1Q決算を踏まえた評価点
日経平均が期中に史上最高値72,000円台をつける強い相場環境を追い風に、当社株式売買代金は前年比+112%の32.2兆円と四半期過去最高を更新。委託手数料8,440百万円(同+68.9%)と金融収支5,748百万円(同+55.0%)が同時に拡大し、営業利益率(対純営業収益)は55.2%に上昇した。販管費は同+17.8%と収益の伸びを下回り、オペレーティング・レバレッジが効いた決算。
- 委託手数料8,440百万円(前年比+68.9%)、個人株式売買代金シェア8.4%を維持しつつ売買代金は過去最高
- 信用取引平残4,944億円(同+51%)、金利上昇局面で金融収支5,748百万円(同+55.0%)へ拡大。政策金利1.00%下で預託金運用収益20.6億円/Qを創出
- 経常利益率51%(前年1Q:40%)に上昇、ROE(年率換算)27.5%と資本効率が改善
- 投信残高7,071億円(前年度末5,626億円比+25.7%)、積立金額193億円/Qとストック型収益基盤が拡大
- YouTube登録者94万人・総再生1.9億回で業界No.1。JCSI証券業種顧客満足度第1位獲得
1Q決算を踏まえた懸念点
トレーディング損益1,366百万円(前年比▲22.3%)はFX売買代金の減少(129.9兆円、同▲0.7%)を反映。委託手数料率は2.5bp(前年1Q:3.1bp)と低下基調にあり、売買代金の伸びを収益に変換する効率が構造的に低下している点は中長期的な論点。
- トレーディング損益1,366百万円(前年比▲22.3%)、FX売買代金は前年1Q比横ばいで成長鈍化の兆候
- 委託手数料率2.5bp(前年1Q:3.1bp)と低下が継続。手数料体系が収益構造に影響
- 金融費用1,414百万円(前年比+103.7%)、短期借入金457,900百万円(前期末比+44.5%)と調達コスト増加が加速
- 先物・オプション収益245百万円(前年比▲10.9%)と縮小。先物シェアも19%(前年1Q:20%)に低下
- 自己資本規制比率304%と低下傾向(前期末308%)。信用残拡大に伴うリスク相当額増加への留意が必要
注目点/今後確認したいポイント
- 政策金利1.00%環境下での金融収支拡大の持続性。会社シミュレーションでは+25bpあたり年間7.5億円の増収効果とされ、追加利上げ局面の業績感応度が注目される
- 米国株事業(スペースX上場日に取引人数の50%超が同銘柄を取引)やCFDサービスの展開状況。手数料率低下を補う新収益源としての寄与度の確認
- ファイブスター投信投資顧問への出資(議決権20.95%取得)による投信ビジネスのシナジー効果の定量化。YouTube起点のアクティブ投信販売モデルの進捗
- 委託手数料率2.5bpへの低下は構造的なものか、今後の手数料体系の方針
- 金利上昇局面における信用取引貸付金利の引き上げ余地と他社動向
- CFDサービスの具体的なローンチ時期と収益貢献見通し
- 米国株式市場23時間化対応のシステム投資額と投入時期
- FXトレーディング損益が前年比▲22.3%となった背景と回復施策
- ファイブスター投信投資顧問との協業における投信販売額・残高のKPI目標
- MATSUI Bank預金残高800億円の中期的な目標水準と証券ビジネスへの波及効果
- 広告宣伝費995百万円(QoQ▲23%)の意図と下期のマーケティング投資方針
- 自己資本規制比率304%の適正水準の考え方と信用取引残高の上限感
- 生成AI活用推進プロジェクトの業務効率化効果の定量的な成果
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 17,299百万円 | +51.6% |
| 純営業収益 | 15,885百万円 | +48.3% |
| 営業利益 | 8,763百万円 | +87.7% |
| 経常利益 | 8,856百万円 | +95.2% |
| 四半期純利益 | 5,609百万円 | +95.3% |
| EPS | 21.77円 | +95.1% |
| 潜在株式調整後EPS | 21.71円 | +94.9% |
| 受入手数料 | 8,765百万円 | +67.1% |
| └ 委託手数料 | 8,440百万円 | +68.9% |
| トレーディング損益 | 1,366百万円 | ▲22.3% |
| 金融収支 | 5,748百万円 | +55.0% |
| └ 金融収益 | 7,162百万円 | +62.7% |
| └ 金融費用 | 1,414百万円 | +103.7% |
| 販売費・一般管理費 | 7,123百万円 | +17.8% |
| 営業収益経常利益率 | 51% | 前年1Q:40% |
| 当社株式売買代金 | 32.2兆円 | +112% |
| 信用取引平残 | 4,944億円 | +51% |
営業収益・経常利益・四半期純利益いずれも四半期ベースで過去最高を更新。純営業収益の+48.3%に対し販管費は+17.8%に抑制され、利益率が改善した。
事業セグメント別の業績
当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメント。収益構造は①受入手数料(構成比50.7%)、②金融収益(同41.4%)、③トレーディング損益(同7.9%)の3本柱。1Qは株式相場の活況を背景に、①②が大幅増収となった一方、③はFX関連で減収。
