松井証券 2Q 決算速報

売買代金倍増と金利上昇の追い風で中間経常益+62.8%、手数料率低下の中で収益源の多様化が試される決算

配信日2026年10月28日 18:25 JST

2Q決算を踏まえた評価点

個人投資家の取引拡大を当社シェアの上昇で取り込み、中間期の営業利益は16,484百万円(前年比+60.6%)と大幅増益。手数料・金融収支・FXの3本柱がそろって伸び、純営業収益の増加率(+38.2%)が販管費の増加率(+19.2%)を上回った。この営業レバレッジにより、営業利益率は48.4%(当レポート試算)へ上昇。

  • 当社株式売買代金は63.3兆円(+99.7%)と倍増し、二市場の売買代金(+88%、会社開示)を上回る伸び。2Q(7-9月)の株式売買代金シェアは8.8%(前年同期7.9%)に上昇
  • 営業利益率は48.4%(+5.3pt、当レポート試算)。会社開示の営業収益経常利益率も49%(前年同期43%)へ改善
  • 金融収支は11,735百万円(+48.1%)。信用平残5,145億円(+54.2%)への拡大に、顧客分別金信託の収益分配金増加が加わった
  • 預託金の運用収益は四半期24.0億円(前年同期13.0億円)。会社試算では政策金利+25bpごとに年7.5億円の増収効果
  • 2QのFX収益は1,615百万円(前四半期比+19.8%)。スプレッド縮小・建玉上限引き上げが寄与し、FX売買代金は163.8兆円に拡大

2Q決算を踏まえた懸念点

2Q単独の経常利益は7,672百万円で、前四半期比▲13.4%と2四半期ぶりの減益。売買代金の減少は▲3%にとどまった一方、株式委託手数料率が2.1bpへ低下し、株式・ETF委託手数料は▲17.4%と大きく落ち込んだ。手数料無料の一日信用取引の比率上昇が続けば、売買代金が伸びても手数料が増えにくい構造が強まる。

  • 株式委託手数料率は3.3bp(前年2Q)→2.1bp(当2Q)へ低下。2Q株式・ETF委託手数料は6,766百万円(前四半期比▲17.4%)
  • 金融費用は3,190百万円(+110.4%)と倍増。対信用平残金融収支率は5.0%(前年2Q)→4.4%へ低下し、利上げで調達コストも上昇
  • 信用買残の評価損益率は▲13.3%(10/22時点)、グロース市場は▲18.5%。相場が調整した場合の取引減少と信用残縮小に留意
  • 販管費は14,374百万円(+19.2%)。広告宣伝費2,056百万円(+30.5%)に加え、10月から松井秀喜氏起用の新CMを放映開始
  • 金融商品取引責任準備金の繰入れ1,261百万円(前年同期359百万円)で特別損失が増加。売買代金が拡大するほど純利益を押し下げる構造

注目点/今後確認したいポイント

  • 一日信用取引の拡大が、手数料率の低下を上回る信用残高・金融収支の増加につながるか。月次の手数料率と信用平残の推移が焦点
  • 政策金利1.25%下での利ざや確保。預託金7,409億円と借入金4,458億円の規模差による増益効果と、信用取引貸付金利改定の有無が鍵
  • 信用買残の評価損が拡大した状況で、3Qの売買代金と信用残高が高水準を維持できるか。新CM投入後の新規口座獲得効率も確認したい
経営陣への論点
  • 一日信用取引の顧客が通常の信用取引・金融収支に移行する比率の定量化
  • 政策金利引き上げ局面での信用取引貸付金利の改定方針と競合他社の動向
  • 新CM投入後の広告宣伝費の水準と、新規口座獲得コストの目標
  • 配当性向70%以上の方針に対し中間配当性向69%となった背景と、期末配当の決定方針
  • CFD・米国株23時間取引・企業IR支援動画など新規収益源の収益化の時期と規模感

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年同期比
営業収益34,048百万円+42.8%
純営業収益30,858百万円+38.2%
受入手数料16,109百万円+42.0%
└ 委託手数料15,421百万円+42.5%
└└ 株式・ETF14,960百万円+45.0%
└└ 先物・オプション461百万円▲8.7%
トレーディング損益3,005百万円▲1.6%
金融収支11,735百万円+48.1%
└ 金融収益14,925百万円+58.1%
└ 金融費用3,190百万円+110.4%
販管費14,374百万円+19.2%
└ 取引関係費4,936百万円+30.8%
└ 事務費3,559百万円+16.1%
営業利益16,484百万円+60.6%
経常利益16,528百万円+62.8%
特別損失1,302百万円+74.5%
└ 金融商品取引責任準備金繰入れ1,261百万円前年同期359百万円
中間純利益10,435百万円+59.7%
EPS40.50円+59.6%
当社株式売買代金63.3兆円+99.7%
当社信用取引平残5,145億円+54.2%

