事業内容
株式会社サイエンスアーツは、店舗・交通インフラ・介護・製造・公共機関など現場最前線で働くフロントラインワーカーをつなぐクラウドSaaS「Buddycom」を開発・販売する。音声通話を主体に、映像配信・音声テキスト化・同時翻訳・位置情報共有・AIアシスタント(BuddycomAI)等の機能を一体提供し、トランシーバーや無線機の代替として業務効率化・DX化を支援する。
主要顧客は鉄道・航空・GMS・介護施設・工場・商業施設・自治体等の幅広い業種に及び、国内潜在市場規模は約1,900億円と推計される。2021年11月に東証マザーズ(現グロース市場)に上場。
ビジネスモデル
BuddycomはユーザーID単位で月600円〜2,600円(年契約)のサブスクリプション料金を徴収するSaaSモデルを採用。初期費用ゼロで導入障壁を低減しつつ、契約継続により収益が積み上がる構造。
加えてイヤホンマイク・ウェアラブルカメラ等の専用アクセサリー販売(2025年8月期744百万円)が収益を補完する。販売はソフトバンク・リコー・NTTドコモビジネス等数十社の代理店網を活用し、少人数で全国展開を実現している。
企業の強み
ARRは2021年8月期末296百万円から2025年8月期末1,069百万円へ4年間で約3.6倍に拡大。2025年8月期末の契約社数は1,562社(前期末1,077社)と年間485社純増。NRR118.0%・月次解約率0.42%という高い顧客継続率が収益の安定性と成長性を両立させている。
Buddycomの開発は全て内製化しており、安定稼働と新機能追加を機動的に実現。国内外で音声通信・映像配信・位置情報制御等の特許を日米欧中韓シンガポール等で取得済み。2025年8月期は翻訳対応言語を23言語へ拡張、BuddycomAI・セーフティーサポート等の新機能を追加した。
2024年10月に楽天グループ及びJVCケンウッドを引受先とした第三者割当増資を実施(資本金442百万円に増資)。楽天のAI技術・ソリューションとの連携開発、JVCケンウッドとのIP無線機共同開発を推進中。戦略的資本提携により技術力強化と販路拡大の双方を同時に図っている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022期660百万円→2023期772百万円→2024期1,185百万円→2025期1,655百万円と年率約40%成長が継続。2026年8月期第3四半期累計(9ヶ月)は1,564百万円(前年同期比+34.9%)と高成長を維持。
営業利益は2023期・2024期の赤字から2025期107百万円で黒字転換し、2026年8月期第3四半期累計では149百万円(前年同期比+160.6%)と急拡大。本社移転に伴う固定資産の耐用年数短縮(一時的な減価償却費増加)という会計上の見積り変更が利益を約31百万円押し下げているにもかかわらず、大幅な利益成長を実現している。
通期修正予想は売上高2,130百万円(前期比+28.7%)・営業利益220百万円(前期比+105.1%)。
成長戦略
ARR拡大を主軸に、新規顧客獲得・ARPU向上・戦略提携・機能拡充の4軸で成長加速
知名度向上のための広告宣伝費増加と注力業界向け施策を実施。2026年8月期第3四半期末の契約社数は1,828社(前事業年度末1,562社)と9ヶ月で266社純増。代理店営業力強化も並行して推進しており、SMB層を含む新規顧客獲得が加速している。
BuddycomAI・映像配信・同時翻訳・ウェアラブルカメラ連携等の高付加価値機能を継続追加し、既存顧客のアップセル・クロスセルによるARPU向上を図る。ARRは前事業年度末1,069百万円から第3四半期末1,265百万円へ9ヶ月で196百万円増加しており、利用料単価の向上が寄与していると推察される。
ソフトバンク・NTTドコモビジネス・リコー等の既存代理店との関係深化に加え、楽天・JVCケンウッドとの資本業務提携を活用した技術・販路の強化を継続。間接販売モデルにより自社営業コストを抑制しながら全国展開を加速する方針。
クラウド型Buddycomに加え、オンプレミス等の新製品・サービスの売上が当第3四半期累計で2百万円(千円単位:2,434千円)計上された。セキュリティ要件の高い顧客層への対応拡大を図るものと見られるが、現時点では売上規模は軽微。
最終更新: 2026年7月17日

