船井総研ホールディングス 2Q 決算説明会速報

東京海上日動との提携から早くも紹介100件、中堅企業化コンサル112.0%増が新たな成長ドライバーに

配信日2026年8月10日 11:00 JST

サマリー

2026年12月期2Q累計は売上高16,825百万円(+4.9%)、営業利益4,736百万円(+1.1%)と2Q として過去最高。大阪本社移転に伴うオフィス投資や人的投資を吸収し、営業利益進捗率52.0%を確保。説明会では、7月に締結した東京海上日動火災保険との資本業務提携で既に約100件のコンサルティング案件紹介を受けていること、コンサルタント離職率が9.9%→7.5%へ改善したことが口頭で明かされた。売上が会社計画を▲3.9%下回った要因として、経営陣は士業など小規模市場の伸び悩み、3PL・BPOの戦略的縮小、HR広告代理事業の不振の3点を挙げた。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • 中期経営計画(2026-2028年)は2028年売上高460億円、営業利益115億円、ROE30%が目標。
    • 成長分解はコア事業(月次支援・経営研究会)+5~10%、重点領域+15~20%、M&A+10~15%。
    • 顧客企業のAI導入は基本的にポジティブと認識。中堅・中小企業はAIが初めての取り組みで事例・情報を求める相談が圧倒的に多い。
    • AIによるコンサル代替リスクは限定的と判断。オーナー社長の方向感を正解にするための伴走が価値の源泉との認識。
  • 足元の事業進捗と要因
    • 2Q単独(4-6月)は売上+7.4%、営業利益+10.9%と2桁増益。1Qの低調な立ち上がりから回復。
    • 売上の計画未達要因は、士業など市場が伸びず企業規模の小さい業種、3PL・BPO事業の戦略的縮小、ヒューマンキャピタルコンサルティングの広告代理事業の3点。
    • 製造業+43.0%、流通・小売+41.4%。流通・小売はアパレルウェブ、ロジクリエイトの顧客層が寄与。
    • 1人当たり売上高▲2.3%、同営業利益▲5.8%はコンサルタント積極採用と大阪本社移転コストが要因。経営陣は一昨年比では上昇しており近い将来改善するとの見方。
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • 東京海上日動との資本業務提携は既に稼働し、約100件の案件紹介を受領。同社顧客層が中堅企業化コンサルの狙う層と合致。
    • M&A売上+128.4%。組織は兼務含め70~80名規模、半期約20件を成約。組織化・分業化で大型案件への対応力を高め、第三者売却中心から事業承継全般へサービスを拡張。
    • 日本アジア投資との合弁で船井総研JAICキャピタルを設立合意。20~30億円規模のモビリティ業界向け第一号ファンド組成を計画。
    • MTUSがグループインしワークプレイスコンサルティングを強化。今期はロジクリエイトに続く2社目のグループイン。

今後の見通しと戦略

  • 通期予想は売上高37,000百万円(+11.0%)、営業利益9,100百万円(+3.3%)で据え置き。営業利益進捗率52.0%は前年同期52.6%と同水準で、達成に向け順調。
  • 中堅企業化コンサルティング(100億企業化・M&A・補助金)は2Q累計1,408百万円(+112.0%)。経営陣は新たな成長ドライバーとして確かな手応えと表現。
  • IPO支援は東京・福岡に続き札幌プロマーケットのアドバイザー資格を取得し全国展開。地方銀行(CCIグループ、福井銀行、七十七銀行等)との100億企業化共同セミナーも拡大。
  • AI経営フォーラムを起点に個社別AIコンサルティングへ接続。丸の内ソレイユ法律事務所での広告審査AI本番稼働など実装事例が発生。
  • 株主還元は年間配当48円(+5.5円)で16期連続増配予定。総還元性向65%以上かつ配当性向60%以上を方針とする。
  • 2026年は大阪本社移転に伴い固定費が年間約6億円増加。2027年以降は営業利益成長率12%台への回帰を計画。

