サマリー
3Q累計の売上高は3Qとして過去最高を更新した。一方、新中計初年度の人的投資と大阪本社移転費用が重く、営業利益は減益となった。経営陣は、通期計画の達成に4Qで売上+29%、営業利益+26.3%の上積みが必要との認識を示した。そのうえで、4Qも好調な100億企業化、補助金、M&Aの計上と、補助金案件の採択時期が鍵になるとの見方を示した。先行指標の経営セミナーはプラス基調に転じ、研究会の会員数も伸びている。今回の先行投資は、前中計初年度と同じ型の投資と位置付けた。
ポイント(決算の要点と成長アクション)
- 経営戦略と市場認識
- 新中計初年度に人材を先行投資する方針で、23〜25年の前中計初年度と同じ型と説明した。
- キャリア採用は昨年後半から加速し、新卒採用も順調に増えた。3カ年で業績を伸ばすための人員増強と位置付ける。
- 中堅企業化コンサルは新中計の重点領域であり、新たな成長ドライバーとして規模拡大を継続する方針。
- 経営研究会は研究会数より会員数を重視し、類似する研究会の統合(スクラップアンドビルド)で質と満足度を高める方針。
- 足元の事業進捗と要因
- 3Q会計期間の中堅企業化売上は1,068百万円(前年同期比+55.0%)で、100億企業化と補助金コンサルが牽引した。
- 経営セミナーはこれまでの微減傾向からプラス基調に転換し、受注の先行指標として経営陣はポジティブに評価した。
- 研究会の月単価は2024年4月の会費値上げ後に伸びが落ち着いたものの、月平均会費が3万円を超え、上昇が続く。
- 営業減益の主因は人的投資1,122百万円で、加えて大阪本社のオフィス投資459百万円、のれん償却などのM&A投資140百万円が響いた。
- 戦略的な重要施策や変化点
- 自己株式取得を決議した。上限は180万株・20億円、取得期間は2026年11月9日〜2027年3月31日。
- 高市政権の重点17分野に対応したセミナーを10月から展開しており、フードテックを皮切りに補助金活用の支援を進める。
- 日経ニューオフィス賞を受賞した大阪本社を実践モデルとし、ワークプレイスコンサルティングを強化する。
- 株主優待を、400株以上の保有株主に年1回ポイントを進呈する制度へ変更した(2026年12月末基準から)。
今後の見通しと戦略
- 通期予想(売上高37,000百万円、営業利益9,100百万円)は据え置いた。3Q進捗率は売上69.3%、営業利益66.1%で、前年同期をそれぞれ約5pt下回る。
- 計画達成には、4Qで営業利益約30億円の上積みが必要と経営陣は説明した。前年4Qの24億4,000万円や今期2Qの26億3,000万円をボトムに、どこまで伸ばせるかが焦点となる。
- 補助金コンサルは採択時期によって売上計上時期が大きく変わり、4Qにも採択の時期がある。採択されれば売上が積み上がる構図。
- 中計最終年の2028年に売上高460億円、営業利益115億円、ROE30%を目指す。
- 1人当たり生産性については、昨年来の入社人員を戦力化して生産性を高め、営業利益の拡大につなげる方針。来期の数値には言及していない。
- 年間配当48円で16期連続増配の予定であり、配当性向60%以上、総還元性向65%以上を掲げる。通期計画の達成には、できる限り努めるとの姿勢を示した。
ポジティブ要因
- 中堅企業化コンサルの3Q累計売上は2,935百万円(前年同期比+69.2%)で、2023年3Q累計比では3.6倍に拡大した(当レポート試算)。
- 業務区分別のM&A、業種別の製造業(+35.0%)と専門サービス(+31.4%)が伸び、クロスセル領域の拡大が進む。
- 月次支援は単価の引き上げと支援社数の増加を両立しており、ストック収入の質と量が同時に向上している。
- 2027年4月入社予定の内定者は過去最多の263名で、コンサルタント供給の基盤を強化した。
- 8月の第99回経営研究会全国大会は、約4,000名の経営者を対象に開催し、メイン日の参加者数が過去最高を記録した。
- 政府の重点分野政策と補助金需要が追い風で、自己資本比率75.8%の財務基盤が成長投資と株主還元を支える。
懸念事項・リスク
- 4Qで求められる成長率は前年同期比で売上+29%、営業利益+26.3%と高く、上積みのハードルは高い。
- 補助金コンサルは採択時期に業績が左右されるため、計上が翌期にずれ込む可能性が残る。
- 大阪本社移転により固定費が年間約6億円増える。人員増の戦力化が遅れれば、1人当たり利益の回復も後ずれする。
- 広告運用は減収幅が2Q累計時点より拡大した。物流BPOは政策的に縮小しているため、売上を押し下げる要因となる。
- 最大業種の住宅・不動産・建設が+0.3%と横ばいで、外食・フード(▲54.2%)と士業(▲3.7%)も減収となった。
- 補助金関連の需要は政策動向に左右されやすく、中小企業の景況感も外部の不確実性となる。
業績ハイライト
3Q累計の売上高は3Qとして過去最高を更新した。一方、営業利益は人的投資、オフィス投資、M&A投資の先行負担で減益となった。経常利益は6,225百万円(▲2.7%)。親会社株主に帰属する四半期純利益は3,992百万円(+54.4%)で、前年1Qに五反田オフィス売却に伴う特別損失を計上した反動が寄与した。
セグメント別業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 連結合計 | 25,640百万円 | +4.5% | 6,016百万円 | ▲5.6% |
| 経営研究会会費 | 2,529百万円 | +7.3% | ― | ― |
| 月次支援 | 14,168百万円 | +9.2% | ― | ― |
