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

