不適切会計処理と内部統制の重要な不備
連結子会社Shinwa Prive株式会社において2019年5月期から2024年5月期にわたるプライベートセールの不適切な会計処理が判明し、第三者委員会の調査を経て過年度有価証券報告書の訂正報告書を提出した。発生原因として、ガバナンス上の問題(公認会計士等の役員不在)、管理担当者と執行担当者の兼務、内部監査室のリソース不足等が指摘されている。再発防止策としてガバナンス委員会・リスクコンプライアンス委員会の設置、内部監査体制の再構築、規程類の改定等を実施しているが、体制強化が不十分な場合は業務に支障をきたすおそれがある。
内部統制の不備と人材確保リスク
当社グループの従業員数は50名弱と規模が小さく、内部管理体制も当該規模に応じたものにとどまっており、前連結会計年度において決算・財務報告プロセス並びに業務プロセスに関する内部統制に重要な不備があった。人材の確保および管理体制強化が不十分であった場合、適切な組織的対応ができず組織効率が低下し業務に支障をきたすおそれがある。内部管理体制の強化と人員補充を鋭意実施していく方針としているが、小規模組織ゆえの構造的制約が残存している。
オークション出品数減少リスク
当社グループの主力であるオークション関連事業は、景気動向や新規競合他社の参入等により出品数が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。近代美術の中価格帯作品は下げ止まりの兆候が見られ高価格帯は上昇傾向にあるものの、外部環境の変化に対する感応度が高い事業構造となっている。対応策として良品の出品募集営業の強化、国際マーケティング人材の採用、ライブビッティングシステムの利便性向上、新規顧客層の開拓を推進している。
戦略的在庫商品の評価・流動性リスク
当社グループは近代美術の巨匠クラスの名品を戦略的在庫として購入・保有しており、経済環境や美術品取引市場の著しい変動により評価の見直しを迫られる可能性がある。販売が計画通り進まない場合、保有期間の長期化による資金の固定化や予想した販売収益が得られないリスクがあり、業績に影響を及ぼす可能性がある。販売時期・価格・販売先について最良の環境が整うまで保有する方針としているが、市場環境次第では長期にわたる資金拘束が生じうる。
美術品の真贋リスクと信用毀損
オークション出品作品の真贋については権威ある第三者機関に鑑定・鑑別を委託しているが、真作でない作品を誤って取り扱った場合、信用低下につながり業績に影響を及ぼす可能性がある。オークション規約に基づき開催日から1年以内に真作でないと証明された場合は落札者に代金を返還する義務を負っており、財務的損失も生じうる。なお、低価格作品や骨董等の真贋判定が困難な作品については保証対象外としている。
前渡金・一括保証取引の回収リスク
当社グループは出品促進のため販売委託契約締結と同時に販売代金の一部を前渡しする前渡金制度を採用しており、不落札作品について出品者が前渡金を返還できない事態が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。また、大口出品に対して落札価額合計額の最低金額を保証する一括保証取引において、実際の落札価額合計額が保証金額に満たない場合も業績への影響が生じうる。対応策として管理部門が作成した前渡金リストに基づき作品評価額との乖離度合い等の異常性を取締役会で監視する体制を構築している。
美術品保管中の自然災害リスク
当社グループは保管中の作品に保険を付保しており盗難・火災は保険対象となっているが、地震等の自然災害に起因する事故については保険対象外であり、作品が損壊した場合には業績および財務状況に影響を与える可能性がある。また、オークション規約上、当社グループの故意または重過失に起因する損害については通常損害保険で担保されない範囲の損害が発生する可能性もある。保管リスクに対する保険カバレッジに構造的な空白が存在している。
顧客情報漏洩リスク
当社グループはオークション出品者との販売委託契約により顧客情報に関する守秘義務を負っており、不測の事態により情報が外部に漏洩した場合、信用失墜による取扱高の減少および損害賠償による損失が発生する可能性がある。個人情報の取り扱いには十分注意しているとしているが、小規模組織ゆえのセキュリティ体制の限界が潜在的なリスクとなっている。対応策として個人情報に関する教育の継続と情報セキュリティ強化のための適切な対応を図っている。
オークション事業の法的規制リスク
当社グループのオークション事業は民法・商法・消費者契約法・古物営業法等の規制を受けており、日本国内でオークションという事業形態が完全に認知されているわけではないため、将来的に運営に支障を来すような法令等の規制を受けた場合、事業活動に影響を及ぼす可能性がある。また、酒類・宝石貴金属・西洋美術・象牙等の取扱商品の拡大に伴い個別法規制(酒税法、犯罪収益移転防止法、電気用品安全法、種の保存法等)を受けるケースが増加する可能性がある。将来的に取り扱えないアイテムが発生した場合、事業計画の変更を余儀なくされ業績に影響を及ぼす可能性がある。
為替変動・金利リスク
当社グループの海外現地法人は外貨建て財務諸表を作成しており、急激な為替変動が生じた場合、円換算時の換算リスクにより業績および財政状態に影響を与える可能性がある。また、金融機関からの長期借入金の一部は市場金利に連動する変動金利であり、金利スワップ取引を利用しているが、期末ごとの時価評価による評価損益が業績に影響を及ぼす可能性がある。これらの市場リスクは外部環境に依存するため、当社グループによるコントロールが限定的である。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年4月21日

