事業内容
株式会社FIXERは2008年設立のクラウドインテグレーターで、Microsoft Azureが日本で正式サービス開始した2010年から一貫してエンタープライズシステムのクラウド化を手掛けてきた。プロジェクト型サービス(新規開発・クラウド移行)、リセール(Azureライセンス販売)、マネージドサービス(cloud.config)、SaaS(GaiXer)の4事業を展開。
主要顧客はデジタル庁・万博協会・金融機関等のエンタープライズ領域で、2023年4月から生成AIプラットフォーム「GaiXer」を提供開始し、クラウドインテグレーターの枠を超えた事業転換を推進している。2025年8月期の売上高は3,980百万円、契約社数は201社。
ビジネスモデル
プロジェクト型サービスでクラウドネイティブなシステムを構築し、その後のリセール(Azureライセンス継続販売)とマネージドサービス(保守・運用)でストック型収益を積み上げる構造。さらに開発ノウハウをSaaS(GaiXer等)に昇華させ、継続利用料を獲得する。
売上原価は主に労務費・支払手数料で、2025年8月期の売上総利益率は約12.1%(482百万円÷3,980百万円)にとどまり、販管費2,212百万円が重く営業損失1,729百万円を計上している。
企業の強み
2015年にCSP制度設立時の国内第1号認定(世界26社のうちの1社)を取得。2017年にCountry Partner of the Year、2021年にMicrosoft Partner of the Year Award(Cloud Native App Development、日本企業初)、2025年にMicrosoft Japan Partner of the Year「Inclusion Changemaker アワード」を受賞。
Azure Expert MSP(最高位)も保有し、Microsoftからの優先案件紹介特典を享受している。
厚生労働省HER-SYS(着手から約3週間で初回納品)、国立がん研究センター全国がん登録クラウド移行、北國銀行「北國クラウドバンキング」新規構築・運用、デジタル庁(売上比16.5%)、2025年日本国際博覧会協会(同16.0%)等の大型官公庁・金融案件を受注・完遂した実績を有する。
2023年4月に提供開始したエンタープライズAGIプラットフォーム「GaiXer」は2025年8月期末時点で145社導入(中間期時点で累計205社突破)。2025年5月には医療特化型「GaiXer Medical Agent」を提供開始し、10病院への導入実績を持つ。
学校法人藤田学園との合弁会社「株式会社メディカルAIソリューションズ」(出資比率51%)も2025年3月に設立済み。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期11,361百万円をピークに4期連続で減少。2025期3,980百万円から2026期通期予想4,348百万円(前期比+9.2%)と初の増収転換を見込むが、第3四半期累計2,356百万円(9ヶ月)の進捗は54.2%にとどまる。
収益面では、万博関連等の大規模案件終了による売上・利益の減少に加え、Sovereign GaiXer関連の製品開発・販売体制再構築・販売チャネル整備等の先行投資が重なり、営業損失は2025期△1,729百万円から2026期3Q累計で既に△1,878百万円に達した。外部要因として生成AI市場の本格実装フェーズへの移行は追い風だが、先行投資フェーズの長期化が業績の重石となっている。
総資産は前期末4,493百万円から2,942百万円へ縮小し、自己資本比率は83.7%から78.8%へ低下した。
成長戦略
Sovereign GaiXerを中核とした政府・金融・医療向けオンプレミスAI市場の開拓とストック型収益基盤の構築
2026年4月より正式受注を開始し、複数台接続機能の実装・社内利用を開始。クラウド版GaiXerをSovereign GaiXer上で提供することを前提とした販売体制へ移行し、販売代理店網の整備を進めている。政府官公庁・金融機関のデータ主権ニーズを取り込む中核製品と位置付ける。
藤田医科大学岡崎医療センターおよび済生会向島病院への「GaiXer Medical Agent」導入を進めるとともに、「AI医事課長」の販売活動を開始。医療AIの社会実装を通じた新規市場の開拓と継続収益の獲得を目指す。
リセール・マネージドサービス・SaaS・ソブリンAIへの収益シフトを推進。第3四半期累計ではリセール1,167百万円、マネージドサービス478百万円、SaaS195百万円、ソブリンAI5百万円と、ストック型比率の向上を図るが、ソブリンAIは立ち上がり段階にとどまる。
新卒・中途採用の抑制と営業体制・組織体制の見直しにより固定費の最適化を推進。成果に応じたメリハリある評価・報酬運用のもと、生産性基準での人員構成最適化を進め、人員は緩やかな減少局面に入り人件費改善を図る。
最終更新: 2026年7月17日

