サマリー
27年3月期1Qは経常収益214億円(前年同期比+17.4%)、経常利益35億3000万円(同+267.5%)と、いずれも1Qとして過去最高を更新。利益増の主因は資産運用ポートフォリオの再構築に伴う株式キャピタルゲイン約17億円の計上と、アクサダイレクト契約移管コスト約4億円の剥落等。経営陣は一時要因を含む利益水準と明示した上で、通期計画(経常利益50億円)は計画通りと強調。保有契約141万件(+7.1%)、コンバインドレシオ95.5%(▲2.4pt)と保険事業の基盤は堅調に推移。
ポイント(決算の要点と成長アクション)
- 経営戦略と市場認識
- 損害率上昇は契約ポートフォリオの平均年齢上昇と動物医療の高度化・物価インフレという構造要因と認識
- 保険料改定の検討を並行して進めていると経営陣が言及
- ESR目標210%はやや保守的と自認し、目標値の再設定も視野に入れる姿勢
- 足元の事業進捗と要因
- 1Q新規契約6.0万件はアクサ移管分を除いた前年同期比で実質減少、GW等のレジャー需要活況によるペットショップ販売鈍化が主因
- 2Q以降はペットショップチャネルが回復基調にあると説明
- マッチング事業はネット広告単価上昇と検索横ばいで減益、AI投資で2Q以降の回復を企図
- 戦略的な重要施策や変化点
- 資産運用ではキャッシュを短期国債にシフトしインカム収益を底上げ、同時に含み益の利益確定と株式への再投資を実施
- アリアケジャパンとの共同開発で愛犬用おやつ新シリーズ「7Days Food Puree」を発売予定
- 10億円の自己株式取得を7月27日に完了、中計キャッシュアロケーション60億円の株主還元枠に沿った執行
今後の見通しと戦略
- 通期計画は経常収益810億円(+9.7%)、経常利益50億円(+41.1%)を維持、資産運用の利益計上は1Qでほぼ完了と明言
- 異常危険準備金の戻入は2Q分を1Qに前倒し計上しており、通年利益への影響はなし
- JARVIS Tokyoは月商8000万円(年換算約10億円)に到達、症例数増加と高度医療ニーズの取り込みで通期売上3,700~3,900百万円を目指す
- ホワイトレーベル(OEM)提携先は8社に拡大、多様な販売チャネルの構築を継続
- アニコム損保からHDへ30.6億円の配当(資本移動)を実施予定、中計キャッシュアロケーションに織り込み済みだが余剰分は追加還元も選択肢
- どうぶつ健活の累計検査数が100万件を突破、予防型保険のデータ基盤が拡大
ポジティブ要因
- 経常収益・経常利益ともに1Qとして過去最高、保有契約141万件突破で保険事業の成長基盤は盤石
- コンバインドレシオ95.5%(▲2.4pt)、事業費率31.0%(▲4.5pt)とアクサ移管コスト剥落後の本来の収益力が顕在化
- JARVIS Tokyoは開業1年未満で月商8000万円に到達、計画比ビハインドも成長トレンドは維持
- 継続率88.3%と高水準を維持、どうぶつ健活によるロイヤルティ向上が寄与
- 光通信(18.78%)、ダルトン(14.83%)が継続的に買い増し、株主構成面でのバリュエーション上昇圧力
- 特許30件(画像認識AI12件、遺伝子・フード12件等)、発明者数163名と知財基盤が拡充
懸念事項・リスク
- E/I損害率64.5%(+2.1pt)の上昇傾向が継続、契約ポートフォリオの高齢化と医療費インフレは構造要因であり短期的な反転は見込みにくい
- 1Q経常利益35億円のうち資産運用益(前年同期差、ネット約16億円)と異常危険準備金戻入(前年同期差、約7億円)は一時的要因、2Q以降の利益水準は大幅に低下する見通し
- マッチング事業は広告効率悪化と成約数横ばいで減収減益、AI投資の効果発現時期は不透明
- 動物病院運営事業はJARVIS Tokyoの開発コスト負担で経常赤字▲191百万円、黒字化時期の明示なし
- ダルトンが重要提案行為(増配・自社株買い・独立取締役選任等)の可能性を示唆、株主還元圧力が高まるリスク
- ペットショップチャネル依存度が約7割と高く、レジャー・旅行需要との競合による新規契約の変動リスク
業績ハイライト
27年3月期1Q連結経常収益は21,403百万円(比較ベース、前値同期比+17.4%)、経常利益は3,530百万円(同+267.5%)。保険引受収益16,714百万円(比較ベース、+5.9%)に加え、資産運用収益2,252百万円(+521.8%)が収益を押し上げた。純利益は2,433百万円(+274.0%)。
セグメント別業績(シナジー創出事業)
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 経常利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| マッチングサービス事業 | 580百万円 | ▲2.7% | 46百万円 | ▲45.2% |
| 健康イノベーション事業 | 171百万円 | +37.9% | ▲74百万円 | ― |
| 動物病院運営事業 | 820百万円 | +20.2% | ▲191百万円 | ― |
- 保有契約件数: 1,411,711件(前年同期比 +7.1%)
- 新規契約件数: 60,125件(前年同期比▲13.9%。前年同期にはアクサ移管分約8,000件を含む)
- 継続率: 88.3%(前年同期比 横ばい)
- E/I損害率: 64.5%(前年同期比 +2.1pt)
- コンバインドレシオ(既経過保険料ベース): 95.5%(前年同期比 ▲2.4pt)
- 資産運用損益(ネット): 1,942百万円(資産運用収益2,252百万円▲資産運用費用310百万円)
- どうぶつ健活申込数: 62,985件(前年同期比 +0.0%)