2Q単独(7-9月)は営業収益16,750百万円(前四半期比▲3.2%)、営業利益7,722百万円(同▲11.9%)、純利益4,826百万円(同▲14.0%)。前年2Qとの比較では営業収益+34.7%、経常利益+36.6%と高い伸びを維持(当レポート試算)。トレーディング損益が中間期累計で減益となったのは、前年1QのFX収益(1,751百万円)が高水準だった反動による。

事業セグメント別の業績

証券業の単一セグメント。売買代金の倍増と信用残高の拡大で手数料・金融収支がともに4割超伸び、FXは2Qに回復。一方、先物・オプションは減収となった。

セグメント別業績表

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比利益率
証券業(全社)34,048百万円+42.8%16,484百万円+60.6%48.4%
好調な事業
  • 株式・ETF委託:中間期の手数料は+45.0%。日経平均が最高値を更新する相場で、当社売買代金が市場全体(+88%)を上回る+99.7%となり、シェアが上昇
  • 信用取引・金融収支:信用平残は+54.2%、2Q末の信用買残シェアは8%。信用取引収益の増加に預託金運用収益の拡大が加わり、2Q金融収支は5,986百万円(前四半期比+4.1%)
  • FX:2Q収益は1,615百万円で前年2Q比+25.1%。為替変動の拡大に加え、スプレッド縮小・建玉上限引き上げで売買代金が+26.1%(前四半期比)、口座数は293,490に増加
  • 投資信託:残高7,563億円で前年2Q末比+65.5%。2Qの積立額は209億円で過去最高水準。運用会社8社とのタイアップや独自性のある投信の訴求が寄与
不調な事業
  • 株式委託(2Q単独):手数料は前四半期比▲17.4%。売買代金の減少は▲3%にとどまったが、一日信用取引の比率上昇で手数料率が2.5bp→2.1bpへ低下
  • 先物・オプション:中間期の手数料は▲8.7%、2Qは215百万円(前四半期比▲12.2%)。先物売買代金シェアは18%で、前年2Qの22%から低下

業績予想比の進捗率

相場依存度が高いため会社は業績予想を開示していない。参考として前期通期実績と比べると、中間期で営業利益の70.3%を確保済み(当レポート試算)。前年中間期の同比率43.7%(前年中間営業利益10,263百万円÷前期通期23,462百万円)を大きく上回り、前期実績超えには下期で前年中間期を下回る水準の利益を確保すれば足りる計算。

勘定科目数値 (第2四半期累積)前期通期実績(参考)対前期実績比
営業収益34,048百万円52,660百万円64.7%
営業利益16,484百万円23,462百万円70.3%
経常利益16,528百万円23,813百万円69.4%
純利益10,435百万円15,480百万円67.4%
  • 該当なし

業績予想の変更有無

業績予想は非開示を継続。代わりに株式等委託売買代金などの主要業務数値と、委託手数料など主要収益項目を月次で開示しており、下期の業績は月次データで追跡する形となる。

株主還元への言及

中間配当は1株28円で、前年中間期25円から+3円の増配(中間配当性向69%、会社開示)。配当政策の基本方針は配当性向70%以上を維持し、期末配当予想は未定。ROEは24.8%(会社開示)と高い資本効率を示す。

財務状況

有利子負債は信用取引貸付金の原資となる短期調達が中心で、信用残の拡大に連動して増加。会社開示の自己資本規制比率は304%と、オンライン証券5社平均の251%(2026年6月末)を上回る。会社は「現状における適正な水準」と説明。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
現金・預金107,096百万円前期末比+40.6%
預託金740,912百万円前期末比▲1.1%
信用取引貸付金509,493百万円前期末比+20.3%
総資産1,476,479百万円前期末比+9.0%
自己資本86,629百万円前期末比+5.6%
有利子負債445,826百万円前期末比+20.2%。短期借入金と信用取引借入金の合計
└ 短期借入金431,900百万円前期末比+36.3%
└ 信用取引借入金13,926百万円前期末比▲74.2%
預り金447,465百万円前期末比+4.8%
EBITDA18,400百万円営業利益+減価償却費(中間期、当レポート試算)

決算発表と同時に出た適時開示

該当なし

足許四半期中の主要発表

  • 2026/08/19
    YouTube公式チャンネルの登録者数が100万人を突破。決算資料では業界No.1のオウンドメディアとして新規事業の基盤と位置付け
  • 2026/08/26
    2027年3月期の中間配当予定を公表。中間配当は1株28円で前年中間期から増配
  • 2026/08/28
    JPX日経インデックス400の構成銘柄に選定。資本効率の高さが評価され、パッシブ資金の流入余地が拡大
  • 2026/10/16
    FXの自動売買シミュレーション機能の提供を開始。必要証拠金や損益を事前に確認でき、FX取引の促進策となる
  • 2026/10/16
    松井秀喜氏を起用した新CMを10/19から放映開始。野球への関心が高い層を狙い、認知度59.7%の引き上げを図る

過去1年間の大量保有報告/重要提案

該当なし

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