ポジティブ要因

  • ストック収入が伸長。月次支援9,367百万円(+9.9%)、経営研究会会費1,674百万円(+8.2%)。
  • 単価上昇が継続。月次支援月単価288,753円(+6.2%)、経営研究会月単価31,025円(+4.9%)でいずれも過去最高圏。
  • コンサルタント離職率が前年同期9.9%から7.5%へ改善。新卒採用は4月までに163名と前年161名並みを確保。
  • 東京海上日動からの紹介案件を既に約100件受領。
  • 経営研究会会員数8,300名(+4.8%)で過去最高更新。セミナー開催件数910件(+10.4%)と顧客接点の入口も拡大。
  • 自己資本比率78.0%、2Q営業CF2,853百万円と財務基盤は健全でM&A・ファンド投資余力を確保。

懸念事項・リスク

  • 売上高進捗率45.5%は前年同期48.6%を下回り、通期売上計画370億円に対しては下期の挽回が必要。
  • 物流BPO▲31.0%、広告運用▲2.9%、プロジェクト▲4.2%とクロスセル・BPO領域が縮小。物流BPOは政策的縮小だが売上規模の目減りは継続。
  • 外食・フード▲54.2%、士業▲3.3%と一部業種が減収。士業など小規模市場の伸び悩みが売上成長の重石。
  • セミナー参加者数11,972名(▲3.5%)、経営研究会数198件(▲4.3%)と、件数・動員面では前年割れ。
  • 1人当たり生産性の低下が継続すれば、人員増(従業員+7.4%)が利益率を圧迫する可能性。
  • M&A売上は大型案件の成約時期に左右されやすく、四半期業績のブレ要因となり得る。

業績ハイライト

2Q累計は売上高16,825百万円(前年同期比+4.9%)、営業利益4,736百万円(同+1.1%)で、2Qとして売上高・営業利益とも過去最高。業績予想対比では売上高▲3.9%に対し営業利益+0.8%、経常利益+4.3%と利益が計画超過。親会社株主に帰属する中間純利益3,218百万円(+94.9%)は前年同期の五反田オフィス売却に伴う特別損失2,155百万円計上の反動。

セグメント別業績 ※今期より経営コンサルティング事業の1セグメントに統一。以下は主な業務区分別売上(営業利益は区分別開示なし)。

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比
月次支援9,367百万円+9.9%
経営研究会会費1,674百万円+8.2%
プロジェクト1,614百万円▲4.2%
広告運用1,253百万円▲2.9%
M&A938百万円+128.4%
物流BPO1,221百万円▲31.0%
連結合計16,825百万円+4.9%4,736百万円+1.1%
  • 従業員数: 1,793名(前年同期比 +7.4%)
  • コンサルタント人財: 1,195名(同 +7.6%)、コンサルタント比率66.6%(+0.1pt)
  • 従業員1人当たり売上高: 9,383千円(同 ▲2.3%)
  • 従業員1人当たり営業利益: 2,641千円(同 ▲5.8%)
  • 経営研究会会員数: 8,300名(同 +4.8%)、研究会数198件(同 ▲4.3%)
  • 経営セミナー開催件数: 910件(同 +10.4%)、参加者数11,972名(同 ▲3.5%)
  • 月次支援コンサルティング月単価: 288,753円(同 +6.2%)
  • 経営研究会月単価: 31,025円(同 +4.9%)
  • 中堅企業化コンサルティング売上: 1,408百万円(同 +112.0%)
  • 自己資本比率: 78.0%