| プロジェクト | 2,839百万円 | +12.2% | ― | ― |
| 広告運用 | 1,824百万円 | ▲8.2% | ― | ― |
| M&A | 1,263百万円 | +57.9% | ― | ― |
| 物流BPO | 1,815百万円 | ▲30.0% | ― | ― |
- コンサルタント数: 1,175名 (前年同期比 +6.7%)
- 従業員数: 1,775名 (前年同期比 +7.3%)
- 経営研究会会員数: 8,414名 (前年同期比 +5.4%)
- 経営研究会数: 199件 (前年同期比 ▲3.9%)
- 経営研究会月単価: 31,260円 (前年同期比 +3.5%)
- 月次支援月単価: 292,557円 (前年同期比 +6.1%)
- 月別コンサルティング社数(9月): 4,315社 (前年同月比 +1.8%)
- 経営セミナー開催件数: 1,378件 (前年同期比 +12.2%)
- 経営セミナー参加者数: 22,201名 (前年同期比 +4.3%)
- 従業員1人当たり売上高: 14,445千円 (前年同期比 ▲2.6%)
- 従業員1人当たり営業利益: 3,389千円 (前年同期比 ▲11.9%)
Q&A 一覧
- Q
通期計画達成に向けて、進捗はいかがですか。
A第3四半期を終えての進捗率は、売上で69.3%、営業利益で66.1%という結果になっております。昨年の同期と比べると、それぞれ5ポイントほどビハインドしている状況です。お出ししている通期計画を第4四半期で達成するには、計算上、売上で29%増、営業利益で26.3%増のプラスオンが第4四半期に必要になるという認識でおります。営業利益の方が分かりやすいと思いますので額で申しますと、計画達成には約30億円ぐらいのプラスオンが必要となっています。昨年の第4四半期は24億4,000万円、今年の第2四半期は26億3,000万円ですので、そこをボトムとしてどれぐらい伸ばせるかということになると思います。
- Q
通期計画の達成確度はいかがですか。
Aこれからあと2ヶ月ある中で受注があり、そこから売上を消化していくことになります。中堅企業化コンサルティングのページにある100億企業化、補助金のコンサルティング、M&Aといったところは、第4四半期も好調に推移しております。まずそこがどれぐらい今期中に売上として上がるのかが一つのポイントになるかと思います。特に補助金のコンサルティングは、採択の時期によって売上の計上時期が大きく変わります。この第4四半期にも採択の時期がありますので、無事採択されれば、その分の売上が積み重なることになると思います。あとはもちろん本業である中小企業のコンサルティング、月次支援を中心とした積み上げがどこまでいくかというところです。達成に向けて、できる限り努めてまいりたいと考えております。
- Q
経営研究会数の減少について、どう見ればよいのか改めて教えてください。
AサマリーのKPI指標をご覧になってのご質問かと思います。経営研究会の会の数と会員数をどちらもご提示しておりますが、当社が重視しているのはどちらかというと会員数の方です。会の数が減って会員数が増えるということは、1研究会当たりの会員数が増えているということです。お客様にとっては、研究会の規模が大きい方が、より多くの会員様同士で情報交換ができ、有益な情報を得られるため、満足度が高いのも事実です。全ての研究会で会員数が増えていけばよいのですが、業種・業界によってはそうではない研究会もございます。そのため、スクラップアンドビルドとして、質を高めるために類似している研究会の統合を定期的に行い、満足度の高い研究会を維持する取り組みをしております。研究会の数を増やしていくことも当然ありますが、それよりもお客様が満足する研究会の運営を優先した結果、こうした数字の出方になっているとご認識いただければと思います。
- Q
今後新しく重視する指標があれば併せて教えてください。
A先ほどお話しした通り、経営研究会の会員数を重要なKPIとしておりますので、ここを重要視しているとご認識いただければと思います。
- Q
従業員1人当たりの営業利益が落ちていることについて、どのように考えていますか。
Aエグゼクティブサマリーの従業員1人当たり営業利益の推移をご覧いただいてのご質問かと思いますが、確かに落ちているのは事実でございます。以前の中期経営計画でも、23年から25年にかけての3カ年計画の初年度に合わせて、採用でコンサルタントを増やす積極的な人材投資を行い、領域を広げてまいりました。今回も新しい3カ年中計の初年度にあたり、昨年の後半からキャリア採用を加速しつつ、新卒も順調に増えました。この3カ年でしっかり数字を伸ばしていくための先行投資として、人を増やしてきた背景がございます。これに大阪のオフィス移転が重なって経費が嵩み、営業利益が下がっております。その結果、1人当たり売上高がマイナス2.6%であるのに対し、1人当たり営業利益はマイナス11.9%と減少幅が大きく見えており、ご心配をおかけしているところはあるかと見ております。
- Q
来期以降は従業員1人当たりの営業利益は上昇に転じますか。
A来期以降の見通しとしましては、先ほどの研究会の話もありますし、セミナーも参加者数が増えております。コンサルティング受注やコンサルティング事業の売上の伸びを示す先行指標はかなりポジティブだと見ております。これを生かし、昨年以来入社しているメンバーにしっかり活躍していただくことで生産性を上げ、営業利益を伸ばしていくことを考えております。
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