松井証券 1Q 決算説明会速報

売買代金32兆円で過去最高、ファイブスター投信への出資と米株23時間化でメディア起点の新収益モデルを加速

配信日2026年7月29日 19:52 JST

サマリー

27/3期1Qは営業収益17,299百万円(YoY+52%)、経常利益8,856百万円(同+95%)と過去最高水準の決算。株式売買代金32.2兆円(過去最高、YoY+112%)を背景に委託手数料・金融収支が同時に拡大し、営業収益経常利益率は51%に到達。経営陣は一部銘柄・大口顧客への取引集中という構造を率直に説明しつつ、YouTube登録者100万人規模のメディアを起点にファイブスター投信投資顧問との資本業務提携や米国株23時間化対応など新たな収益領域の開拓を明示した。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • AI半導体銘柄が牽引する相場で、一部銘柄・大口顧客への集中度が高く、相場変動でシェア構成が変わりうる点を経営陣が認識
    • 個人投資家の実現損益は1Q時点で1,080億円と前年通期の50%を既に達成、余力は十分との見方
    • 自己資本規制比率304%は安全圏ながら水準低下を意識し、配当性向方針を変更済み
  • 足元の事業進捗と要因
    • 店内売買代金の62%が東証上位5銘柄に集中(3月の33%から急伸)、うちキオクシア単独43%
    • 1億円以上の大口取引人数が1月比で約2倍に増加、手数料上限適用取引が増え実質手数料率は3.1bp→2.5bpに低下
    • FXは5月以降のドル円ボラティリティ低下でQoQ▲18%の売買代金減も、建玉残高・口座数の積み上がりにより収益はほぼ横ばいを維持
    • 金利上昇効果は1Qでフル寄与、預託金運用収益20.6億円(QoQ+3.5億円)
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • ファイブスター投信投資顧問の議決権20.95%を取得し筆頭株主へ。YouTube起点でアクティブ投信の認知拡大・残高増を狙う
    • 米国株23時間取引に12月6日初日から対応予定と発表
    • FX27通貨ペアの縮小スプレッド引き下げを恒久化、著名トレーダーとのタイアップで月間5,000人の新規口座獲得を維持
    • 対話型AIエージェント導入で自己解決率が約2倍に向上

今後の見通しと戦略

  • 通期業績予想は非開示。1Qの経常利益8,856百万円は前期通期23,812百万円の37%に相当し、高進捗
  • 金利上昇は政策金利+25bpあたり年間7.5億円の増収試算(預託金7,000億円、借入金4,000億円前提)。足元1.00%から更なる利上げがあれば追加収益
  • CFDサービス展開・米国株23時間化対応など商品ラインアップ拡充を2026年度の重点施策に位置付け
  • ファイブスター投信との提携はYouTubeチャンネル視聴者(約7割が非口座保有者)への新たなディストリビューションチャネル構築を志向
  • 単元未満株の買付サービス未提供が課題として残り、値がさ株の裾野拡大に制約。経営陣は必要性を認識しつつ、個別株ETFや23時間取引での代替も視野

ポジティブ要因

  • 株式売買代金32.2兆円(四半期過去最高)、信用取引平残4,944億円(YoY+51%)と取引基盤が拡大
  • 営業収益経常利益率51%、ROE27.5%(年率換算)と高い収益性を実現
  • YouTube総再生回数1.9億回(業界No.1)を活用した新収益モデル(プレミアムIR動画、運用会社提携)が具体化
  • JCSI(日本版顧客満足度指数)証券業種で顧客満足第1位を獲得、ブランド認知度60.6%(業界3位)
  • MATSUI Bank預金残高800億円・20万口座突破、証券残高連動の最高年0.75%金利で預かり資産の囲い込み強化
  • 個人投資家の実現損益は1Qで1,080億円と良好、信用取引評価損益も6月末時点で日経225がプラス圏

懸念事項・リスク

  • 売買代金の62%が上位5銘柄に集中し、特定テーマ(AI半導体)への依存度が高い。相場転換時の反動リスクあり
  • 実質委託手数料率が3.1bp→2.5bpに低下、大口取引・1日信用取引の構成比上昇が手数料収入の上値を抑制
  • 自己資本規制比率304%は低下傾向(前年度末308%)。信用取引残高5,758億円のうち上位20銘柄に約450億円が集中し、個別銘柄リスク管理の重要性が増大
  • 7月24日時点の信用買い評価損益率は日経225で▲7.5%、225以外プライムで▲22.2%と悪化傾向
  • 単元未満株買付サービス未提供により、値がさ株の裾野拡大で競合に劣後する可能性
  • PTS経由の売買代金増加が業界全体で進む中、当社はPTS未活用のため、東証シェア8%がPTS込みでは希薄化する構造

業績ハイライト

27/3期1Qの営業収益は17,299百万円(YoY+52%)、経常利益8,856百万円(同+95%)、当期純利益5,609百万円(同+95%)。株式売買代金32.2兆円(過去最高)と信用取引平残4,944億円が牽引し、営業収益経常利益率は51%と過去最高水準を記録。販管費7,123百万円(YoY+18%)は収益増を下回る増加にとどまり、利益率が改善した。

主要収益項目

項目27/3期1Q前年同期比直前Q比
営業収益17,299百万円+52%+13%
純営業収益15,885百万円+48%+12%
経常利益8,856百万円+95%+28%
当期純利益5,609百万円+95%+27%
受入手数料8,765百万円+67%+11%
金融収支5,748百万円+55%+18%
トレーディング損益1,366百万円▲22%▲2%
販管費7,123百万円+18%▲1%
  • 当社株式売買代金: 32.2兆円(YoY +112%、過去最高)
  • 当社信用取引平残: 4,944億円(YoY +51%)
  • 株式売買代金シェア: 8.4%(前年同期8.3%)
  • 信用買残シェア: 7.8%(前年同期7.9%)
  • 実質委託手数料率: 2.5bp(前年同期3.1bp)
  • 対信用平残金融収支率: 4.6%(前年同期4.5%)
  • 営業収益経常利益率: 51%(前年同期40%)
  • ROE(年率換算): 27.5%(前年同期15.2%)
  • 総口座数: 1,804,490口座(2026年6月末)
  • 新規口座開設数: 月間平均約11,810口座
  • 預かり資産: 5.9兆円
  • 投信残高: 7,071億円
  • FX売買代金: 129.9兆円
  • FX建玉残高: 3,071億円
  • FX口座数: 276,654口座
  • 自己資本規制比率: 304%(社外流出後)
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