Q&A 一覧

  • Q: 売上が会社計画で若干遅れている背景を教えてほしい。
    A: まず事業会社のなかで、船井総研に関しては、マーケットが特に大きく伸びていない業種でかつサイズ感の小さい会社が多い業界、例えば士業といった業界の伸びがなかなか厳しめに出ているというのが挙げられる。それ以外では、昨年までの船井総研ロジ、今年から船井総研サプライチェーンコンサルティングという社名になっているが、こちらのなかの3PL、BPO事業はコンサルティングとのシナジーが難しく、収益性も厳しいということで、戦略的にシュリンクをさせている。それ以外では、船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングという昨年までのHRForceという会社があるが、こちらの広告代理事業もやや苦戦をしている。こういったところが主な要因になっている。主力となるコンサルティング事業の領域については比較的堅調に推移しており、その中でもより中堅企業に向けたコンサルティング、あるいはM&A支援については、先ほど説明した通り大きく伸びている状況。ただそれよりも、今申し上げたような事業の特性からしてやや苦戦しているテーマの事業が売上高の部分で伸びが弱かったということも一つの理由と考えている。
  • Q: 採用状況についての進捗、退職率の状況などに変化はあるか。
    A: まず退職率、離職率の状況だが、コンサルタントの離職率が昨年同時期は9.9%だったが、これが7.5%となり大きく改善している。結果的に社員数およびコンサルタント人数が昨年よりも増加している。新卒に関しても、昨年が年間で約162名の新卒コンサルタントを採用したが、今年4月までにほぼ同数の163名の採用ができている。定着率が改善し、新卒も前年並みの採用ができている。キャリア採用に関しては若干昨年よりもセーブしながら採用しており、昨年が90名のキャリア採用というのが通年だったが、おそらく今年は70名から80名ぐらいの間になるのではないか。いずれにしても前年よりも離職率の状況、それから採用状況は引き続き順調とご理解いただきたい。
  • Q: 東京海上日動火災保険との資本業務提携はどのようなシナジーが見込めるのか。
    A: すでにこの業務提携はスタートしており、これまでに約100件のコンサルティング案件のご紹介を頂戴している。東京海上日動さんの顧客基盤が厚くて、優良顧客をたくさん持っていらっしゃるということで、このご紹介が非常にインパクトとしては大きいと考えている。また我々は中堅企業化、あるいは中堅企業のコンサルティングを増やしていこうとしているが、東京海上日動さんの顧客層がまさにそこにドンピシャリ合うということで、これも非常にありがたいご紹介になっている。また今後はお互いのサービスを共同開発して、お互いの顧客に提案していくようなこともやっていこうと考えているので、かなり直接的なシナジー、そして短期的なシナジーが発生するのではないかと期待している。
  • Q: 従業員一人当たりの売上、営業利益が低下しているが、今後の見通しを聞かせてほしい。
    A: 一時的に大阪オフィスの投資などもあり、利益部分で今年に関しては昨年より下回っているが、それでも一昨年と比べると上がってきているので、これもかなり近い将来に売上についても利益についても改善をしていくと考えている。
  • Q: 足元、顧客企業のAIの導入加速は御社にとってポジティブなのか、または一部領域ではネガティブな影響が来ているのか。
    A: 中堅中小企業にとってAIはまだ初めての取り組みで、まだまだ情報が欲しい、事例が欲しいということで、私どもにご相談が来るケースが圧倒的に多い。そういう意味では基本的にはポジティブ。また、よく世の中で言われるAIエフェクト的なもので、コンサルティング業界が必要なくなる部分が出るのではないかというお話もあるが、我々に関してはあくまでも中堅中小企業のお客様でオーナー社長様が多いので、そういった経営者様にアドバイスをしていく上では、単に確率論的に正しい答えが知りたいわけではなくて、オーナーさんがすでにお持ちの方向感に対してどうすればそれが正解にしていけるかということを一緒に汗をかきながらお手伝いしていく、伴走していくという性質のものなので、実はあまりネガティブな要因は出てきていない。今後もおそらくポジティブの方が上回るのではないかと考えている。
  • Q: M&A領域の売上は大きく伸びているが、ここの継続性と背景を具体的に教えてほしい。
    A: 今期M&Aについては昨年と比較してプラス128%と大きく伸ばすことができた。これについては大きく2つ要因があり、まずM&A体制を人数、体制ともにしっかり構築、組織化できてきたところがある。人数が少ない時はどうしても一人で案件を発掘して成約に至るまで一人でやり切るスタイルを取っていたが、人数が増えてようやく組織化、分業化ができ、コンサルティングの質も件数も品質含めて上げていけるようになったという組織的な背景がある。今年についてはそういった組織力強化によって大型案件も取り組めるようになってきた。もともとは第三者売却のM&Aが中心だったが、当社はそこだけではなくて事業承継全般をサービスできるように整えてきたので、そういった事業承継案件も増えてきた。そういった意味で案件の大型化と体制の強化ができたので、しっかりと業績含めて伸ばすことができた。
  • Q: どの程度の成約件数が実現できているのか。また案件の規模はどの程度になっているのか。
    A: 件数については、正確な数字をお答えすることはできないが、約半期で言うと20件前後というところ。
  • Q: M&Aの組織に関してはどの程度の人数規模になっているのか。
    A: 兼務メンバーもいるので正確な人数はなかなか難しいが、約70名から80名の規模で行っている。
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