事業内容
松本油脂製薬は1926年創業の界面活性剤専業メーカーで、繊維工業用油剤・加工薬剤から金属加工油剤・熱膨張性マイクロカプセル(マツモトマイクロスフェアー)まで幅広い機能性化学品を製造・販売する。国内(日本セグメント)が売上高の約94%を占め、インドネシア・台湾の連結子会社2社がアジアセグメントを構成する。
主要顧客は繊維産業(紡糸・染色・仕上げ)のほか、自動車部品・製缶・香粧品・建材など多様な産業分野に及ぶ。従業員の約3割が研究開発関連業務に従事する研究開発型企業であり、東京証券取引所スタンダード市場に上場している。
ビジネスモデル
自社工場(本社工場・静岡工場・大阪工場)で界面活性剤および高分子製品を製造し、丸紅ケミックス(売上高の約32%)・日本クエーカー・ケミカル(約11%)等の販売チャネルを通じて国内外に供給する。研究開発費775百万円(2026年3月期)を継続投資し、新素材・新用途開発による付加価値向上で高い営業利益率(19.9%)を維持する。
資金需要は営業キャッシュフローと自己資金で賄い、無借金経営を基本とする。
企業の強み
売上高営業利益率は2022年3月期15.5%→2023年3月期19.6%→2024年3月期21.1%→2025年3月期21.5%→2026年3月期19.9%と推移し、直近5期を通じて高水準を維持している。自己資本比率も84.2%(2026年3月期)と80%超を継続維持しており、財務健全性と収益性を両立している。
従業員の約3割が研究開発関連業務に従事し、繊維工業(川上・川中・川下)から非繊維工業(熱膨張性マイクロカプセル・ゴム用防着剤・セメント添加剤等)まで幅広い技術領域で新製品開発を継続している。マツモトマイクロスフェアーは1979年の製造開始以来、独自の高分子技術に基づく製品として市場に定着している。
2026年3月期末の総資産105,916百万円に対し純資産91,267百万円、自己資本比率84.2%。現金及び現金同等物34,125百万円を保有し、設備投資・研究開発を自己資金で賄う。
1株当たり純資産額は2022年3月期19,544円43銭から2026年3月期30,757円44銭へ継続的に増加している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期41,526百万円をピークに2期連続で減少し、2026年3月期は41,069百万円(前期比4.8%減)。営業利益も8,160百万円(同12.1%減)と2期連続減益で、営業利益率は21.5%から19.9%に低下。
主因は世界的な衣料不況による繊維向け需要低迷と海外向け販売の不振。一方、為替差益1,226百万円(外部要因)の発生や受取利息・配当金の増加により経常利益・純利益は増益。
包括利益は11,094百万円(同52.0%増)と投資有価証券評価差額金の拡大も寄与。次期業績予想は未定。
成長戦略
界面活性剤・高分子技術の深化と新規顧客・用途開拓で収益基盤の多様化と持続成長を目指す。
自動車部品・DI缶用油剤・香粧品・樹脂成形向けなど非繊維工業関連への展開を推進。2026年3月期は自動車部品・香粧品分野の低調が継続し前期比3.3%減と苦戦しているが、繊維依存からの収益多様化に向けた中長期的な重点施策として継続中。
高品質・価格競争力のある製品開発と並行して新規顧客・用途開拓を推進し、丸紅ケミックス依存(売上高の約32%)の低減と収益基盤の多様化を図る。2026年3月期は陽・両性イオン界面活性剤で国内繊維・家庭用洗剤・海外向けが堅調(前期比7.5%増)と一部成果が見られる。
インドネシア・台湾拠点を活用し、中東向けトーブ生地向け非イオン界面活性剤や輸出向け加工剤の受注拡大を図る。2026年3月期はアジアセグメント売上高が前期比14.8%減・セグメント利益32.3%減と世界的な衣料不況の影響を大きく受けており、回復には時間を要する見通し。
最終更新: 2026年7月19日

