東京エレクトロン 1Q 決算速報

AI半導体向け設備投資が牽引し売上高+33.3%・営業利益+46.1%の高成長、中間期予想も上方修正

配信日2026年7月30日 17:33 JST

1Q決算を踏まえた評価点

AI用途の半導体向け設備投資の伸長を背景に、売上高7,324億円(前年比+33.3%)、営業利益2,114億円(同+46.1%)と力強い成長を実現。営業利益率は28.9%(前年比+2.6pt)に上昇し、売上成長が利益増に直結する収益レバレッジが確認された。

  • 売上総利益率46.8%(前年比+0.6pt)に改善。売上原価の伸び(+31.8%)が売上高の伸び(+33.3%)を下回り、収益性が向上
  • 営業利益率28.9%(前年比+2.6pt)。販管費率17.9%(同▲2.0pt)と売上拡大に対し販管費の増加が抑制され、スケールメリットが顕在化
  • 営業CFは1,187億円(前年比+438億円)と資金創出力が強化。前受金の増加236億円が示す受注の堅調さも注目
  • 中間期業績予想を上方修正(売上高1.57兆円→1.62兆円、営業利益4,310億円→4,580億円)。顧客設備投資動向に基づく自信の表れ

1Q決算を踏まえた懸念点

棚卸資産は7,516億円(前期末比+384億円)と積み上がりが継続しており、需要変動リスクへの備えが求められる。また、通期業績予想が未開示であり、下期の見通しが不透明な点も投資判断上の制約となる。

  • 棚卸資産7,516億円(前期末比+5.4%)と増加継続。仕掛品+298億円が中心で、需要の急変時には在庫リスクに転化する可能性
  • 研究開発費720億円(前年比+15.9%)と増加ペースが加速。先端技術への投資は不可欠だが、費用負担の持続性に留意
  • 通期連結業績予想は中間期決算発表時まで未開示。地政学リスクや輸出規制動向など外部環境の不確実性が高い中、投資家の判断材料が限定的
  • 現金及び現金同等物は4,084億円(前期末比▲970億円)。配当金支払1,660億円が主因だが、手元流動性の水準を注視する必要あり

注目点/今後確認したいポイント

  • AI向け半導体設備投資の持続性。HBM(高帯域メモリ)、先端ロジック、先端パッケージングなど用途別の受注トレンドが2Q以降の成長率を左右する
  • 米国・中国の輸出規制や地政学リスクの影響。中国向け売上構成比の変動と対応策が下期の業績見通しの重要な前提条件となる
  • 通期業績予想の開示内容。中間期決算発表時に示される通期ガイダンスの水準が、市場コンセンサスとの乖離を確認する最重要イベント
経営陣への論点
  • AI半導体向け装置需要の用途別(HBM、先端ロジック、先端パッケージング)受注構成比と今後の見通し
  • 中国向け売上高の構成比推移と米中輸出規制の影響度合い
  • 棚卸資産増加の背景(特定顧客向け仕掛品の積み上げか、汎用在庫の増加か)
  • 通期業績予想の非開示方針の理由と、下期の需要環境に対する現時点での認識
  • NVIDIA協業拡大(Epsira)の具体的な収益貢献時期と規模感
  • 東京エレクトロン九州の新棟(約100億円投資)による生産能力増強の寄与時期
  • 米国子会社再編(TEA・TTCA合併)による効率化効果の定量的見通し
  • 為替前提と為替感応度(1円変動当たりの営業利益影響額)
  • 令和8年熊本地震後の生産正常化の進捗と今後の自然災害リスク対応方針
  • 配当性向50%目処の中、自己株取得方針との優先順位

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年同期比
売上高732,388百万円+33.3%
売上原価389,676百万円+31.8%
売上総利益342,712百万円+34.9%
販売費及び一般管理費131,304百万円+20.2%
└ 研究開発費72,046百万円+15.9%
└ その他59,257百万円+25.7%
営業利益211,407百万円+46.1%
経常利益215,626百万円+46.3%
親会社株主に帰属する四半期純利益164,341百万円+39.5%
EPS361.36円+40.5%
売上総利益率46.8%+0.6pt
営業利益率28.9%+2.6pt
包括利益249,188百万円+48.5%

営業利益率の改善幅(+2.6pt)は売上成長による販管費率の低下が主因。法人税等の実効税率は23.7%(前年22.5%)とやや上昇し、純利益の伸びが営業利益の伸びを下回った。

事業セグメント別の業績

当社グループは「半導体製造装置」の単一セグメントであり、セグメント別の開示はない。

セグメント別業績表

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比利益率
半導体製造装置(全社)732,388百万円+33.3%211,407百万円+46.1%28.9%
好調な事業
  • AI半導体向け設備投資:データセンター向けAIサーバー需要拡大が半導体市場全体を牽引。AI用途の半導体向け設備投資が前年比で顕著に伸長し、1Q売上高+33.3%の主要ドライバー
  • 先端パッケージング関連:Teradyneとの統合テストセル発表に見られるように、2.5D/3Dパッケージング向けプローバ技術の用途拡大が進展
不調な事業
  • 該当なし

