事業内容
戸田工業は1823年創業の老舗素材メーカーで、酸化鉄の微粒子合成技術を中核に「機能性顔料」と「電子素材」の2セグメントを展開する。機能性顔料では磁性粉末・着色材料・環境関連材料を、電子素材ではボンド磁石材料・誘電体材料(チタン酸バリウム)・軟磁性材料・LIB用材料を手掛ける。
主要顧客は自動車部品メーカー、MLCC(積層セラミックコンデンサ)メーカー、デジタル複写機・プリンターメーカー等で、国内外15子会社・4関連会社を通じてアジアを中心にグローバルに事業を展開する。TDK株式会社の持分法適用関連会社として資本業務提携関係にある。
ビジネスモデル
自社開発の湿式合成法による微粒子合成技術を用いて高機能素材を製造し、自動車・ICT・環境分野の製造業顧客に販売する。収益は製品販売による売上高が主体で、当期売上高は28,041百万円。
事業ポートフォリオを「成長事業」「次世代事業」「収益基盤事業」「再生・転換事業」の4区分で管理し、成長事業への経営資源集中と再生・転換事業の合理化により収益構造の質的改善を図る。
企業の強み
湿式合成法による150nm以下の超微粒子チタン酸バリウム製造技術を保有し、MLCC高容量化・小型化ニーズに対応。当期に分散体専用設備を稼働させ高付加価値品展開を開始。国内特許200件・海外特許246件・出願審査中223件の知財基盤を有し、競合が短期模倣困難な技術的差別化を実現している。
中国(浙江・天津・広東)・タイ・韓国に製造拠点を持ち、磁石材料・誘電体材料のグローバル安定供給体制を構築。2021年に射出成形磁石メーカーの江門協立磁業高科技有限公司を連結子会社化し川下領域まで事業基盤を拡充。アジア生産網により自動車部品メーカーの現地調達ニーズに対応している。
2019年にTDK株式会社と資本業務提携を締結し、TDKを筆頭株主・持分法適用親会社として電子部品用材料の共同開発・サプライチェーン相互補完・物流効率化を推進。TDKが取締役2名を指名できる関係にあり、電子素材分野における顧客基盤・技術連携・グローバルネットワーク活用の面で競合他社が模倣困難な提携構造を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期35,332百万円をピークに2024年3月期26,234百万円まで落ち込み、2025年3月期31,667百万円に回復したが2026年3月期は28,041百万円と再び減少。電子素材セグメントにおける戸田アドバンストマテリアルズInc.解散・ハイドロタルサイト事業解消の影響が主因。
一方、営業利益は2025年3月期の△648百万円から2026年3月期862百万円へ黒字転換し、売上総利益率も17.8%(前期)から24.0%へ大幅改善。外部要因として誘電体材料向けAI需要の急拡大が寄与した。
ただし特別損失(BASF戸田持分譲渡損失引当金3,016百万円)により最終損失は3,455百万円と5期連続赤字。2027年3月期は特損一巡と持分法損益改善により最終黒字500百万円を予想している。
成長戦略
Vision2026に基づく成長事業集中・不採算事業整理・次世代事業早期化の三軸推進
AIサーバー・周辺機器向けMLCC需要の大幅増加を背景に、独自の150nm以下微粒子合成技術による製品開発・製造を強化。乾燥前微粒子の分散体提供による高付加価値化も推進。2026年3月期に過去最高売上を達成し、2027年3月期も伸長を見込む。
自動車部品の小型化・軽量化ニーズに対応した磁石材料・軟磁性材料の拡販活動を継続。中国同業他社との競争激化・新車販売台数減少という逆風の中、新規テーマ獲得による売上伸長を目指す。2026年3月期は苦戦が続いたが、2027年3月期は改善を見込む。
戸田アドバンストマテリアルズInc.の解散・清算決定、BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社の出資持分譲渡契約締結(2026年2月26日取締役会決議)を実行。持分譲渡は監督官庁認可待ちだが方針に変更なし。当期に損失3,016百万円を先行計上済み。
着色材料・トナー用材料の価格是正活動・原価低減・諸経費削減を継続推進。2026年3月期のセグメント利益は1,498百万円(前期比48.4%増)と大幅改善。2027年3月期も触媒向け材料・記録材の需要好調を見込み、安定的な利益創出を継続する方針。
CO₂分離回収材料等の環境負荷低減に貢献する新素材の開発を推進し、早期事業化を目指して経営資源を重点投入。Vision2026では「次世代事業」と位置付けており、2030年度(2031年3月期)のありたい姿に向けた布石として開発を継続中。
最終更新: 2026年7月19日

