事業内容
第一稀元素化学工業は1956年創業のジルコニウム化合物専業メーカー。酸化ジルコニウムを中心に、乾式・湿式両製法を有し鉱石から最終製品までの一貫生産体制を構築する。
主要用途は自動車排ガス浄化触媒材料(売上高の約63%)を筆頭に、半導体・エレクトロニクス、エネルギー(SOFC等)、ヘルスケア(歯科材料等)、耐火物・ブレーキ等の基盤分野に及ぶ。国内工場(大阪・江津・福井)に加え、ベトナム・中国・タイ・米国に子会社を持ち、グローバルな製販体制を整備。
東証プライム上場。
ビジネスモデル
鉱石調達から精製・複合化・最終製品製造までの垂直統合型モデルを採用。乾式・湿式両製法の設備を保有し、顧客の多様な仕様要求に対応する。
売上高は製品販売による一品売り型が基本だが、顧客との共同開発・長期取引関係を通じて継続的な受注を確保。研究開発費1,419百万円(2026年3月期)を投じ、新用途・新製品開発で付加価値を維持する。
企業の強み
ジルコニウム化合物の精製において乾式(電融法)と湿式の両製法設備を保有し、鉱石から最終製品までの一貫生産システムを有する。これにより顧客の多種多様な仕様要求に対応可能な製造柔軟性を確保しており、競合が短期間で模倣困難な生産基盤を構築している。
2026年3月期末時点で国内特許102件・海外含む206件を保有。研究開発費は1,419百万円で、戦略分野38件・自動車触媒29件等に分散。大学・研究機関への助成金制度(2026年3月期:20件採択)も活用し、ジルコニウム化合物の新機能発掘と用途拡大を継続的に推進している。
主原料オキシ塩化ジルコニウム(ZOC)の自製拠点としてベトナム子会社工場が2025年7月に本格稼働。特定地域(中国)への依存リスクを低減し、供給安定性の向上とコスト競争力強化が実行段階に入った。
2026年3月期においてベトナム事業の変動費削減が営業利益改善(前期比52.4%増)に寄与した実績がある。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年3月期の35,748百万円をピークに2期連続で減少した後、2026年3月期は35,751百万円と過去最高水準を更新した。営業利益は3,479百万円(前期比52.4%増)と回復したが、2023年3月期の5,391百万円には及ばない。
外部要因として、ハイブリッド車販売の堅調推移(前期比6.3%増)、地政学リスク対応による当社製品への需要シフト、為替差益609百万円の計上が収益改善を後押しした。一方、2027年3月期は研究開発費・人件費・保守費用の増加を主因に営業利益3,000百万円(前期比▲13.8%)、純利益1,500百万円(同▲40.3%)と再び減益を見込んでおり、収益の持続的拡大には戦略分野の本格的な立ち上がりが不可欠な状況にある。
成長戦略
「DK-One Next」で2032年3月期に戦略分野売上比率50%以上を目指す10年変革計画
EV化の進展が想定より鈍化する中、ハイブリッド車需要の堅調推移と排ガス規制強化を追い風に販売数量を維持・拡大。2026年3月期は前期比7.7%増の22,424百万円を達成し、業績予想を0.6%上回った。地政学リスク回避の動きも需要を下支えしている。
ベトナム子会社の本格稼働により、2026年3月期は費用負担が減少し営業利益改善に貢献。引き続き安定稼働を継続し、原価低減活動を推進することで自動車触媒分野の収益性向上を図る。2027年3月期も安定稼働継続を前提とした計画を策定。
AIデータセンター向け安定電力需要の拡大を背景にSOFC用材料の需要が急増し、2026年3月期のエネルギー分野売上高は前期比35.5%増。特定国サプライチェーン混乱を背景とした当社製品への需要シフトも寄与。中長期的な成長ドライバーとして研究開発投資を継続する方針。
ヘルスケア分野は主要顧客での在庫消化完了により需要回復が見られ、2026年3月期は前期比8.4%増の2,151百万円。半導体分野はSiCウエハ向け研磨材の販売減少が継続するが、コンデンサ向け電子部品材料は前期比16.1%増と堅調。新製品・新用途創出に向けた研究開発費は2027年3月期も増加見込み。
最終更新: 2026年7月19日