業績予想比の進捗率

1Q実績の中間期修正予想に対する進捗率は、売上高45.2%、営業利益46.2%、純利益47.1%といずれも良好。前年同期の中間期実績に対する1Q比率(売上高46.6%、営業利益47.7%)と同水準であり、2Qの更なる売上積み上げが見込まれる構造に変化はない。中間期予想の達成確度は高いと判断される。

勘定科目数値(1Q累積)中間期計画進捗率
売上高732,388百万円1,620,000百万円45.2%
営業利益211,407百万円458,000百万円46.2%
経常利益215,626百万円464,000百万円46.5%
純利益164,341百万円349,000百万円47.1%
  • 半導体製造装置業界は顧客の設備投資計画に連動し、一般に下期偏重の傾向。東京エレクトロンも例年2Q以降に売上が拡大する傾向が強い

業績予想の変更有無

2027年3月期中間期の連結業績予想を上方修正。最新の顧客設備投資動向を踏まえた修正であり、AI関連需要の想定以上の強さが背景。通期予想は中間期決算発表時に開示予定。

  • 売上高:従来1,570,000百万円→新1,620,000百万円(+3.2%)
  • 営業利益:従来431,000百万円→新458,000百万円(+6.3%)
  • 経常利益:従来437,000百万円→新464,000百万円(+6.2%)
  • 純利益:従来328,000百万円→新349,000百万円(+6.4%)
  • 修正理由:最新の顧客設備投資動向を踏まえた見直し。令和8年熊本地震の業績影響は軽微

株主還元への言及

業績連動型配当(配当性向50%目処)を基本方針とし、中間期予想の上方修正に伴い中間配当予想を1株当たり361円→384円(+23円)に増額修正。期末配当は中間期決算発表時に通期予想と併せて開示予定。前期実績は年間628円(中間264円+期末364円)。自己株式取得は当1Qに11,478百万円を実施。また、2026年4月30日付で95,470百万円相当の自己株式消却を実施済。

財務状況

実質無借金経営を維持し、自己資本比率71.7%と高水準を継続。前期末配当金支払(1,660億円)により手元資金は減少したが、営業CFの着実な創出(1,187億円)と前受金の増加が財務基盤を支えている。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
現金及び預金409,608百万円前期末比▲9.2%
現金及び現金同等物408,413百万円前期末比▲19.2%
総資産2,955,405百万円前期末比+3.3%
└ 流動資産合計1,803,020百万円前期末比▲1.8%
└ 固定資産合計1,152,384百万円前期末比+12.4%
棚卸資産751,551百万円前期末比+5.4%
投資有価証券343,303百万円前期末比+52.3%
自己資本2,118,056百万円前期末比+3.5%
負債合計812,503百万円前期末比+2.7%
EBITDA233,916百万円営業利益+減価償却費で算出

有利子負債の計上がないため、Net Debt/EBITDA、Debt/Equity、インタレストカバレッジレシオは該当なし。実質無借金経営。

決算発表と同時に出たニュース

  • 2026/07/29
    令和8年熊本地震に関し、東京エレクトロン九州(合志・大津事業所)の社員全員の無事を確認、建屋・設備に大きな被害なく業績影響は軽微と発表 令和8年熊本地震について(第2報)
  • 2026/07/28
    熊本県熊本地方の地震発生を受け、東京エレクトロン九州の建物・設備に大きな損害なしと速報。安全点検のため翌日の稼働を一時停止 熊本県熊本地方を震源として発生した地震について

足許四半期中の主要発表

  • 2026/07/16
    NVIDIA社との協業を拡大し、エージェント型AIとロボティクスを自社DXソリューション「Epsira」に活用。装置稼働率・生産性向上を狙う戦略的取り組み NVIDIA社との協業を拡大、エージェント型AIとロボティクスを強化
  • 2026/06/30
    米国子会社Tokyo Electron AmericaとTEL Technology Center Americaの吸収合併を発表。米国事業運営・R&D体制の効率化を図るグループ再編 Tokyo Electron America, Inc.とTEL Technology Center, America, LLCの合併に関するお知らせ
  • 2026/06/08
    Teradyne社と共同で、AI・データセンター向け先端2.5D/3Dパッケージング用統合テストセルを発表。プローバ技術の用途拡大 Teradyne Introduces Integrated Test Solution for AI and Data Center Devices in Collaboration with Tokyo Electron
  • 2026/05/22
    熊本県合志市に約100億円を投じて東京エレクトロン九州の物流棟(約18,000㎡)を建設。コータ/デベロッパ、洗浄装置、3次元実装装置の開発・生産拡充を推進 東京エレクトロン九州 新棟建設のお知らせ

過去1年間の大量保有報告/重要提案

  • ブラックロック・ジャパンほか共同保有者13名: 7.34%→8.37%(2026/03/04報告) - 純投資(顧客資産・投資信託等の資産運用目的)
  • 三井住友トラスト・アセットマネジメントほか: 7.87%→7.55%(2025/09/19報告) - 投資信託契約・投資一任契約に基づく運用(提出事由は商号変更)
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