東急 1Q 決算説明会速報

不動産賃貸の費用先行とパワーサプライの中東影響で1Q営業利益は計画比▲32億円、オフィス賃料改定とADR過去最高水準が通期達成の鍵

配信日2026年8月7日 17:40 JST

サマリー

1Q営業利益313億円(前年同期比▲2.8%)、5月予想比▲32億円。不動産販売業が資産回転型ビル事業の大型売却で+37億円と貢献した一方、不動産賃貸業の再開発関連費用先行と東急パワーサプライの中東情勢に起因する電力調達コスト増が下押し。経営陣は不動産賃貸の費用先行を10〜15億円と分析し下期での解消を見込むと説明。ホテルADR・RevPARは過去最高水準で推移し、渋谷ホテル外国人宿泊比率は85%超を維持。通期業績予想は据え置き、EPS達成へのコミットメントを明言。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • 中東情勢による原油高は電力小売に先行的に顕在化、鉄軌道・不動産賃貸への波及は遅行性がありまだ出ていないと分析
    • インフレ・工事費高騰・金利上昇を前提に内部成長とコスト適正化を両立する方針を再確認
    • 物価急騰局面でスーパー事業は低価格帯の競合が優位との認識、テコ入れ策を7月から実施
  • 足元の事業進捗と要因
    • 不動産賃貸の費用先行10〜15億円は外注委託・修繕費・除却費など分散的に発生、特定物件への偏りなし
    • ホテル歩合賃料の計上方法を4Q一括から各四半期按分へ変更し、1Q単体では▲5億円の影響。通期では解消見込み
    • 渋谷スカイは強風・雨天による営業制限で期待を下回り、商業施設の変動収入が弱含み
    • 東急ストアは7月速報で改善傾向
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • オフィス賃料改定の契約年数短縮を推進、トップレント6万円に近い水準で定借再契約の実績が出始めていると説明
    • 自己株式取得を継続中、7月末累計9,605千株・約162億円取得済(上限200億円)
    • 社債型種類株式の発行登録を5月に準備、大型再開発投資を支える資本政策として位置付け
    • タイ・シラチャで約112haの将来開発構想を発表、空飛ぶクルマの航路検証の業務提携も締結

今後の見通しと戦略

  • 通期業績予想は5月公表値を据え置き(営業利益1,100億円、純利益900億円)、費用先行の下期解消とトップライン成長で達成を目指す
  • EPS158.15円の達成を中計コミットメントとして最優先、営業利益で仮に不足が生じた場合も特別損益等で確保する意向を表明
  • 資産売却・政策保有株売却の候補は存在するとし、2Q以降の動向を見極めながら実行を検討
  • 東急電鉄は7月の改札通過人員が前年比+3%程度で推移、通期輸送人員+2.4%の計画線を上回る水準
  • 東急パワーサプライの電力調達コスト増は燃料調整費の転嫁が今後進むことで1Qほどの減益ペースは続かないとの見通し
  • オフィス賃料改定は契約ベースで順調に進捗、効果は今後の業績に段階的に反映

ポジティブ要因

  • ホテルADR27,795円(前年同期比+1,335円)、渋谷エリア+キャピトル59,350円(+3,027円)といずれも過去最高水準
  • 渋谷ホテル外国人宿泊比率85%超、全ホテルでも約50%を維持しインバウンド取り込みが継続
  • 不動産販売業の資産回転型ビル事業は1Qで営業利益71億円(前年33億円)と予想線で着地、通期84億円見込みの進捗率85%
  • オフィス空室率は当社全体1.4%、渋谷エリアS・Aクラスビル0.1%と極めて低水準
  • 東急電鉄の輸送人員は定期+2.6%、定期外+2.3%と安定的に増加、運賃収入39,440百万円(+2.3%)
  • 自己株式取得200億円の実行が進行中、資本効率改善への取り組みが継続

懸念事項・リスク

  • 中東情勢に起因する原油高が電力調達コストを押し上げ、パワーサプライは1Qで▲9億円の減益。今後鉄軌道・不動産への燃料調整費転嫁による波及リスク
  • 東急ストアは物価高騰による買い上げ点数減少が続き既存店売上高▲0.2%、通期予想(既存店+3.9%)との乖離が大きい
  • 不動産賃貸業の1Q費用増率+11%は通期想定を上回り、先行計上以外の構造的増加の有無を注視
  • 支払利息は1Q36億円(前年26億円、+10億円)、通期予想153億円(+34億円)と金利上昇負担が拡大
  • 有利子負債残高14,566億円(前期末比+719億円)、D/Eレシオ1.6倍に上昇
  • 海外子会社不動産販売はベトナム8戸(前年127戸)、オーストラリア50区画(前年66区画)と縮小傾向

