東急 1Q 決算速報

不動産販売業が資産回転型ビル売却で利益牽引、電力調達コスト増と支払利息拡大への対応が通期計画達成の鍵

配信日2026年8月7日 14:10 JST

1Q決算を踏まえた評価点

不動産販売業の営業利益が前年比+77.8%の85億円へ拡大し、資産回転型ビル事業の大型物件売却が寄与。法人税等が▲28億円(税金還付効果)となり、親会社株主帰属純利益は362億円(前年比+43.4%)と高い利益成長を実現した。

  • 不動産販売業の当社不動産販売が営業利益81億円(前年比+44億円)、資産回転型ビル事業等で大規模物件を売却し収益を押し上げ
  • 交通事業は輸送人員+2.5%、運賃収入+2.3%と安定成長を継続。7月も改札通過人員+3%程度で推移
  • 東急EBITDA 617億円(前年比+3.4%)、不動産事業の東急EBITDA+28億円が全社を牽引
  • オフィス空室率は渋谷エリアS・Aクラスビルで0.1%と極めて低水準、賃料改定の余地を示唆
  • ホテル業ADR 27,795円(前年比+1,335円)、インバウンド需要取込みによる単価上昇が継続

1Q決算を踏まえた懸念点

営業利益は313億円(前年比▲2.8%)と減益。5月予想比でも▲32億円(▲9.5%)の未達となり、不動産賃貸業と電力小売事業のコスト増が利益を圧迫した。支払利息は36億円(前年比+10億円)と金利上昇の影響が顕在化しつつある。

  • 不動産賃貸業の営業利益55億円(前年比▲18億円)、既存物件からの利益が▲4億円(▲5.2%)と減少
  • 東急パワーサプライが電力調達原価上昇で営業利益▲9億円、ICT・メディア全体も前年比▲37.5%
  • 支払利息36億円(前年比+10億円)、通期では153億円(+34億円)を見込み、金利上昇の負担拡大
  • 東急ストアの既存店売上高が前年比▲0.2%、物価高騰による買い上げ点数減少が継続
  • ホテル業営業利益26億円(前年比▲7億円)、稼働率79.7%で高水準ながら費用増により減益

注目点/今後確認したいポイント

  • 不動産賃貸業の費用増(前年比▲18億円、5月予想比▲23億円)の内訳と一過性の有無。既存物件利益が▲5.2%と減少しており、渋谷エリアの賃料改定によるリカバリー余地が2Q以降の焦点
  • 東急パワーサプライの電力調達原価上昇が1Q限りか通期に影響するか。通期では営業利益55億円(前年比+2億円)を予想しており、1Q実績1億円との乖離が大きい
  • 分譲土地建物支出が571億円(前年比+375億円)と急増。仕掛在庫の積み上がりは今後の利益貢献時期と資金負担のバランスが問われる局面
経営陣への論点
  • 不動産賃貸業の1Q費用増(前年比▲18億円、予想比▲23億円)の要因詳細と2Q以降の回復見通し
  • 東急パワーサプライの電力調達原価上昇に対するヘッジ戦略と通期利益計画の実現可能性
  • 渋谷エリアオフィスの賃料改定のタイミングと改定率の目線
  • 金利上昇環境下での有利子負債管理方針と最適資本構成の考え方
  • 分譲土地建物支出571億円の投資回収スケジュール(売却時期・利益見込み)
  • 海外不動産販売(ベトナム・オーストラリア)の引渡し減少が一過性か構造的か
  • ホテル業の費用増(前年比▲7億円減益)の主因と下期の収益改善シナリオ
  • 中期経営計画における自己株取得200億円の追加実施方針
  • タイ・シラチャ開発プロジェクトの投資規模と収益貢献の時間軸

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年同期比
営業収益273,467百万円+4.6%
営業利益31,394百万円▲2.8%
経常利益33,369百万円▲6.2%
親会社株主帰属四半期純利益36,260百万円+43.4%
EPS63.85円+19.83円
東急EBITDA61,700百万円+3.4%
EBITDA54,000百万円+1.4%
包括利益41,035百万円+107.1%
減価償却費22,663百万円+7.9%

営業利益は前年比▲9億円の減益だが、法人税等が▲28億円(前年93億円→当期▲28億円)となったことで最終利益は+43.4%の増益。法人税等調整額▲88億円の計上が主因であり、税効果の一時的な寄与である点に留意が必要。

事業セグメント別の業績

交通事業は輸送人員+2.5%を背景に増収増益を維持。不動産事業は資産回転型ビル事業の大型売却で増収増益。生活サービス事業は東急パワーサプライの電力調達原価上昇とリテールの利益減少で減益。ホテル・リゾート事業はADR上昇も費用増により減益。