- 対応動物病院数: 7,057病院(前年同期比 +0.9%)
Q&A 一覧
- Q: 資産運用について、株式の売却益を計上して国債を積んだように見えるが、債券を積んだ背景を教えてほしいA: 国債の増加は既存の資産運用ポートフォリオの変更ではなく、それまでキャッシュで寝かせていたものを少しでも利益につなげるため短期国債にシフトしたもの。既存の運用については従前の説明通り、保有していた債券の償還等で得たキャッシュを株式等に機動的に振り向けている。トータルの比率としては国債が増加したようにも見えるが、実際の中身はキャッシュから短期国債へのシフトと、債券から株式への一部振り替えという構成になっている。
- Q: 多額の売却益を計上したが、今後の含み損の処理の可能性を含めて通期の想定対比で上振れる部分があるのかA: 今回含み益を利益確定して1Qに持ってきたが、今後含み損も一方であるため、含み損とのバランスを見ながら全体でコントロールしていく。含み損の解消も一部検討を進めながら全体の業績の中でバランスをとっていくが、今のところ計画通りに進捗しており、資産運用に絡む利益の方はこの1Qでほぼ完了しているという認識で結構かと思う。
- Q: ESRの管理目標210%と設定した背景を教えてほしい。他の上場生損保と比べるとやや高めにも見えるA: 正直なところ、他の生損保がどのあたりの目線感で出してくるかを考えた時に200%程度で出してくるだろうと見越しながら、ちょっと保守的になっている部分もあった。この210%の目標値についても目標値の設定をし直すことも考えながら今後進めていきたいと考えている。
- Q: 今月末にアニコム損保から30.6億円の配当を受け取る予定だが、ホールディングスが受け取ったキャッシュの使途について教えてほしい。特にバイバックにどれだけ向かうのかA: 中期経営計画策定時のキャッシュアロケーションにおいて株主還元は配当とバイバックを合わせて60億円と提示している。このキャッシュアロケーションを策定した前提条件として、ESR変更に伴うアニコム損保からホールディングスへの資本移動を想定しており、すでにこの損保からホールディングスへの資本移動は織り込まれている。現状のキャッシュアロケーションの60億円に沿って進めながら、余剰部分についてはここに上乗せする形で還元していくことも一つの選択肢として考えていきたい。
- Q: 中計のキャッシュアロケーションだと株主還元60億円のうち配当で40億円、すでに10億円バイバックを実施したとなると残り10億円しかないが、ESRの計算を含めて上振れる部分はないのかA: ESR連結の目標が210%で、今足元では少し上振れている資本配分になっている。この上振れている部分の資本配分をどれぐらい株主還元に回すかという議論があるが、今時点では大枠のキャッシュアロケーションの一部として想定しながら、成長投資や基盤強化との配分の中で株主還元にどれだけ回していくかを議論した上で提示していきたいと考えている。
- Q: 資料23ページの新規契約数において、アクサ分を差し引いても前年を下回っている理由は何か。市場環境によるものかA: 新規契約の約7割はペットショップチャネルが占めているが、今年の1Qについてはペットショップチャネルの調子が良くなかった。ペットはレジャーや旅行と対になるようなもので、レジャー・旅行が強くなるとペットが弱くなるという市場環境がある。今年度の1QはGW等で旅行がかなり盛んになったため、ペットショップでの犬猫の販売が鈍化した。一方でペットの需要自体は長期的には安定しており、短期的にも2Qには回復基調でかなり好調になってきているため、心配はないと考えている。
- Q: 既存病院を閉院・縮小させている理由は何かA: 大きく2つの理由がある。1つ目はJARVIS Tokyoの高度医療の方に足元リソースを注力させている点。2つ目は既存の一次病院について事業ポートフォリオとして利益を出していく観点から、収益性・採算性の悪い病院については閉院させながら、動物病院関連セグメント全体で収益・利益を出していきたいという考えの下、一次病院の中でいくつか閉院する病院や事業を縮小する部分を判断しながら進めている状況。
- Q: 損害率の上昇が想定以上になっている要因を詳しく教えてほしい。今後の見通しはいかがかA: 損害率上昇の要因は主に2つ。1つ目は約140万件の契約ポートフォリオの平均年齢が少しずつ上がっていること。高齢のほうが保険料の上がるカーブが低くなっているため、平均年齢が上がるほど損害率が上がる傾向にある。2つ目はインフレ要因で、これはさらに2つに分かれる。1つは物価インフレで動物病院自体が値上げをするもの、もう1つは動物病院の医療高度化でCTやMRI導入病院が1割から2割3割4割と増加し医療費単価が上がっているもの。いずれも構造的な要因だが、高度医療部分についてはJARVIS Tokyoがアニコムグループ内で売上計上する取り組みで損害率上昇にブレーキをかけようとしている。また物価インフレもあるため保険料改定の検討も並行して進めており、損害率を抑えていきたいと考えている。
- Q: 自社株買いが今後拡大する期待がある中で、既存の大株主の割合が高まることがその障害にならないかA: 自己株買いを進めて取得した自己株式を消却すれば相対的に既存株主の比率が高まるのは指摘の通り。一方で既存の株主構成のみをもって資本政策を考えるということはしておらず、成長投資と基盤強化、株主還元のバランスをしっかり考えた上で、足元のホールディングスのキャッシュポジションを検討し、どれぐらい株主還元ひいては自己株買いに進めていくか、どのぐらいの投資を行うかという観点で企業価値の向上を目指していきたいと考えている。
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