業績ハイライト

1Q連結営業収益2,734億円(前年同期比+4.6%)、営業利益313億円(同▲2.8%)。不動産販売業の資産回転型ビル大型売却で増収を確保したが、不動産賃貸業の再開発費用先行と電力調達コスト増で営業減益。親会社株主帰属四半期純利益は362億円(同+43.4%)、法人税等の減少により純利益ベースでは増益。

セグメント別業績

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比
交通571億円+4.0%99億円+1.1%
不動産726億円+15.5%151億円+13.2%
生活サービス1,300億円+2.4%34億円▲33.9%
ホテル・リゾート349億円+2.8%33億円▲13.8%
  • 東急電鉄 輸送人員: 290,739千人(前年同期比 +2.5%)
  • 東急電鉄 運賃収入: 39,440百万円(前年同期比 +2.3%)
  • ホテル業 稼働率: 79.7%(前年同期比 +0.8pt)
  • ホテル業 ADR: 27,795円(前年同期比 +1,335円)
  • ホテル業 RevPAR: 22,146円(前年同期比 +1,269円)
  • オフィス空室率(当社全体): 1.4%
  • オフィス空室率(渋谷エリアS・Aクラス): 0.1%
  • 東急EBITDA: 617億円(前年同期比 +3.4%)
  • EPS: 63.85円(前年同期比 +19.83円)

Q&A 一覧

  • Q: 不動産の費用先行について、どういった費用が先行発生しているのか。通期で見れば期初計画通りという理解でよいか。
    A: 主に修繕費や除却費が積み重なっており、特定の物件や費目に偏りはない。業績予想において上期を中心に前年から一定の費用増を見込んでいるが、第1四半期時点で相応の費用増が生じている。加えて、トップラインの伸びが天候等の要因で期待に届ききらなかった背景もあり、不動産賃貸業は業績予想から減益となっている。今後更なる収益拡大を目指すとともに、コストコントロールを行い、対応していく。
  • Q: ストアや電力小売など生活サービスで計画下振れが見えるが、ここからどうオフセットして通期計画を達成できるのか。
    A: 東急ストアについては物価高の影響で弱含んでいるのは事実。順次テコ入れを行っており、7月の速報では改善傾向が見て取れる。コストマネジメント、特に下期に政策的に使うコストのマネジメントも含めて予算達成をやっていきたい。東急パワーサプライについては明確に原油価格高騰の影響が出ている。一方で今後は燃料調整費の転嫁が進められるため、第1四半期の減益ペースがそのまま進むわけではない。また、今後原油価格高騰影響は、鉄軌道業や不動産事業のような電力を利用するサービスに転嫁される部分もあるので影響を注視する必要がある。全体として見た目32億は大きいが、若干弱含んでいるところがある。コストの見直しとトップライン成長が必要。当期純利益やEPSは中計でもコミットしている部分であり確実に達成していきたい。まず営業利益の達成に対応を打ち、万が一足りない部分があればEPSをしっかりやっていきたい。
  • Q: 営業利益が若干下振れの中で経常利益はほぼ計画線となっているが、営業外損益で何が良かったのか。
    A: 対計画では持分法投資利益による増加が要因。
  • Q: 最終利益も25億円下振れているが、政策保有株など特別利益を出す考えはあるか。
    A: 四半期純利益の差異は法人税等の期ズレによるもであり、年度内で解消していく。今後の動向、第2四半期の動向を見極めながら、必要ならばやっていきたい。バランスシートのマネジメントや金利上昇も考慮すると、一定そういうことも考えてまいりたい。
  • Q: 不動産賃貸の収入面で天候影響以外の弱さはあったのか。本来もっと高い水準を見込んでいたのか。また、オフィス賃料値上げのトレンドはどうなっているか。
    A: 第1四半期で弱含んだのは商業施設の部分。一方オフィスの賃料改定については、今期の計画でも期待しており、効果はまだ先になるものもあるが、契約ベースでは順調に進んでいる。5月の説明会で申し上げた契約年数の短縮、賃料改定機会の増加については、例えば5年の契約が短くなっていたり、トップレント6万円に近いところで定借の再契約をいただくテナントも出てきている。足元の数字にはまだ反映しきれていないが、施策としてはきちんと進んでいる。
  • Q: 第1四半期の32億円の計画ショートのうち、不動産の先行費用を除いた部分は、計画前提に入っていなかった中東情勢や天候などの要素がほとんどか。
    A: ご指摘の通り。中東影響の部分でパワーサプライの減益が説明でき、それに加えて天候要因、不動産の費用先出しということになる。東急ストアなどは個別に計画を下回っているが、上回っているビジネスも他にあるので、差し引きで残るのはパワーサプライの中東影響とコスト先出し。
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