セグメント別業績表

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比利益率
交通事業57,135百万円+4.0%9,995百万円+1.1%17.5%
不動産事業72,651百万円+15.5%15,154百万円+13.2%20.9%
生活サービス事業130,051百万円+2.4%3,407百万円▲33.9%2.6%
ホテル・リゾート事業34,977百万円+2.8%3,331百万円▲13.8%9.5%
好調な事業
  • 不動産販売業(当社不動産販売):営業利益81億円(前年比+44億円、+123.3%)。資産回転型ビル事業等で大規模物件4件を売却、利益71億円(前年比+37億円)を計上
  • 交通事業(東急電鉄等):営業利益95億円(前年比+1億円)。定期+2.6%、定期外+2.3%と安定的に輸送人員が増加し、動力費▲4億円の減少も寄与
  • 不動産賃貸業(賃料収入):営業収益345億円(前年比+12億円、+3.8%)。歩合賃料の増加、賃料改定等が寄与
不調な事業
  • ICT・メディア:営業利益18億円(前年比▲11億円、▲37.5%)。東急パワーサプライの電力調達原価上昇(▲9億円)が主因、イッツ・コミュニケーションズも▲2億円
  • 不動産賃貸業(利益面):営業利益55億円(前年比▲18億円、▲24.4%)。既存物件からの利益が▲4億円(▲5.2%)と減少、費用増が圧迫
  • ホテル業:営業利益26億円(前年比▲7億円、▲21.0%)。ADR上昇にもかかわらず費用増により減益
  • リテール:営業利益15億円(前年比▲6億円、▲29.2%)。東急ストアの物価高騰による買い上げ点数減少、東急百貨店も▲1億円

業績予想比の進捗率

営業収益は通期計画1,140,000百万円に対し1Q実績273,467百万円で進捗率24.0%。営業利益は通期計画110,000百万円に対し31,394百万円で進捗率28.5%と、1Q時点では概ね順調な水準。ただし5月予想に対しては営業利益▲32億円(▲9.5%)の未達であり、不動産賃貸業・電力小売事業の改善が下期に向けた課題。

勘定科目数値 (1Q)通期計画進捗率
営業収益273,467百万円1,140,000百万円24.0%
営業利益31,394百万円110,000百万円28.5%
経常利益33,369百万円111,400百万円30.0%
純利益36,260百万円90,000百万円40.3%
  • 不動産販売業は物件売却のタイミングにより四半期ごとの変動が大きく、通期での平準化が前提
  • ホテル・リゾート事業は夏季(2Q)に稼働率・単価が上昇する傾向
  • 交通事業は年度を通じて比較的安定しているが、年度末(4Q)に若干の需要増

業績予想の変更有無

業績予想の修正なし。通期計画は2026年5月12日公表の予想を据え置き。1Qは5月予想に対し営業利益▲32億円の未達だが、不動産販売業は+8億円の上振れ、ホテル・リゾート事業も+7億円と好調なセグメントがあり、通期では吸収可能との判断と推察される。

株主還元への言及

年間配当予想32.00円(中間16.00円、期末16.00円)を据え置き。前期実績30.00円から+2.00円の増配計画。自己株式は1Q末で60,598,679株(前期末54,920,992株)と約568万株増加しており、自己株買いの実施が確認される。通期では自己株取得200億円、配当金支払174億円を計画。

財務状況

有利子負債残高は1兆4,566億円(前期末比+719億円)と増加したが、自己資本比率は31.7%(前期末比+0.5pt)と改善。D/Eレシオは1.6倍で財務安定性を維持しつつ、成長投資(分譲土地建物支出571億円)を積極的に実行している段階。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
総資産2,948,759百万円前期比+0.9%
└ 流動資産589,264百万円前期比+4.0%
└ 固定資産2,359,494百万円前期比+0.1%
現金及び預金72,691百万円前期比▲12.9%
自己資本934,871百万円前期比+2.4%
有利子負債1,456,689百万円前期比+5.2%
└ 短期借入金354,748百万円前期比+9.3%
└ コマーシャル・ペーパー120,000百万円前期比+26.3%
└ 社債(1年内含む)364,020百万円前期比▲1.9%
└ 転換社債型新株予約権付社債60,000百万円前期比±0%
└ 長期借入金557,921百万円前期比+4.5%
分譲土地建物261,930百万円前期比+21.5%
東急EBITDA(通期予想)236,800百万円営業利益+減価償却費+のれん償却費+固定資産除却費+受取利息配当+持分法投資損益

決算発表と同時に出たニュース

該当なし

足許四半期中の主要発表

  • 2026/06/26
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過去1年間の大量保有報告/重要提案

  • ブラックロック・ジャパン: 6.30%→3.87%(2026/06/05) - 純投資(顧客資産・投資信託等の運用目的)
  • みずほ銀行: 5.06%→4.28%(2026/05/22) - 取引関係の維持・強化等の政策保有、共同保有者は証券業務・信託財産運用目的
  • 野村證券: 5.23%→5.41%(2026/05/22) - 証券業務に係る商品在庫等、野村アセットは信託財産運用目的
  • 三井住友信託銀行: 6.91%→7.07%(2025/09/19) - 政策投資、三井住友トラスト・アセットマネジメント等は投資信託・投資一任契約に基づく運用目的
  • 三井住友信託銀行: 7.93%→6.91%(2025/08/21) - 政策投資、共同保有者は投資信託・投資一任契約に基づく運用目的
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