セグメント別業績表
| セグメント名 | 売上高(営業収益) | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| オンライン証券取引サービス(全社) | 17,299百万円 | +51.6% | 8,763百万円 | +87.7% | 50.7% |
- 株式委託手数料(株式・ETF):8,194百万円(前年比+73.6%)。日経平均の史上最高値更新で個人投資家の取引拡大、二市場個人売買代金は前年比+113%
- 金融収支:5,748百万円(前年比+55.0%)。信用取引平残+51%増と金利上昇(政策金利0.75%→1.00%)の複合効果。預託金運用収益は20.6億円/Q(前年1Q:9.7億円/Q)
- 投信販売:販売額1,024億円/Q(前年1Q:450億円比+127.6%)。運用会社タイアップによるポイント増量キャンペーンが奏功
- FXトレーディング:損益1,366百万円(前年比▲22.3%)。売買代金129.9兆円と前年1Q(130.8兆円)比横ばいで収益性が低下
- 先物・オプション:委託手数料245百万円(前年比▲10.9%)。先物市場シェア19%(前年1Q:20%)と微減
業績予想比の進捗率
当社は相場環境に業績が大きく左右されるため通期業績予想を開示していない。前期通期の営業収益52,660百万円、経常利益23,812百万円に対する1Q実績は各32.8%、37.2%であり、前期を上回るペースで推移。前期は4Q偏重の傾向が見られたが、今期1Qは相場環境が良好であり季節性を超える水準を達成した。
| 勘定科目 | 数値(1Q実績) | 前期通期実績 | 対前期通期比率 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 17,299百万円 | 52,660百万円 | 32.8% |
| 経常利益 | 8,856百万円 | 23,812百万円 | 37.2% |
| 四半期純利益 | 5,609百万円 | 15,480百万円 | 36.2% |
- 証券業は相場環境に業績が左右されるため、明確な季節パターンは存在せず、株式市場のボラティリティと売買代金の水準に依存
- 前期は4Q(営業収益15,367百万円)が最大であったが、今期1Qは前期4Qを+12.6%上回るペースで推移
業績予想の変更有無
当社は相場環境により業績予想が困難として、業績予想を開示していない。主要業務数値(株式売買代金、委託手数料収益等)は月次で開示。
株主還元への言及
2027年3月期の配当予想は未定(2Q・3Q・期末いずれも未定)。前期は中間25円+期末25円の年間50円配当(配当総額6,440百万円+6,440百万円)を実施。配当予想の修正はなし。
財務状況
証券会社特有のBS構造として、預託金(顧客分別金信託)と信用取引貸付金が資産の大宗を占める。信用取引の拡大に伴い短期借入金が増加したものの、自己資本規制比率304%(オンライン証券5社平均259%を上回る)を維持し、健全性は確保されている。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1,525,023百万円 | 前期末比+12.6% |
| └ 流動資産 | 1,498,482百万円 | 前期末比+12.9% |
| └ 固定資産 | 26,541百万円 | 前期末比▲0.6% |
| 預託金 | 766,512百万円 | 前期末比+2.3% |
| 信用取引貸付金 | 552,532百万円 | 前期末比+30.4% |
| 短期借入金 | 457,900百万円 | 前期末比+44.5% |
| 純資産 | 81,691百万円 | 前期末比▲0.8% |
| 自己資本 | 81,327百万円 | 前期末比▲0.8% |
| 自己資本比率 | 5.3% | 前期末:6.1% |
| 1株当たり純資産 | 315.68円 | 前期末:318.39円 |
| 自己資本規制比率 | 304% | オンライン証券5社平均259% |
決算発表と同時に出たニュース
該当なし
足許四半期中の主要発表
- 2026/05/26スペースXの米国NASDAQ上場日に取扱開始を発表。上場日には米国株取引人数の50.1%がスペースXを取引し、顧客基盤拡大に寄与 上場初日より、スペースXの取り扱いを開始します。
- 2026/06/30FX 27通貨ペアの縮小スプレッド引き下げを恒久化。最大70%の縮小でFX取引の競争力強化 FXサービス 27通貨ペア、縮小スプレッド引き下げ恒久化のお知らせ
- 2026/07/10投資信託の分配金コース変更機能に対応。投信アプリの利便性向上 分配金のコース変更に対応します!(7/25(土)予定)
- 2026/07/23MATSUI Bank総預金残高800億円・口座数20万口座を突破。証券残高連動型高金利(最大年0.75%)が集客に貢献 「MATSUI Bank」、総預金残高800億円・銀行口座数20万口座を突破
過去1年間の大量保有報告/重要提案
該当なし
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